基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

オススメ!

世界の動きを「読める」ようになり、人生を「意味づける」為に──『知的トレーニングの技術』

知的トレーニングの技術〔完全独習版〕 (ちくま学芸文庫)作者: 花村太郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/09/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る読書猿という有名な……何ブログなんだ? 知的向上心のある人間の為のブログ──とかいうと…

野望を抱きカオスと踊る──『ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望』

ネオ・チャイナ:富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望作者: エヴァン・オズノス,笠井亮平出版社/メーカー: 白水社発売日: 2015/07/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見るいやーこれはもう完膚なきまでに面白かった。「ネオ・チャイナ」は…

太平洋戦争全史──『大日本帝国の興亡』 by ジョン・トーランド

大日本帝国の興亡〔新版〕1:暁のZ作戦 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者: ジョン・トーランド,John Toland,毎日新聞社出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/06/04メディア: 文庫この商品を含むブログを見る全5巻にわたって太平洋戦争の発端から結…

アレルギーはなぜ増えているのか──『失われてゆく、我々の内なる細菌』 by マーティン・J・ブレイザー

失われてゆく、我々の内なる細菌作者: マーティン・J・ブレイザー,山本太郎出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2015/07/02メディア: 単行本この商品を含むブログを見るツイッタを眺めていると時々「むかしはアレルギーの人間がいなかったのは……わかるな?」…

言語大戦──『月世界小説』 by 牧野修

月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)作者: 牧野修出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/07/08メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る小説とは言語で表現しうる何もかもを展開できる表現形式である。100億の軍勢がそこにはいたと書いただけでそこに100億…

紙の動物園 by ケン・リュウ

本書『紙の動物園』は中国生まれ、その後アメリカに移住しマイクロソフトに入社しハーヴァードのロースクールにいって卒業後弁護士へ。今はアプリ開発やらコンサルタント業をやりながら小説も書けば翻訳もするというマルチな才能の持ち主ケン・リュウによる…

S,M,L,XL+: 現代都市をめぐるエッセイ by レム・コールハース

普段、線をぐりぐりと引きながら本を読む。あとで引用しようと思うぐっときた部分に、結論部分に、問題提起の部分に。概ねあとから読み返した時に、そこを起点として他の細部をずるずると思い出せるように引いている。というわけで、本書もいつもと同じよう…

チャッピー by ニール・ブロムカンプ

チャッピーアーティスト: ハンス・ジマー出版社/メーカー: Rambling RECORDS発売日: 2015/05/20メディア: CDこの商品を含むブログを見るおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいいいいいい神映画かよおおおおおお…

マレ・サカチのたったひとつの贈物 by 王城夕紀

マレ・サカチのたったひとつの贈物 (中公文庫)作者: 王城夕紀出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/03/23メディア: 文庫この商品を含むブログを見る痺れたなあ……。『太陽・惑星』といいここ最近の日本SFの新人作家はハヤカワ創元以外からもとびきり先…

一本の槍──『声優魂 (星海社新書) 』by 大塚明夫

自分のやりたいことが明確に規定できている人間は圧倒的に強い。それはいってみれば覚悟がキマっているということだから。この道で生きていく、あるいは自分はこれをやる為に生まれてきたのだという強烈な「思い込み」。もちろんかみさまーが上から現れて「…

ささやかな英雄の物語──『ストーナー』 by ジョン・ウィリアムズ

生きるとはいろいろな側面を持つもので「最高に幸せな人生だ!」とか「不幸せなクソみたいな人生だ!」とか簡単には総括できるものではないんじゃないかとよく思う。もちろん、そう言えるにも様々な幸運にみまわれなければいけないことはさておいて……。自分…

独創短編シリーズ (野﨑まど劇場 && 野崎まど劇場(笑) ) (電撃文庫) by 野崎まど

諸君らはこんなブログを読んでいるぐらいだから「小説とはなにか」と聞かれたらせせら笑いながら「こいつ、小説もわからねえのか、カスが」ぐらいは言ってのける存在であると僕は考えているが、実際問題「小説とは、どこからどこまでのことを小説と呼称する…

みならいディーバという奇跡

この世は常に失敗を怖れない偉大な開拓者たちによって切り開かれてきた。一番乗りの開拓者には、そのリスクと引き換えにあるボーナスが与えられる。後続が洗練され、より優れたことをやる前のことなので、「たとえぐだぐだであっても、クォリティが低くても…

天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 by 小川一水

天冥の標第一部からここまで、撒かれてきた種がここに来て一斉に芽吹きはじめた──。天冥の標が出て最初に書かれた時系列までようやく辿り着き、別側面から描いてみせたPART1だが、「その先」が書かれるのがこのPART2になる。もはやことここに至ってネタバレ…

太陽・惑星 by 上田岳弘

世の中には「こいつは文章を、物語を書くために生まれてきたような人間だ」と思わせるような圧倒的な力を感じさせる作品を出してデビューする作家がいるが、久々にその感覚を味わった。唖然とするような発想。それをバカげた話で終わらせない説得力。最終的…

エネルギー問題入門―カリフォルニア大学バークレー校特別講義 by リチャード・A.ムラー

これは素晴らしかったなあ。タイトルこそエネルギー問題入門だが、原題はEnergy for Future Presidents で、一貫して「これを聞いているあなたが将来米国Presidentになった時どうしたらいいか」という問いかけによって進行していく。著者はUCバークレー物理…

凶悪な感染症との闘い──『ホット・ゾーン:エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々』

ホット・ゾーン: エボラ・ウイルス制圧に命を懸けた人々 (ハヤカワ文庫NF)作者:リチャード・プレストン発売日: 2020/05/22メディア: 文庫1994年刊、14年に復刊されたものの版元を変えての文庫化で、76年から93年にかけてのエボラ感染事例を扱ったノンフィク…

未必のマクベス by 早瀬耕

徹夜小説という、面白すぎて徹夜してしまうような小説に対する呼び方がいつから出来たのかあいにくわからないが、僕は好きな本ほど徹夜したくないと思う。徹夜したくなるほど面白い小説であればこそ、集中力が落ちた状態で一読めを乗り切ってしまうことにも…

問題をどう解くか: 問題解決の理論 (ちくま学芸文庫 ウ 22-1) by ウェイン・ウィケルグレン

1980年に出ていたものがちくま学芸文庫にて最近文庫化されたので初読み。これは名著だ。たくさん「この人は頭の回転が速いなあ」と思う人にあってきたが、頭の良さにもいくつかのパターンがある。純粋に計算能力や記憶能力が良いといった地力が強いタイプ。…

RPF レッドドラゴン

TRPGの手法を用いて「最高のフィクション」を生み出すためのシステムなどといって出てきたロールプレイングフィクション(RPF)などというイマイチよくわからないものが最初このレッドドラゴンのウリ文句だった。それってようはTRPGのリプレイってだけでしょ…

人類は衰退しました by 田中ロミオ

ゆるふわな絵柄を身にまとい、起こる事件はどれも超常現象、超常テクノロジーに支えられめちゃくちゃな事態に発展し、語り手である少女は翻弄される。ただしあらゆる要素が軽い、ユーモアあふれる文体に包まれている。文体と絵柄によりかわいく、ゆるく包ん…

旅のラゴス (新潮文庫) by 筒井康隆

単純に筆者の力不足ゆえ内容に触れずにレビューすることが不可能だった為、下記の記述では内容に随分と遠慮なく、結末に至るまで触れています。注意してください。 うまく言葉にできないが、まるでひとつの人生を終えたようだ……というのが読み終えた人間が共…

侍という不思議な生き物『フォグ・ハイダ』 by 森博嗣

侍というのは不思議な生き物だとこの森博嗣さんによるヴォイド・シェイパシリーズを読んでいると思う。刀を持っている。刀の機能とは置物、芸術的価値を別にすれば、人を斬ることにある。人を斬る必要がある状況とは相手が自身にとって道を阻害するものであ…

オービタル・クラウド by 藤井太洋

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫 JA フ 4-1) - 基本読書の著者藤井太洋さんによる第二長編がこの『オービタル・クラウド』になる。Gene Mapperの頃から何らプロと遜色ないレベルの小説を書き上げていた著者だがやはり全体を通してキャラクタの描き方…

残像に口紅を (中公文庫) by 筒井康隆

僕はこれを読み終えた時、結末へ向かっていくこの小説を読んで思わず泣いてしまったのだ。それはストーリーが感動的だったからではなく、ただただその凄まじい内容に圧倒されて泣いたのだ。こんな内容があっていいのかと。こんな表現があっていいのかと。想…

深紅の碑文 by 上田早夕里

異様な、というのが全体を通して読み終えた時の第一印象だった。華竜の宮 - 基本読書 の続編にあたる本作だが、いずれ必ず訪れる溶岩噴出による成層圏までばらまかれる粉塵によって太陽が届かなくなる地球という「終末」に向かいつつある人類の、右往左往、…

世界はたくさんのみんなでできているんだよ『成恵の世界』 by 丸川トモヒロ

1999年から連載が始まり、2013年2月号でついに連載が完了した。全13巻である。ぎりぎりになってしまったが、完結年に紹介できてよかった。素晴らしい青春SF活劇コメディであり、13年の時の流れを経て、なお古びれることのない傑作漫画だった…

全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする

全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする - 基本読書 初出2013/01/31に書いたものの第七部追加verになります。2013/12/21この世にはたくさんの感動がある。山登りをする人間には、山を登っている時の空気の味、一歩一歩踏みしめていく時の感触とい…

天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫 JA オ 6-21) by 小川一水

『残存人類』帯に書かれたこの四文字。これだ。このぞっとするような言葉の響きを得るために、たった四文字を自分の中でたとえられない興奮に変換させるために僕はSFを読んでいるのだ。「残存人類」。それはSFでしか出てこない言葉だ。残存は使われるだ…

映画『ゼロ・グラビティ』

やられた。視覚的に、ノックダウンされた。一時間半、食い入るように世界に入り込んでいた。映画が終わった時、自分の周囲に重力が戻ってきた感覚があった。ここに重力があって、自分の足が地面を踏みしめていることが、何不自由なく行えるのだという単純な…