基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

科学ノンフィクション

間違いだらけの論文──『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』

生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場作者: リチャード・ハリス,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/03/07メディア: 単行本この商品を含むブログを見る毎年100万件以上の生物医学研究の論文が科学文献に発表されるが、その多くが間違っている─…

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年作者: マットウィルキンソン,Matt Wilkinson,神奈川夏子出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログを見る今年読んだノンフィクションの中で最高の一…

騙され、不利益を被らないないために必要な基礎知識──『データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学』

データは騙る: 改竄・捏造・不正を見抜く統計学作者: ゲアリー・スミス,川添節子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るファクトの価値が高まり続けている昨今だが、そうはいっても何がファクトなのかを見…

文化的な営みは感情に起源を持つ──『進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源』

進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源作者: アントニオ・ダマシオ,高橋洋出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2019/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る現代神経科学の巨人アントニオ・ダマシオの最新邦訳である。専門分野である神経…

宇宙文明が遭遇すると想定される、普遍的な危機への考察──『地球外生命と人類の未来 ―人新世の宇宙生物学―』

地球外生命と人類の未来 ―人新世の宇宙生物学―作者: アダム・フランク,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/01/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るこの広い宇宙に、文明を発達させた生物の住まう惑星はいくつあるのだろう…

うまく死ぬには現代は複雑すぎる──『現代の死に方: 医療の最前線から』

現代の死に方: 医療の最前線から作者: シェイマス・オウマハニー,小林政子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2018/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る病気をしているわけではないのだけれども、最近死について考えることが増えた。はたして…

異なる道筋で進化した「心」を分析する──『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源作者: ピーター・ゴドフリー=スミス,夏目大出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/11/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るタコというのはなかなかに賢い生き物で、その賢さを示すエピソード…

人間を超えた存在になりたいと願う人々──『バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する』

バイオハッキング―テクノロジーで知覚を拡張する作者: カーラ・プラトーニ,田沢恭子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2018/11/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの本を読むまで僕もまったく知らなかったのだが、世の中にはバイオハッカー、グラ…

新たな材料こそが、時代の扉を開く──『世界史を変えた新素材』

世界史を変えた新素材 (新潮選書)作者: 佐藤健太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2018/10/26メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る世界の歴史を駆動させてきた力を、化合物的な視点から見直していく『炭素文明論』の著者佐藤健太郎…

脳が進化していくどのタイミングで神が現れたのか?──『神は、脳がつくった――200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』

神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源作者: E.フラー・トリー,寺町朋子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る神は脳がつくったとはいうが、だいたいの感情や概念は…

絶滅は本当によくないことなのか?──『絶滅できない動物たち 自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ』

絶滅できない動物たち――自然と科学の間で繰り広げられる大いなるジレンマ作者: M・R・オコナー出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2018/09/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る人間の活動やそれに伴う気候変動によって物凄い数の生物が絶…

中国の知的財産権の善と悪──『ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険』

ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険作者: アンドリュー“バニー"ファン,山形浩生,高須正和出版社/メーカー: 技術評論社発売日: 2018/10/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見るハードウェアハッカーと…

失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』

本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発さ…

驚きを与えられたい一方で、心地よさを望む──『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで作者:デレク トンプソン発売日: 2018/10/04メディア: 単行本(ソフトカバー)ヒットの設計図なんてあるわけがないだろうと、書名を見た段階では反射的には思ったわけだが、それはそれとして世の中のヒットの…

ロケットエンジンの基礎が概観できる最高の一冊──『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来 (中公新書)作者: 小泉宏之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2018/09/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る中公新書は『小惑星探査機はやぶさ』や『NASA─宇宙開発の60年』など、素晴…

植物状態の患者に意識はあるのか『生存する意識──植物状態の患者と対話する』

生存する意識作者: エイドリアン・オーウェン,柴田裕之出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2018/09/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る植物状態というと、通常は意識が完全にシャットアウトされ、意思疎通をはかることが困難な状態だという理解…

ドーピングはいかに人体に作用するのか──『走る、泳ぐ、ダマす アスリートがハマるドーピングの知られざる科学』

走る、泳ぐ、ダマす アスリートがハマるドーピングの知られざる科学作者: クリス・クーパー,西勝英出版社/メーカー: 金芳堂発売日: 2018/09/07メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るアスリートのドーピング使用が発覚してメダルが剥奪…

”時間”とは人間にとって何なのか── 『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』

タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る作者: ジェイムズグリック,夏目大出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2018/08/27メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「タイムトラベル」といえばこれを読んでいる多くの人は「あーはいはい」とその意味するところ…

我々は今後土をどう扱っていけばいいのか──『土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話』

土・牛・微生物ー文明の衰退を食い止める土の話作者: デイビッド・モントゴメリー,片岡夏実出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2018/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『銃・病原菌・鉄』みたいな書名だが中身は土と農業の話である。著者のデ…

VRのさまざまな活用事例について──『VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学』

VRは脳をどう変えるか? 仮想現実の心理学作者: ジェレミーベイレンソン,Jeremy Bailenson,倉田幸信出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2018/08/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見る期待と異なるところがある上に、邦題が内容とあってないなど微妙な…

レジリエンスは万能薬ではない『逆境に生きる子たち──トラウマと回復の心理学』

逆境に生きる子たち――トラウマと回復の心理学作者: メグジェイ,Meg Jay,北川知子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/08/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る「レジリエンス」という心理学で用いられる用語がある。これは親の…

早川書房が「文系も楽しめるサイエンス」電子書籍ノンフィクションほぼ半額セールをやっているからオススメをピックアップ

病の「皇帝」がんに挑む 人類4000年の苦闘(上)作者: シッダールタ・ムカージー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/09/25メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る突然早川書房が「文系も楽しめるサイエンス」としてサイエンスノンフィクショ…

狩りへと変質する戦争──『ドローンの哲学 遠隔テクノロジーと〈無人化〉する戦争』

ドローンの哲学――遠隔テクノロジーと〈無人化〉する戦争作者: グレゴワール・シャマユー,渡名喜庸哲出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2018/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログを見る軍事目的のものも個人用のものも含めて、誰もがドローンの存在を…

古典文学やベストセラーを統計を通して分析する──『数字が明かす小説の秘密』

数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで作者: ベン・ブラット,坪野圭介出版社/メーカー: DU BOOKS発売日: 2018/07/13メディア: 単行本この商品を含むブログを見る小説を評する、分析するといえば基本的には一人の人…

瞑想を科学的に語り直す──『なぜ今、仏教なのか 瞑想・マインドフルネス・悟りの科学』

なぜ今、仏教なのか――瞑想・マインドフルネス・悟りの科学作者: ロバートライト,福岡伸一,魚川祐司,熊谷淳子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/07/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る我々は生活のすべてを自由意志で決定し…

社会科学者らが立ち向かう困難──『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史作者: ジャレド・ダイアモンド,Jared Diamond,ジェイムズ・A・ロビンソン,James A. Robinson,小坂恵理出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2018/06/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) …

ジェット推進研究所でひたすら計算し続けた女性たちがいた──『ロケットガールの誕生: コンピューターになった女性たち』

ロケットガールの誕生: コンピューターになった女性たち作者: ナタリアホルト,秋山文野出版社/メーカー: 地人書館発売日: 2018/07/10メディア: 単行本この商品を含むブログを見るジェット推進研究所(JPL)、という、NASAの中でも無人探査機などの研究開発に関…

あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』

好き嫌い―行動科学最大の謎―作者: トムヴァンダービルト,桃井緑美子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るあなたは何色が好きですか?と聞くと大抵の人はペラペラとこんな色が好きですと…

データ分析の失敗が社会にもたらす害悪──『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』

あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠作者: キャシー・オニール,久保尚子出版社/メーカー: インターシフト発売日: 2018/06/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る個人の信用度、職務遂行度、性格診断、投資モデルなど我々は…

創薬の歴史、その苦難──『新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求』

新薬の狩人たち――成功率0.1%の探求作者: ドナルド R キルシュ,オギオーガス,寺町朋子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/06/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る風邪をひいたり精神を病んだりして病院にいくとお薬をもらうわけだが、その薬は…