基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

経済ノンフィクション

格差から経済の長期停滞まで、現代経済の様相の原因を無形資産で説明する──『無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体』

無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体作者:ジョナサン ハスケル,スティアン ウェストレイク出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2020/01/17メディア: 単行本無形資産とは、文字通り「無形」、つまり形がない資産のことである。ゲームやwe…

持続可能なコーヒー栽培を目指して──『世界からコーヒーがなくなるまえに』

世界からコーヒーがなくなるまえにペトリ・レッパネン+ラリ・サロマー (著)出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/10/25メディア: 単行本Amazonコーヒーを日常的に飲む国が増えたこともあって、世界のコーヒー需要は年々あがっている。一方で、大量生産と安価…

汚職についての詳細なメカニズムを解き明かしていく一冊──『コラプション:なぜ汚職は起こるのか』

いったいなぜ汚職が起こるのか、と言われても、それが発生する人間心理についてはそう不可思議な点はない。乱用できる権力があり、さらにそれを振りかざすことで利益が手に入るのであれば、そうすることもあるだろう、と容易く想像できてしまう。「やるだろ…

BIを導入したら本当に人は働かなくなるのか?──『みんなにお金を配ったら──ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?』

みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?作者: アニー・ローリー,上原裕美子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2019/10/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見るベーシックインカムという、最低限所得保障の考え…

人間集団の大きな流れの物語──『人口で語る世界史』

人口で語る世界史 (文春e-book)作者: ポール・モーランド出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2019/08/29メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る人口については、日本においては最重要検討事項のひとつだろう。日本の年齢の中央値は現在46歳。世界で最…

自分を支配するアルゴリズムとどう付き合っていくべきか──『Uberland ウーバーランド アルゴリズムはいかに働き方を変えているか』

Uberland ウーバーランド ―アルゴリズムはいかに働き方を変えているか―作者: アレックス・ローゼンブラット,飯嶋貴子出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/07/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るウーバーランドとは日本の有名な…

絶望的な負け戦をどう戦うか──『NOKIA 復活の軌跡』

NOKIA 復活の軌跡作者: リストシラスマ,田中道昭,渡部典子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/07/04メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るノキア、復活の軌跡というけれど僕の中でノキアが復活したというイメージはまったくなかっ…

終わりなきモルヒネとしての量的金融緩和──『中央銀行の罪 市場を操るペテンの内幕』

中央銀行の罪 市場を操るペテンの内幕作者: ノミプリンス出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/06/06メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る今の経済は僕にとっては複雑すぎる。デフレが続けば消費をしなくなって結果的に景気が後退するから、金利…

人類にはふたつの惑星という保険が要る──『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』

人類、宇宙に住む: 実現への3つのステップ作者: ミチオ・カク,斉藤隆央出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2019/04/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る理論物理学者にして、ディスカバリーチャンネルへの出演など、広く科学の啓蒙に勤めるミチオ・…

欠陥まみれのGDP──『幻想の経済成長』

幻想の経済成長作者: デイヴィッドピリング,David Pilling,仲達志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/03/20メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る一般的に経済成長はいいものだとされる。経済成長の計測については国内総生産、GDP…

未来を見る方法──『WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択』

WTF経済 ―絶望または驚異の未来と我々の選択作者: Tim O'Reilly,山形浩生出版社/メーカー: オライリージャパン発売日: 2019/02/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見るプログラマからすると頭が上がらない技術書出版社のボス、ティム・オライリーによ…

予測精度の向上が、ビジネス戦略に破壊的な転換をもたらす──『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』

予測マシンの世紀―ーAIが駆動する新たな経済作者: アジェイアグラワル,ジョシュアガンズ,アヴィゴールドファーブ,小坂恵理出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/02/06メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人工知能の発展・普及の…

驚きを与えられたい一方で、心地よさを望む──『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで作者:デレク トンプソン発売日: 2018/10/04メディア: 単行本(ソフトカバー)ヒットの設計図なんてあるわけがないだろうと、書名を見た段階では反射的には思ったわけだが、それはそれとして世の中のヒットの…

なぜギャンブルにハマってしまうのか──『デザインされたギャンブル依存症』

デザインされたギャンブル依存症作者: ナターシャ・ダウ・シュール,日暮雅通出版社/メーカー: 青土社発売日: 2018/06/25メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るギャンブル依存というと「依存するほうが悪い。とっととやめればいいんだ…

けものフレンズのプロデューサーが語る、アニメビジネスの金の流れ──『アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み』

アニメプロデューサーになろう! アニメ「製作(ビジネス)」の仕組み (星海社新書)作者: 福原慶匡出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/03/25メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る福原慶匡さんは、今では『けものフレンズ』の制作会社ヤオヨロズの…

経済成長に頼らない形での繁栄を目指して──『ドーナツ経済学が世界を救う』

ドーナツ経済学が世界を救う: 人類と地球のためのパラダイムシフト作者: ケイトラワース,Kate Raworth,黒輪篤嗣出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/02/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る今の社会は基本的に経済成長する、経済成…

矛盾に貫かれた国──『日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そして未来』

日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そして未来 上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)作者: R.ターガートマーフィー,仲達志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/19メディア: 文庫この商品を含むブログを見る日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そ…

ファンの行動力学──『ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂 』

ファンダム・レボリューション:SNS時代の新たな熱狂作者: ゾーイフラード=ブラナー,アーロン M・グレイザー,関美和出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/12/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見るファンというのは怒らせると怖いものだ。うまくい…

スター・ウォーズには全世界が含まれる──『スター・ウォーズによると世界は』

スター・ウォーズによると世界は作者: キャス・R.サンスティーン,Cass R. Sunstein,山形浩生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見るけっこう変な本である。『実践 行動経済学』などの著作があり、オ…

サイエンス重視の意思決定ではもはややっていけない──『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)作者: 山口周出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/07/19メディア: 新書この商品を含むブログを見るHONZは自分の好き勝手に本を紹介するサイトなので、同…

経済学を学びたい人へ、最初に渡したい一冊『エコノミックス――マンガで読む経済の歴史』

エコノミックス――マンガで読む経済の歴史作者: マイケル・グッドウィン,ダン・E・バー,脇山美伸出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2017/03/17メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る本書はその書名のとおりに、マンガで学べる経済史…

経済はごまかしに満ちている──『不道徳な見えざる手』

不道徳な見えざる手作者: ジョージ・A.アカロフ,ロバート・J.シラー,George A. Akerlof,Robert J. Shiller,山形浩生出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2017/05/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る本書はあまりまとまっては指摘され…

知識やノウハウの分布から成長率を予測する──『情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて』

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて作者: セザー・ヒダルゴ,千葉敏生出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/04/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るいろいろとしっくりこない一冊だ。『宇宙はエネルギー、物質、情報でできてい…

感情がどのようにして利益をもたらすか──『愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める』

愛と怒りの行動経済学:賢い人は感情で決める作者: エヤル・ヴィンター,青木創出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る感情的な選択をとる人間は愚かで、理性的であることが人間の理…

あの時、アメリカで何が起こっていたのか──『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』

セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争(上)作者: ブレイク J ハリス,Blake J. Harris,仲達志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/23メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見るPS4とSwitchが盛況な現代だけれども、かつてセ…

トマ・ピケティ絶賛の"長篇小説"──『貧困の発明 経済学者の哀れな生活』

貧困の発明 経済学者の哀れな生活タンクレード ヴォワチュリエ,Tancrede Voituriez 早川書房 2017-02-23 AmazonKindle ピケティ絶賛と煽り文句のついている「貧困の発明」って本、おもしろそうな経済ノンフィクションだな〜〜と思ってよくみたら"長篇小説"で…

宇宙植民の可能性を問う──『宇宙倫理学入門──人工知能はスペース・コロニーの夢を見るか?』

宇宙倫理学入門作者: 稲葉振一郎出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2016/12/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る近年イーロン・マスク率いるスペースX社を筆頭に、民間企業による宇宙開発が加速している。本書は「宇宙倫理学」と書名…

彼らはなぜヨーロッパをめざすのか──『シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問』

シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問作者: パトリック・キングズレー,藤原朝子出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2016/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログを見る難民の問題はやたらとその数と、ヨーロッパが対応に追われていると…

なぜ子供たちはギャングになるのか──『マラス 暴力に支配される少年たち』

マラス 暴力に支配される少年たち作者: 工藤律子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2016/11/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「マラス」という言葉を聞いたことがない人も多いだろうが、マスコミの用い方では中米を根城にする若者ギャング団のこ…

移民政策の是非を問う──『移民の経済学』

移民の経済学作者: ベンジャミンパウエル,Benjamin Powell,薮下史郎,佐藤綾野,鈴木久美,中田勇人出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2016/10/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見るトランプ次期大統領が犯罪歴のある不法移民を強制送還する、メ…