SF
拡散 上 大消滅2043 (文春文庫)作者:邱挺峰文藝春秋Amazon『拡散』は、台湾の作家邱挺峰の作家デビュー作にあたる、近未来ワインSFである。最初、書名だけ見てありがちな終末SFだと思い食指が動かなかったのだが、読み始めてみればワインの愛好家によって書…
マシンフッド宣言 上 マシンフッドセンゲン (ハヤカワ文庫SF)作者:S B ディヴィヤ早川書房Amazonこの『マシンフッド宣言』は、インド生まれのアメリカ人作家S・B・ディヴィヤの第一長篇となる。21世紀の近未来を舞台に、人工知能とロボットに人間の労働…
そして、よみがえる世界。作者:西式 豊早川書房Amazonこの『そして、よみがえる世界。』は第12回アガサ・クリスティー賞の大賞受賞作である。前回のアガサ・クリスティー賞の受賞作は話題沸騰の逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』だったのでその次の選考に…
プロトコル・オブ・ヒューマニティ作者:長谷 敏司早川書房Amazon長谷敏司、『BEATLESS』(2012)に続く10年ぶりのSF長篇がこの『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』になる。長谷敏司がその間何もしていなかったわけではなくて、短篇も数多く書いているし、…
平和という名の廃墟 上 帝国という名の記憶 (ハヤカワ文庫SF)作者:アーカディ マーティーン早川書房Amazonこの『平和という名の廃墟』は、前作『帝国という名の記憶』で長篇デビュー作ながらもヒューゴー賞を受賞したアーカディ・マーティンの第二作にして二…
タワー作者:ペ・ミョンフン河出書房新社Amazonこの『タワー』は、韓国を代表するSF作家の一人ペ・ミョンフンの代表作といえる連作短篇集だ。最初、それ以外の前情報は一切仕入れずに読み始めたのだが、すぐに面食らってしまった。いったいこれは何の話なん…
九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション (竹書房文庫)作者:マルカ・オールダー,フラン・ワイルド,ジャクリーン・コヤナギ,カーティス・C・チェン竹書房Amazonこの『九段下駅 或いはナインス・ステップ・ステーション』は、マルカ・オールダー、フ…
流浪地球 (角川書店単行本)作者:劉 慈欣,大森 望,古市 雅子KADOKAWAAmazonこの『流浪地球』と『老神介護』は、『三体』で知られる中国を代表する作家劉慈欣の短篇集である。なぜ同時に二冊出てるんだ、と思うかもしれないが、KADOKAWAが翻訳権を得た劉慈欣の…
静寂の荒野【ウィルダネス】作者:ダイアン クック早川書房Amazonこの『静寂の荒野』は、ニューヨークを拠点とするアメリカ人女性作家ダイアン・クックのはじめての長篇作品である。長篇は初だが、短篇ですでにデビュー済み。本邦でもすでに短篇集『人類対自…
シャーロック・ホームズとシャドウェルの影 (ハヤカワ文庫FT)作者:ジェイムズ ラヴグローヴ早川書房Amazon映画も含めたシャーロック・ホームズ関連作品はコナン・ドイルによる正典の他に数多くのパスティーシュ、クロスオーバー、二次創作で溢れかえっている…
アポロ18号の殺人 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:クリス ハドフィールド早川書房Amazonこの『アポロ18号の殺人』は、アポロ17号でアポロ計画が終わり、その後宇宙開発が停滞に入ってしまった現代とは異なり、アポロ計画が18号まで持続し、さらに米ソの戦いが宇…
ヨーロッパ・イン・オータム (竹書房文庫)作者:デイヴ・ハッチンソン竹書房Amazonこの『ヨーロッパ・イン・オータム』は本邦初紹介のイギリス作家デイヴ・ハッチンソンによるSFスパイ長篇となる。本作は西安風邪の蔓延によってEUが崩壊し、みながみな好き勝…
三体X 観想之宙作者:宝樹早川書房Amazonこの『三体X』は、劉慈欣による中国SF最大の話題作である《三体》三部作の、宝樹による公式外伝(スピンオフ)である。公式外伝といっても種類はたくさんあるが、本作が描き出すのは基本的には『三体』の第三部で起こっ…
早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にセールをやるが、1500点級のセールを前回やったのは去年の6月頭なので、年に一回のセールとなる。これ以上安くなる…
極めて私的な超能力 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:チャン ガンミョン早川書房Amazonこの『極めて私的な超能力』はSFだけでなくノンフィクションや労働小説など幅広いジャンルの作品を手掛ける韓国の人気作家チャン・ガンミョンによるSF短篇集だ。この…
こうして絶滅種復活は現実になる:古代DNA研究とジェラシック・パーク効果作者:エリザベス・D・ジョーンズ原書房Amazonマイケル・クライトンによるSF小説『ジュラシック・パーク』が刊行されたのは1990年のこと。小説の時点で世界的なベストセラーになってい…
19年末からコロナ禍に入り、3年近い月日が流れている。数多くの変化がそれに伴って起こったが、そのうちのひとつは「パンデミックSF」の刊行が増えたことだ。パンデミックSFとは、感染症が広まっていく状況を描き出すSF作品のことだが、コロナ以後に企画・執…
いずれすべては海の中に (竹書房文庫)作者:サラ・ピンスカー竹書房Amazonこの『いずれすべては海の中に』は、(新型コロナウイルスをめぐる状況の)予言的な作品として話題になった『新しい時代への歌』のサラ・ピンスカーによるSF中心の短篇集である。2013年…
疫神記 合本版 (竹書房文庫)作者:チャック・ウェンディグ竹書房Amazonこの『疫神記』は「ワシントン・ポスト」紙の年間ベストにも選出された、パンデミックSFの超大作長篇である。そのページ数は原著約800ページ、この邦訳版は1400ページを超え、並大抵の厚…
アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風作者:神林 長平早川書房Amazonこの『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』は、神林長平を代表する《戦闘妖精・雪風》シリーズの第4作めにして実に13年ぶりの新刊となる。シリーズの既作とその刊行時期を振り返ると、1984年に第一作…
脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論作者:ジェフ ホーキンス早川書房Amazon人間は日々新しいことを学び続けている。民主主義についてや数学の理論など複雑な概念に限った話ではなく、たとえばアプリをダウンロードしたらその使い方を…
人類冬眠計画: 生死のはざまに踏み込む (岩波科学ライブラリー 311)作者:砂川 玄志郎岩波書店Amazonフィクション、特にSFの世界では「人工冬眠」がよく登場する。意図的に人間を冬眠状態におくことで、人間の一生ではたどりつけない星に向かったり、現代では…
創られた心 AIロボットSF傑作選 (創元SF文庫)作者:ヴィナ・ジエミン・プラサド,ピーター・ワッツ,サード・Z・フセイン,ダリル・グレゴリイ,トチ・オニェブチ,ケン・リュウ,サラ・ピンスカー,ピーター・F・ハミルトン,ジョン・チュー,アレステア・レナ…
男たちを知らない女 (ハヤカワ文庫SF)作者:クリスティーナ スウィーニー=ビアード早川書房Amazonこの『男たちを知らない女』は、クリスティーナ・スウィーニー=ビアードのデビュー作にして、もし世界に男だけを殺す感染症が広まって、社会の構成要員がほぼ…
スター・シェイカー作者:人間 六度早川書房Amazonこの『スター・シェイカー』は、三回に渡って大賞が出なかった(優秀賞は出てたけど)ハヤカワSFコンテスト久しぶりの大賞受賞作にして、いかにもデビュー作らしく、荒削りながらも圧倒的な才能を見せつけてく…
地球の平和 (スタニスワフ・レム・コレクション)作者:スタニスワフ・レム国書刊行会Amazonこの『地球の平和』は、レムの最後の長篇『大失敗』と同じ1987年に刊行された、最後から二番目の長篇SFとなる。レムの代表作の一つ〈泰平ヨン〉シリーズの最終作でも…
スノウ・クラッシュ〔新版〕 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:ニール スティーヴンスン早川書房Amazonこの数年メタヴァース=仮想現実が盛り上がっている。Facebookが社名を「Meta」に変更し、OculusQuestやVRchatが普及し、フォートナイトでのライブ・生活体験が当…
AI監獄ウイグル作者:ジェフリー・ケイン新潮社Amazonこの『AI監獄ウイグル』は、近年弾圧が激しくなっているとされるウイグルで、実際に何が行われているのか、150人以上のウイグル人の難民、技術労働者、政府関係者、元中国人スパイにインタビュー取材…
NSA 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:アンドレアス エシュバッハ早川書房Amazonこの『NSA』は、ドイツを代表するSF作家アンドレアス・エシュバッハが18年に発表した、ドイツが舞台の歴史改変SF小説である。歴史改変ものとは、「もし歴史のあの時点で結果がこ…
最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集作者:キム・チョヨプ,デュナ,チョン・ソヨン,キム・イファン,ペ・ミョンフン,イ・ジョンサン河出書房新社Amazonこの『最後のライオニ』は韓国の作家6人がパンデミック、感染症をテーマに短篇を書いたSFアンソロジ…