基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

森博嗣による、Xシリーズに続く、浮気調査に明け暮れるリアルめの「探偵もの」──『歌の終わりは海 Song End Sea』

歌の終わりは海 Song End Sea (講談社ノベルス)作者:森博嗣講談社Amazon精神的なダメージを負いながらも地道でたいして儲かるわけでもない探偵事務所での仕事に明け暮れるうちにその傷が癒えていく主人公小川令子の生き様が描かれていった『イナイ…

進化は偶然によって決まるのか?──『進化の技法――転用と盗用と争いの40億年』

進化の技法――転用と盗用と争いの40億年作者:ニール・シュービンみすず書房Amazonこの『進化の技法』は、『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト: 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』や『あなたのなかの宇宙』で知られる古生物学者・サイエンスライターの…

ネビュラ、ローカス賞を受賞した、内省的で連続ドラマが大好きな人型警備ユニットの活躍を描く新時代の冒険SF──『ネットワーク・エフェクト』

SF

ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー (創元SF文庫)作者:マーサ・ウェルズ東京創元社Amazon二年連続でヒューゴー、ローカス賞を受賞し、日本翻訳大賞も受賞したマーサ・ウェルズによる『マーダーボット・ダイアリー』。その続篇がこの『ネッ…

エラリー・クイーンの共作の裏側が明かされる『エラリー・クイーン 創作の秘密』から、人の在り方を変えてしまうテクノロジーへの警告の書である『あなたが消された未来』まで色々紹介!

まえがき 2021年8月号の本の雑誌新刊めったくた原稿を転載します。この号に取り上げた本はこうやって振り替えると事件ものからサイエンス本まで幅広く、しかも面白いものばかりでいいバランスだなと思います。『エラリー・クイーン 創作の秘密』は本当におも…

我々の行動のほとんどすべてに関係してくる、税金の機能とその歴史について─『税金の世界史』

税金の世界史作者:ドミニク・フリスビー河出書房新社Amazonこの『税金の世界史』は、その書名のまんま、税金の歴史について書かれた一冊である。税金というのは、たしかに言われてみればこれはおもしろいテーマだ。我々は消費税増税が起これば大反対をかまし…

注意力を取り戻し、社会に潜むコンテクストを深く理解するための「なにもしない」という方法──『何もしない』

何もしない作者:ジェニー オデル早川書房Amazonこの『何もしない』は、「何もしない」ための行動計画書というか、思索書というか、自己啓発書というか、そんな感じの本である。何もしないなんて簡単だろう、何もしないだけなんだから、と思うかもしれないが…

雑誌『家電批評』で「SFで読み解く未来のトリセツ」という新連載が始まりますという告知と今の仕事の整理

家電批評 2021年 11月号 [雑誌]晋遊舎Amazonこんにちは。冬木です。今月発売の月刊誌『家電批評』にて、「SFで読み解く未来のトリセツ」というタイトルの連載が始まるのでその告知になります。 そのまんまタイトル通り、SFを媒介にして未来の社会をいろいろ…

『三体』の二次創作小説でデビューした宝樹による、時間SF短篇集──『時間の王』

時間の王作者:宝樹早川書房Amazon次々と表現規制が行われており、今後中国の小説や漫画やゲームはいったいどうなってしまうのだろうかと戦々恐々と見守っている昨今だが、そんな最中でも中国SFは本邦で多数邦訳・刊行されている。劉慈欣の『三体』の二次創作…