基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2017-01-01から1年間の記事一覧

ゲームと共に歩んだ人生録『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』

ゲームライフ作者: マイケル・W・クルーン,武藤陽生出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2017/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る人生を振り返ってみると、いつもその傍らにはゲームがあった。プレイヤーの目の前に展開するゲームプログラムは…

人間が機械を用いて自然界や人間界とどう向き合ってきたのか──『トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』

トラクターの世界史 - 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書)作者: 藤原辰史出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/09/20メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見るトラクターというのは、それ一冊で歴史書になりえる題材なのだろうか。…

少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回る──『スチーム・ガール』

SF

スチーム・ガール (創元SF文庫)作者: エリザベス・ベア,安倍吉俊,赤尾秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/10/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る「スチーム」ときて「ガール」である。スチームだけでも満貫だが、そこにガールがつ…

諸国の教育現場をまわり、良いところ悪いところを比較する──『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?:5つの教育大国に学ぶ成功の秘密』

日本の15歳はなぜ学力が高いのか?:5つの教育大国に学ぶ成功の秘密作者: ルーシークレハン,苅谷剛彦,橋川史出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/10/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る本書は、『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?:5つの…

人を殺しに、少年たちは二〇〇〇マイルの旅に出る──『東の果て、夜へ』

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者: ビルビバリー,熊谷千寿出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見る麻薬斡旋所で見張り役を任されていた15歳の少年イーストは、ふとした油断から警察のガサ入れを許…

神話に基づく変奏──『サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか』

サイバネティクス全史――人類は思考するマシンに何を夢見たのか作者: トマス・リッド,松浦俊輔出版社/メーカー: 作品社発売日: 2017/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る「サイバー」という言葉には人を惹き付ける魅力がある。サイバース…

英語のスペリングはなぜこんなにも予測不可能なのか──『スペリングの英語史』

スペリングの英語史作者: サイモン・ホロビン,堀田隆一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る日本語でさえ単純な誤字、勘違いからくる漢字、送り仮名ミスが多発するというのに英語のスペルなんかろくに綴…

チャイナ・ミエヴィルによる”革命”の物語──『オクトーバー: 物語ロシア革命』

オクトーバー: 物語ロシア革命 (単行本)作者: チャイナ・ミエヴィル,松本剛史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/10/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る本書『オクトーバー: 物語ロシア革命』は、SF・ファンタジィを軸とした奇想、…

生きていくうえで、あると嬉しい基礎知識──『こわいもの知らずの病理学講義』

こわいもの知らずの病理学講義作者: 仲野徹出版社/メーカー: 晶文社発売日: 2017/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る仲野徹先生といえば大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授というスゲー肩書を持っていながら同時にH…

最近ノーベル、イグ・ノーベル賞をとった人たちの関連本で僕が記事を書いているものを簡単にまとめた

最近ノーベル、イグ・ノーベル賞をとった人たちの関連本で僕が記事を書いているものを簡単にまとめてみました。まあ、なにはともあれ早川が凄いですね。カズオ・イシグロなんかは予想外だった面もあるだろうけど、重力波の文庫なんかは完全に当てにいってい…

脳はいかにして現実を認識するのか──『あなたの脳のはなし: 神経科学者が解き明かす意識の謎』

あなたの脳のはなし:神経科学者が解き明かす意識の謎作者: デイヴィッド・イーグルマン,大田直子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る我々は"現実"をありのまま受け取っているわけではな…

いかにして洗脳するのか、またそこからの脱却プロセスについて──『家族をテロリストにしないために:イスラム系セクト感化防止センターの証言』

家族をテロリストにしないために:イスラム系セクト感化防止センターの証言作者: ドゥニア・ブザール,児玉しおり出版社/メーカー: 白水社発売日: 2017/09/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るヨーロッパではテロがたえない。それも…

世界から大国が消失し、無数の小国に分裂した二一世紀中葉──『テルリア』

SF

テルリア作者: ウラジーミルソローキン,Vladimir Sorokin,松下隆志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/09/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るウラジミール・ソローキンの新刊なのだから、買わないわけがないのであった。近著であ…

怪獣によって支配された世界──『KAIJU黙示録(アポカリプス)』

SF

KAIJU黙示録(アポカリプス) (竹書房文庫)作者: エリック・S・ブラウン,ジェイソン・コルトバ,木川明彦,平沢薫出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2017/09/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るKAIJU黙示録である。未曾有の大洪水によって大地のほ…

"人間性の限界を受けいれる"か、"可能性の力を歓迎する"か──『ネクサス』

SF

ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF)作者: ラメズナム,Rey.Hori,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログを見るネクサス(下) (ハヤカワ文庫SF)作者: ラメズナム,Rey.Hori,中原尚哉出版社/メーカー: 早川書房発売…

グラフィカルな人工知能の思考を体験せよ──『イルミナエ・ファイル』

SF

イルミナエ・ファイル作者: エイミー・カウフマン,ジェイ・クリストフ,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る本書は、作品内容を端的に紹介すると、宇宙空間での企業戦争/…

2074年、第二次アメリカ南北戦争の勃発──『アメリカン・ウォー』

SF

アメリカン・ウォー(上) (新潮文庫)作者: オマルエル=アッカド,Omar El Akkad,黒原敏行出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/08/27メディア: 文庫この商品を含むブログを見るアメリカン・ウォー(下) (新潮文庫)作者: オマルエル=アッカド,Omar El Akkad,黒原…

きっと、もっと猫が好きになる──『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』

SF

猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる (竹書房文庫)作者: シオドア・スタージョン,フリッツ・ライバー,他,中村融,旭ハジメ出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2017/08/31メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見るSFといえば、犬よりも猫のイメージが強い(犬…

全人類の経済活動が停止する──『オーバーロードの街』

オーバーロードの街作者: 神林長平出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2017/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見るこの2、3年の神林長平先生は老いてなお*1精力的に連載を続けており、本書もその連載がまとまったものだが、これがまた…

海洋という独特の存在が国際社会にどのような影響を与えているか『海の地政学──海軍提督が語る歴史と戦略』

海の地政学──海軍提督が語る歴史と戦略作者: ジェイムズスタヴリディス,James Stavridis,北川知子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/09/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る本書は元アメリカ合衆国海軍大将、艦これのプレイヤーとかではなく…

新しい現実を解読するための、新しい『1984』──『2084 世界の終わり』

SF

2084 世界の終わり作者: ブアレムサンサル,Boualem Sansal,中村佳子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/08/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る本書はアルジェリアの作家ブアレム・サンサルによる7番目の長篇にして、日本では初め…

これもまた一つのサイエンス・フィクション──『驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界』

驚異の未来生物: 人類が消えた1000万年後の世界作者: マルク・ブレー,セバスティアン・ステイエ,森健人,遠藤ゆかり出版社/メーカー: 創元社発売日: 2017/08/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る果たして人類が消えた1000万年後の世界はどう…

とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』

動物になって生きてみた作者: チャールズ・フォスター出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2017/09/15メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るどうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴…

親の影響はどれぐらい?『子育ての大誤解――重要なのは親じゃない』

子育ての大誤解〔新版〕上――重要なのは親じゃない (ハヤカワ文庫NF)作者: ジュディス・リッチ・ハリス,橘玲,石田理恵出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 文庫この商品を含むブログを見る子育ての大誤解〔新版〕下――重要なのは親じゃない …

1000万種におよぶ昆虫たちの、オンリーワンの交尾道──『昆虫の交尾は、味わい深い…。』

昆虫の交尾は、味わい深い…。 (岩波科学ライブラリー)作者: 上村佳孝出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/08/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る本書は書名の通りに昆虫の交尾について書かれた一冊である。人生でこんなにたく…

複数の世界を生きた女性──『わたしの本当の子どもたち』

わたしの本当の子どもたち (創元SF文庫)作者: ジョー・ウォルトン,茂木健出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/08/31メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る人生にはいくつもの岐路がある。夜何を食べるか、誰と遊ぶか。仕事や学校をどこにす…

ルールが保証されないゲームに、いかにして挑むのか──『ゲームの王国』

ゲームの王国 上作者: 小川哲出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見るゲームの王国 下作者: 小川哲,mieze出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る第三回ハ…

他者を評価する際の落とし穴──『なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学』

なぜ心を読みすぎるのか: みきわめと対人関係の心理学作者: 唐沢かおり出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2017/07/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る他人の心は、わからないものだ。たとえ相手が笑顔で話しかけてきても、こちらのことを殺…

インターネットの大失敗『インターネットは自由を奪う――〈無料〉という落とし穴』

インターネットは自由を奪う――〈無料〉という落とし穴作者: アンドリューキーン,Andrew Keen,中島由華出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見るインターネット、それはなくてはならぬ文明の利器! 本職がプロ…

ピカチュウはなぜピカチュウなのか『オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで』

オノマトペの謎――ピカチュウからモフモフまで (岩波科学ライブラリー)作者: 窪薗晴夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/05/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るバクバク食べるとかサクサク進むとか世の中には豊富なオ…