基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

新書

ニッポンの音楽 (講談社現代新書) by 佐々木敦

佐々木敦さんによる1960年代末から現在にまで至る日本のポップミュージックの歴史をおった一冊。歴史をおったっつってもそこには何百何千というアーティストの列があるわけで、すべての動きを追っていったら年表出来事羅列形式でもない限り新書一冊におさめ…

昆虫はすごい (光文社新書) by 丸山宗利

昆虫はすごい。昆虫がいなけりゃあ繁殖できない植物がいっぱいある。生態系のかなめだ。昆虫自身の繁殖方法も多様で、繁殖が終わった瞬間にメスの餌になってしまったり、遺伝子を混合させずに自分と同じ遺伝子を持った子孫を残す種がいたり、自分の種を別の…

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書) by 冨山和彦

アベノミクスによるトリクルダウンの効果を非常に一面的に見積もっているのではないかとか、貿易赤字はそこまで問題じゃないでしょと思ったり、細かいところで異論があるけど発想部分は面白かったな。それは著者が学者ではなく経営コンサルタント、経営者で…

はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査 (講談社現代新書) by 松浦晋也

現在時点で打ち上がっている可能性もあったはやぶさ2だが、現状延期中で次の予定は12月3日になっている。一応予備日として12月1〜9日までおさえ、計算しているはずなのでそのどこかでは打ち上がってくれると信じたいところだ。小惑星も天体も常に動…

孤独の価値 (幻冬舎新書) by 森博嗣

思考を自由にするために、思考をする。この『孤独の価値』を読んでいて、森博嗣さんがここ何年か出している新書群を一言で言い表すなら、こういう表現が良いのではないかと思った。たとえば昨年出版された「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書) - 基…

江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書) by 原田実

本書『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書) 』は、江戸しぐさなる、江戸時代に存在していたとされる行動哲学、商人道、共生の知恵のようなものがまったくのペテン、歴史偽造であり1980年代に発明された考え方だったことを明らかにし…

知中論 理不尽な国の7つの論理 (星海社新書) by 安田峰俊

面白かった。論点を7つに絞って、シンプルに歴史的背景から説明を重ねていくので読みやすくわかりやすい。キチガイのように見える相手の中にも、そう見えているだけで中にはまっとうな論理や、感情にいたるまでの経緯があるものだ。そうした部分を見ずに結…

医療の選択 (岩波新書) by 桐野高明

国家を考える時にそこに問題がないことはありえないが、とりあえずおおまかな分類としてエネルギーや教育、政治、地方自治に加え医療含む福祉をどう分配するのかなどは重要な論点となるだろう。本書はその中でも特に医療について我々はどのような選択肢をと…

第一次世界大戦 (ちくま新書) by 木村靖二

今でこそ「第一次」世界大戦となって世界中に知れ渡っているが当時は当然第二次がないのだから第一次もクソもなく、それどころか開戦時は今知られているような大規模な戦争に発展してしまうと考えていた人間も少なかった。戦争が起こるにいたった起点も今か…

NASA ―宇宙開発の60年 (中公新書) by 佐藤靖

NASAの宇宙施策はアポロが終わりISSの運用が始まったあと、何を目指しているのかよくわからない。無人探査を推し進めるのか? それとも有人で火星に人を送り込むのか? 送り込むとしてちょっと地面に足をつけて帰ってくるのか? 本格的に人間を「住まわせる…

生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書) by 中沢弘基

生命の起源。知ることができたらうれしい。あそこにいる犬も猫も、そのへんにいる雑菌もみんなみんな生きている。生きているとはまあいろいろ定義はあるがおおまかに言って自己増殖することだ。なんでこんなものが出てきたんだろう? こんな仕組みが勝手に出…

アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本 (星海社新書 47) by 舛本和也

アニメーション制作進行くろみちゃんというアニメーション作品を見た時、あまりに過酷で、平均的な価値観が通用せず、精神を削り肉体を削り仕事をしているのでこんな仕事には絶対につきたくないものだなあと思ったものだった。くろみちゃんはその日が初めて…

非線形科学 同期する世界 (集英社新書) by 蔵本由紀

「同期」をテーマに据えた一冊。宇宙から人体、ホタルから橋まで、同期というテーマで世の中をみていくとまとまりがなさすぎて何がなんだかよくわからなくなってくる。しかしその複雑さ、一見して関連のないところに関連をみいだし世界すべてを複雑なまま理…

エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書) by 仲野徹

生命科学の分野で今一番気になっているのがこのエピジェネティクスの分野なのだがまだまだ関連本が少ない。この前エピゲノムと生命 (ブルーバックス) by 太田邦史 - 基本読書 が出て、今回本書も出たのでだんだん出揃ってきた感はある。ハードカバーではそれ…

社会保障亡国論 (講談社現代新書) by 鈴木亘

鈴木亘さんの本を初めて読んだのは年金について論じていた本だったか。今回は年金含め日本の社会保障費がいかにヤバイことになっているかの解説と、それについての具体的な対策を論じている。実際社会保障費はヤバイ。消費税は上がり、後退を続ける年金に明…

定年後の起業術 (ちくま新書) by 津田倫男

ちくま新書のラインナップを見ているとここ最近定年後や中高年世代の働き方に関する本が定期的に出ていることに気がつくがこれもそんな中の一冊。実際に定年後の起業を考えている人間以外には役に立つとも思えないが一応紹介しておこう。昨日の更新との絡み…

日本の雇用と中高年 (ちくま新書 1071) by 濱口桂一郎

本書はずいぶんとわかりやすく過去とこれから先を整理してくれている一冊であり、読みおえると自分の現状や行末を俯瞰してみれるなかなかの良書。 自分がまさにその只中にいるからこそ現状の日本各所で見られる労働形態には違和感ばかり募っていき、かといっ…

知の英断 (NHK出版新書 432)

知の逆転 (NHK出版新書 395) - 基本読書 の続編? といっていいものかどうかわからないが版元もインタビュアーも同じ。知の最先端というハイパー二番煎じもあったがあっちは知の最先端でなぜかカズオ・イシグロに話をききにいくなど、人選がよくわからなかっ…

荒木飛呂彦論: マンガ・アート入門 (ちくま新書) by 加藤幹郎

優れたジョジョという漫画シリーズについて大ファンである著者がその魅力を解き明かしていく構成。あらかじめ言っておくと、完全な本ではない。いちいちここで一つ一つ指摘していくこともしないが、取り上げられるポイントにどうも納得いかないところがある…

標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学 (NHK出版新書 407) by 竹内洋岳

山に登る人の話が好きだ。小説でもノンフィクションでも映画でも変わらない。何が面白いのか考えてみたが、僕には登山に生命をかける人たちのことがぜんっぜん理解できないからかもしれない。生命をかけるというのは単なる比喩ではなく、登山家は現代とは思…

マグネシウム文明論 石油に代わる新エネルギー資源

マグネシウム文明論の「文明論」の部分はいったい何が言いたいのかよくわからないが「石油に代わる新エネルギーとしてのマグネシウム」について、その実用可能性を語った一冊。これが大変面白い。というか凄い。あんまり凄すぎると「ほんとかあ?」と疑いた…

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる

佐々木俊尚氏によるここまでの情報社会の流れをまとめましたーといった感じ。大変わかりやすくまとめられていて面白かった。「なんか最近の情報関連のことを知りたいんだけど」と訊かれたら「はい」と即座に手渡してもいいぐらいにはオススメ。キュレーショ…

巨大翼竜は飛べたのか−スケールと行動の動物学

わくわくしながら読んだ。たいへん面白いと思います。最近だと『辺境生物探訪記 生命の本質を求めて』なんかも凄く面白かった。やっぱり生物を相手に各地へ飛んでいく人たちは(南極や無人島などに本書の著者も行く)環境がすぐに変わるし、予測不可能なこと…

カラシニコフ自伝 世界一有名な銃を創った男

AK47と聞いていったいどれぐらいの割合の日本人がそれを自動小銃だと知っているのかはわかりませんが、「有名」なことは確かだと思う。僕はと言えば戦争物の小説もよく読むし、自伝も読むし、一時期FPSゲームにハマっていた時は命中精度には少し難がある…

世界史をつくった海賊

海賊。ワンピース、パイレーツオブカリビアンで半ばヒーローのように書かれるこの存在が、なぜそのようにヒーローとして描かれるのか。その社会背景が面白い。本書は主に「16世紀イギリスにおける海賊の役割」について書かれている。海賊のことなんかさっぱ…

自分探しと楽しさについて

小説をもう働く必要もないぐらいいっぱい売っている森博嗣先生の集英社新書新刊が本屋に並んでいたので思わず買ってしまった。てっきり前回の三部作で終わりだと思っていたのだが、もう一冊出すことにしたようで。いそいそと買って読んだ。題名通りそのまま…

シュルレアリスム―終わりなき革命

病み上がりで体力があまりないのでリハビリ代わりに適当に書いて短く終わらせる。「シュルレアリスム」や「シュール」といった言葉をよく聞くけれど、いったいどういう意味なのかよくわからなかったのでこの『シュルレアリスム―終わりなき革命』を読んでみま…

英語と日本語のあいだ

さいきん英語を勉強する気がまったくないのにも関わらず英語学習やらなんやらについて書いた本をもそもそと読んでいます。この本もその過程で読みました。現在のコミュニケーション英語を重視する風潮へ、「日本人英語学習者はいかようにして英語を学習する…

誰も教えてくれない人を動かす文章術

文章は何のために書くのか? この答えは様々にあるかと思いますが、本書で設定している答えは、これです。 文章は、人を動かすために書く! 文章力とは、この世を生きる力であるで超話題になっていたので読んだ。内容自体はリンク先がとても良いまとめになっ…

『英語達人塾』と『英語達人列伝』

ツイッターで茂木健一郎せんせーがこの二冊のうちのどちらかを褒めていたらしく、なんとなく読んでみた。どちらを褒めていたのかはわからないけれど、どちらも良書だと思う。『英語達人塾』の方はそのまんま、過去における日本の英語達人たちから、「英語の…