基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

小説その他

別荘 (ロス・クラシコス) by ホセ・ドノソ

時間は伸び縮みし、現実の有り様は歪む。秩序が崩壊し、既存の生活様式を破壊し、奔放な想像力を自由にさせるがままに任せたような象徴的な空間とエピソードが連続して物語を紡いでゆくこの本をいったいどのようにして紹介したものなのかさあ書きだそうとし…

フラニーとズーイ (新潮文庫 サ 5-2) by サリンジャー

久しぶりに読み返してみた。僕のような特に専門教育も受けておらず特段の極秘情報を持つわけでもない人間がこうした感想を書くことにドレほどの意味があるのかわからないが、サリンジャーの作品はどれも僕の中で深く根を下ろしていて読むとやはり引き込まれ…

無声映画のシーン by フリオ・リャマサーレス

この世にはいろいろな小説がある。どきどきわくわくするような冒険譚があるかとおもえば、未来世界を延々と描写していくものもある。そうかとおもえば使える文字がだんだん減っていく小説があったりする。そしてこの『無声映画のシーン』のように、淡々と町…

とっぴんぱらりの風太郎 by 万城目学

万城目学さんによる時代小説。どうもそういうイメージがなかったのでこれを本屋で見かけた時にはわりと驚いた。きっちりとした時代小説であることもそうだし、その長さにも。Kindle版で読んだのでページ数はわからなかったが、今調べると750ページ近くあ…

小説のタクティクス (単行本) by 佐藤亜紀

創作物と受け手がそれを受容した時、その快楽はどこから、いかにして生まれるのかを解説してみせた佐藤亜紀『小説のストラテジー (ちくま文庫)』 - 基本読書の続編が本書『小説のタクティクス』になる。記述の運動によっていかにして読み手の応答を引き出し…

蠅の王 (新潮文庫) by ウィリアム・ゴールディング

有名作だと思うがどんな意味で有名なのかはわからない。ガキンチョ共が果物がいっぱいあって豚がいてとりあえず飢えて死ぬことはない極楽の島に飛行機の墜落の結果辿り着く。時代は近未来で何らかの大戦中の攻撃であった。その島では大人は一人もおらず子供…