基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

オススメ!

日本の新本格ミステリに傾倒した著者による、もう二度と戻ってくることのない青春が蘇るような本格学園華文ミステリ──『雪が白いとき、かつそのときに限り』

雪が白いとき、かつそのときに限り (ハヤカワ・ミステリ)作者: 陸秋槎,中村至宏,稲村文吾出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/10/03メディア: 新書この商品を含むブログを見る前漢時代の百合ミステリで(僕の)度肝をぬいた『元年春之祭』の陸秋槎による学…

現代日本SFの見取り図を提供しつづけてきた年刊日本SF短編傑作選、完結──『おうむの夢と操り人形』

おうむの夢と操り人形 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)作者: 大森望,日下三蔵出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/08/29メディア: 文庫この商品を含むブログを見る毎年多様な日本の傑作SF短編をまとめて世に送り出してきた年刊日本SF傑作選が、本…

SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』

なめらかな世界と、その敵作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オール…

市場経済に組み込まれたヒーローたち──『ザ・ボーイズ』

にこやかな顔で写真にうつるホームランダーAmazonPrimeで配信中の海外ドラマ『ザ・ボーイズ』(全8話)を観た。舞台となっているのは、凄まじい力を持ったスーパーヒーローたちが正体を隠して人助けをする──のではなく、営利企業に雇われているタレントとして…

恐竜の始まりからその終わり、さらに「現代の恐竜」まで、一冊でみっしりまとまった快作──『恐竜の世界史──負け犬が覇者となり、絶滅するまで』

恐竜の世界史――負け犬が覇者となり、絶滅するまで作者: スティーブ・ブルサッテ,土屋健,黒川耕大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/08/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『恐竜の世界史』はいい! 実は恐竜は羽毛が生えてたんじゃね…

世界的なファンタジィ・サーガの傑作五部作、ついに完結──《ウィッチャー》

ウィッチャーI エルフの血脈 (ハヤカワ文庫FT)作者: アンドレイ・サプコフスキ,川野靖子,天沼春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るウィッチャーV 湖の貴婦人 (ハヤカワ文庫FT)作者: アンドレイ…

中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』

三体 (ハヤカワ文庫SF)作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日本でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカの歴史あるヒュー…

SFとして、小説としても圧巻の短篇集──『アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー』

アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/06/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る勇敢にも「世界初」と銘うたれている百合SFアンソロジーである。女性同士の広い関係性を扱う百合と…

「偶然」を仕掛けて世界をコントロールする秘密工作員──『偶然仕掛け人』

偶然仕掛け人作者: ヨアブ・ブルーム,高里ひろ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2019/04/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る人生は偶然によって支配されている。どこの誰の家に生まれるのか、どのような遺伝子配分になりその生活の中でどのような…

極上の華文ミステリィ短篇集──『ディオゲネス変奏曲』

ディオゲネス変奏曲 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: 陳浩基,稲村文吾出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/04/03メディア: 新書この商品を含むブログを見る著者は警察小説『13・67』で一躍日本で名を馳せた陳浩基であり、本書は著者による全17篇を収…

イーガンの最良の部分が詰まった傑作SF短篇集──『ビット・プレイヤー』

ビット・プレイヤー (ハヤカワ文庫SF)作者: グレッグイーガン,山岸真,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るイーガンの最新邦訳短篇集である! イーガンは最近は『シルトの梯子』やら〈直交〉三部作…

異常な傑作──『雛口依子の最低な落下とやけくそキャノンボール 』

雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール作者: 呉勝浩出版社/メーカー: 光文社発売日: 2018/09/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る呉勝浩さんの作品はこれが初読だが、異常な傑作であった。最近僕はKindle…

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る今年読んだノンフィクションの中で最高の一…

生まれてきたこと、この本に出会うに至る人生の軌跡、その全てに感謝を捧げるレベルの傑作──《天冥の標》

天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA)作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見るこの天冥の標シリーズが始まる前に僕が小川一水という作家に抱いていた感想は「やるといったらやる…

ド傑作揃いのSF漫画短篇集──『有害無罪玩具』

有害無罪玩具 (ビームコミックス)作者: 詩野うら出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2019/02/12メディア: コミックこの商品を含むブログを見る先日のSFファン交流会(海外SF、メディア(漫画、映画)2018年振り返り回)で、昨年のおすすめに加えて今年出た漫…

最強メンバーを揃えて帰ってきたSFアンソロジー──『NOVA 2019年春号』

NOVA 2019年春号 (河出文庫 お 20-13)作者: 大森望出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/12/05メディア: 文庫この商品を含むブログを見る良質なSF短篇を世に送り出してきたSFアンソロジー『NOVA』は全10巻及び『NOVA+』以後、刊行が途絶えていたが…

食を通して伝統・文化を知る──『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた作者: 高野秀行出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/10/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る本書は高野秀行さんの週刊文春での連載をまとめた一冊である。タイトル通りに、日本を含む…

人間に子供が産まれなくなった未来を描き出す、森博嗣によるSFシリーズ、ついに完結!──Wシリーズ

人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly? (講談社タイガ)作者:森 博嗣発売日: 2018/10/24メディア: 文庫森博嗣による、人間による子供がほとんど生まれなくなり、人工知能などの電子知性が人間を遥かに上回る能力を発揮しはじめたばかりの状況を研究者…

ロケットエンジンの基礎が概観できる最高の一冊──『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来 (中公新書)作者: 小泉宏之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る中公新書は『小惑星探査機はやぶさ』や『NASA─宇宙開発の60年』など、素晴…

全長1.6キロメートルにも及ぶ巨大な竜──『竜のグリオールに絵を描いた男』

竜のグリオールに絵を描いた男 (竹書房文庫)作者: ルーシャス・シェパード,内田昌之出版社/メーカー: 竹書房発売日: 2018/08/30メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見るなぜこの世界には竜がいないのか。他の何がなくてもいいから、竜だけは──”恐竜…

兵站に焦点をおいたミリタリーSF──『星系出雲の兵站』

星系出雲の兵站 1 (ハヤカワ文庫JA)作者: 林譲治,Rey.Hori出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログを見るミリタリーSFといえばおおむね超光速航法があり、人類よりも高度な技術力を持つ敵エイリアンがいて、英雄的…

魔術的な描写で小説の可能性を広げる短篇集──『オブジェクタム』

オブジェクタム作者: 高山羽根子出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2018/08/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る高山羽根子さんのデビュー作である『うどん キツネつきの』に続く第二作品集がこの、短篇を3つ集めた『オブジェクタム』…

皮肉と冗句と類まれなる洞察が横溢する、起業からFacebookまでの激闘IT戦記──『サルたちの狂宴』

本書『サルたちの狂宴』は、ゴールドマン・サックスでクオンツとして経歴をスタートさせ、シリコンバレーで起業した会社をTwitter社に売却し、Facebookにジョインした著者による激闘の日々を綴ったIT戦記である。起業し売却しFBに行ってとその経歴は華々しく…

科学とSFが交わる刺激的な場所──『広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由』

広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由作者: スティーヴン・ウェッブ出版社/メーカー: 青土社発売日: 2018/05/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見るなぜこの宇宙には我々しかいないのか。いったいみんなはどこにいるの…

《ウィッチャー》シリーズはゲームだけじゃなく原作小説もおもしろいぞ!

ウィッチャーI エルフの血脈 (ハヤカワ文庫FT)作者: アンドレイ・サプコフスキ,川野靖子,天沼春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る《ウィッチャー》といえばその存在をゲームで知った人も多いだ…

女子刑務所の日常──『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月』

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック 女子刑務所での13ヵ月作者: パイパー・カーマン,村井理子,安達眞弓出版社/メーカー: 駒草出版発売日: 2018/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る有名大学を出たインテリ女性が麻薬密輸に関わった罪で起訴・投…

共感によって繋がった"悪の勢力"vs賄賂も脅迫も通用しない選りすぐりの"善の勢力"──『マルドゥック・アノニマス』

能力者同士の”勢力”間の争いを描いてきた『マルドゥック・アノニマス』もついに第三巻。一巻も二巻もドチャクソおもしろかったけれども、三巻はその遥か上をいく面白さだ。二巻ですでにギア・フルスロットルだと思っていたが、あれはまだまだ序の口であった…

人類史に刻み込むべき神シリーズ──『ランス10』

ランス10出版社/メーカー: アリスソフト発売日: 2018/02/23メディア: DVD-ROMこの商品を含むブログ (1件) を見る発売されてから120時間以上プレイし続けてようやくクリアした……というか、”クリアしてしまった”。できることならば永遠に終わらないでほしかっ…

中国SF、めちゃくちゃおもしろい──『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036)作者: 郝景芳,ケンリュウ,牧野千穂,中原尚哉,大谷真弓,鳴庭真人,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (8件)…

頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発…