基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

SF

日本でほぼ未紹介の作家を集めた極上の中国・アメリカSFアンソロジー!──『中国・アメリカ 謎SF』

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中国・アメリカ 謎SF発売日: 2021/01/30メディア: 単行本(ソフトカバー)この『中国・アメリカ 謎SF』は書名からして謎だが、柴田元幸と小島敬太の編訳者二人が、日本でほとんど翻訳されていない作家の作品をそれぞれアメリカと中国から持ちよったSFアン…

「折りたたみ北京」の郝景芳による、AIテーマの短篇集──『人之彼岸』

人之彼岸【ひとのひがん】 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:郝 景芳発売日: 2021/01/21メディア: Kindle版この『人之彼岸』は、「折りたたみ北京」を筆頭に中国のみならず世界で高い評価を受けているSF作家郝景芳(ハオジンファン)のAIテーマを中心に集め…

10年代SF傑作選から『サハリン島』まで、多数の傑作SFが刊行されたてんこ盛りな2020年を振り返る

アンソロジーが記憶に残った年 今年を振り返って記憶に残ったのは、やはり10年という区切りの年だったこともあってか優れたアンソロジーが多数刊行されたこと。たとえば、『なめらかな世界と、その敵』の伴名練が編者に入った『2010年代SF傑作選1・2』(大森…

実話怪談×百合SFの『裏世界ピクニック』が各種電子書籍ストアで50%オフ中なのでオススメする

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裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2017/02/28メディア: Kindle版宮澤伊織『裏世界ピクニック』が、アニメ化を記念して先月出たばかりの5巻を除いて電子書籍ストアで半額セール中なのでオススメしておこう。…

この10年で最高のロシアSFと言われる傑作終末SF──『サハリン島』

サハリン島作者:エドゥアルド・ヴェルキン発売日: 2020/12/22メディア: 単行本このエドゥアルド・ヴェルキン『サハリン島』は、ロシアのメディアで、この10年で最高のロシアSFと評されているSF長篇である。「この10年で最高」というのは、気軽に使うにはリス…

サイバーパンクのすべてが内包されているかのような傑作──『サイバーパンク2077』

【PS4】サイバーパンク2077発売日: 2020/12/10メディア: Video Game『サイバーパンク2077』が発売された。もう何年待ったことか。幾度もの延期を繰り返し、ようやくマスターアップしたかと思いきやまさかのそこから再度の延期を繰り返し、と出る前から話題沸…

韓国の注目作家が紡ぐ、科学的でエモーショナルな絶品SF短篇集──『わたしたちが光の速さで進めないなら』

わたしたちが光の速さで進めないなら作者:キム・チョヨプ発売日: 2020/12/03メディア: 単行本(ソフトカバー)2020年は10年の区切りということもあって素晴らしいSF短篇アンソロジーが多数刊行され、SF短篇集も豊作だったのだけどここにきてまた凄いSF短篇集…

AIエンジニアによる犯罪を本格的な描写と共に描き出す、第8回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作──『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』

人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル (ハヤカワ文庫JA)作者:竹田 人造発売日: 2020/11/19メディア: Kindle版この『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』は、早川書房による第8回SFコンテストで優秀賞を受賞した作品だ。SFコンテストはここ3…

「折りたたみ北京」の郝景芳による、中国から見た1984年──『1984年に生まれて』

1984年に生まれて作者:郝景芳発売日: 2020/11/24メディア: Kindle版この『1984年に生まれて』は、郝景芳によって書かれた、中国の1984年前後から00年代頃までの情景が描かれていく長篇小説である。郝景芳はヒューゴー賞を受賞した「折りたたみ北京」をは…

二〇一〇年代最注目のSF作家による、未来の海上都市を舞台にした〈分断〉と〈結合〉の物語──『黒魚都市』

黒魚【クロウオ】都市 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:ミラー,サム・J.発売日: 2020/11/19メディア: 単行本この『黒魚都市』は、2010年代にその頭角を現してきた、新時代のアメリカSF作家であるサム・J・ミラーによる二作目の長篇小説である。チャイナ・ミ…

ゼロ年代の海外SFの様相がわかる、危なげなく傑作揃いのアンソロジー──『2000年代海外SF傑作選』

2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者:エレン クレイジャズ,ハンヌ ライアニエミ,ダリル グレゴリイ,劉 慈欣,コリイ ドクトロウ,チャールズ ストロス,N・K ジェミシン,グレッグ イーガン,アレステア レナルズ発売日: 2020/11/19メディア: 文庫この『20…

連日連夜爆破テロが起きるバグダードの日常を、名もなきフランケンシュタインの怪物が駆ける、中東✕SF──『バグダードのフランケンシュタイン』

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バグダードのフランケンシュタイン作者:アフマド・サアダーウィー,柳谷 あゆみ発売日: 2020/10/26メディア: 単行本この『バグダードのフランケンシュタイン』は、アラビア語からの翻訳、しかもシェリーの『フランケンシュタイン』の流れを汲む物語である。SF…

究極の雰囲気ゲー、傑作サイバーパンクゲーム──『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』

store.steampowered.com IGN Japanから原稿依頼があり今度サイバーパンクについての大きめのコラムを書く予定があるので、昔やった『VA-11 Hall-A』を思い出すためにプレイし直していたんだけど、これがおもしろいよなあ。尋常ではないぐらいに「ノベルゲー…

キャメロンがスピルバーグ、ノーラン、リドリー・スコットらに聞く!──『SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座』

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SF映画術 ジェームズ・キャメロンと6人の巨匠が語るサイエンス・フィクション創作講座作者:ジェームズ・キャメロン発売日: 2020/09/30メディア: Kindle版この『SF映画術』は、『ターミネーター』や『アバター』など数々のSF映画をとってきたジェームズ・キャ…

自由に自分の幸福度を決められる時、医者はそこに上限を設けるべきだろうか?──『闇の脳科学 「完全な人間」をつくる』

闇の脳科学 「完全な人間」をつくる (文春e-book)作者:ローン・フランク,仲野 徹・解説発売日: 2020/10/14メディア: Kindle版闇の脳科学ってどゆこと? 闇の脳科学があるってことは光の脳科学もあるのか? とか「完全な人間」ってなんだ?? 中田敦彦か?? …

不死を得た世界に、新たな神が現れる。フランス作家による未来への警告──『透明性』

透明性作者:デュガン,マルク発売日: 2020/10/15メディア: 単行本この『透明性』は、セネガル生まれのフランス人作家マルク・デュガンによる長篇小説である。本書が長篇のフィクションとしては本邦初紹介作となるが、これまで13作の小説を刊行していて、映画…

イスラエルのSFを集めた、恐ろしく質の高い傑作アンソロジー──『シオンズ・フィクション』

シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 (竹書房文庫)発売日: 2020/09/30メディア: 文庫この『シオンズ・フィクション』は、イスラエルSFの傑作16篇を集めたアンソロジーである。訳者の一人である山岸真さんが本の雑誌などで凄い凄いと書いていたので期…

第二次世界大戦で枢軸側が勝利することで、日本合衆国が爆誕した世界を描き出すロボ・バトル物、三部作が完結!──『サイバー・ショーグン・レボリューション』

サイバー・ショーグン・レボリューション (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:ピーター トライアス発売日: 2020/09/17メディア: 新書この『サイバー・ショーグン・レヴォリューション』は、第二次世界大戦で枢軸側が勝利し、日本合衆国が爆誕。しかも日本合衆…

時間旅行が当たり前になった世界特有の精神病理を描き出す、時間SF✕ミステリ──『時間旅行者のキャンディボックス』

時間旅行者のキャンディボックス (創元推理文庫)作者:ケイト・マスカレナス発売日: 2020/09/10メディア: Kindle版この『時間旅行者のキャンディボックス』はケイト・マスカレナスのデビュー作にして、時間旅行が当たり前に存在する世界での様々な精神的な病…

予知能力を持った一人の女性の人生を2043年まで描きあげた『クラウド・アトラス』著者による幻想文学──『ボーン・クロックス』

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ボーン・クロックス作者:デイヴィッド ミッチェル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『ボーン・クロックス』は、19世紀から第二次世界大戦前、1970年代に現代ロンドンと幅広い年代&場所&職業の人間を通して一枚の複雑な絵を描きあげた『クラウド・…

続きがでなくて悲しかった最近のSFたち

25日発売のSFマガジン2020年10月号、ハヤカワ文庫SF50周年号で、50周年を記念して渡邊利道さん、鳴庭真人さんと僕の3人で座談会をやっています。SFマガジン 2020年 10 月号発売日: 2020/08/25メディア: 雑誌あまり明確なテーマはなくざっくばらんに最近のハ…

あり得たかもしれない宇宙開発史を描き出す、主要SF賞総なめの話題作──『宇宙へ』

宇宙【そら】へ 上 (ハヤカワ文庫SF)作者:メアリ ロビネット コワル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版宇宙【そら】へ 下 (ハヤカワ文庫SF)作者:メアリ ロビネット コワル発売日: 2020/08/20メディア: Kindle版この『宇宙(そら)へ』は、メアリ・ロビネッ…

タイポグラフィがどのようにSF映画の物語に寄与しているのか?──『SF映画のタイポグラフィとデザイン』

SF映画のタイポグラフィとデザイン作者:デイヴ・アディ発売日: 2020/08/18メディア: 大型本この『SF映画のタイポグラフィとデザイン』は、まさにその名の通りにSF映画に存在するタイポグラフィとデザインに集中して取り組んだ一冊である。大型本で、所狭し…

基礎科学の重要性──『「役に立たない」科学が役に立つ』

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「役に立たない」科学が役に立つ作者:エイブラハム・フレクスナー,ロベルト・ダイクラーフ発売日: 2020/07/29メディア: 単行本この『「役に立たない」科学が役に立つ』はプリンストン高等研究所のエイブラハム・フレクスナー(1866-1959)、ロベルト・ダイクラ…

2019年の傑作日本SF短篇がこの一冊に! 竹書房から新生した《ベスト日本SF》シリーズ──『ベストSF2020』

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べストSF2020 (竹書房文庫)発売日: 2020/07/30メディア: 文庫12年に渡って日本SF短篇の中から傑作をよりすぐって編集されてきた東京創元社版の年間日本SF傑作選が昨年終了してしまった。だが、その後を引き継ぐのがこの『ベストSF2020』! 刊行は東京創…

史上もっとも偉大な科学予測の試みとクラークに評された、科学と人類の未来について論じた先駆的名著──『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』

宇宙・肉体・悪魔【新版】――理性的精神の敵について作者:J・D・バナール発売日: 2020/07/17メディア: 単行本この『『宇宙・肉体・悪魔──理性的精神の敵について』』は、X線結晶構造解析のパイオニアであり分子生物学の礎を築いたと言われるJ・D・バナールによ…

地上で最後の一人となった女性による、美術と哲学と狂気の内面世界を描いた実験小説──『ウィトゲンシュタインの愛人』

ウィトゲンシュタインの愛人作者:デイヴィッド・マークソン発売日: 2020/07/17メディア: Kindle版デイヴィッド・マークソンによるこの『ウィトゲンシュタインの愛人』は、何らかの理由で地球上で最後の一人になった女性が、淡々とその生活と過去のことを記し…

フランケンシュタインからジキル博士にモロー博士、ホームズまでが混交するごった煮エンタメの傑作!──『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』

メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:シオドラ ゴス発売日: 2020/07/16メディア: Kindle版この『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』はアメリカ在住作家のシオドラ・ゴスによる第一長篇に…

『三体』読んだらこれを読めと手渡せる、現代中華SFを概観できるアンソロジー──『時のきざはし 現代中華SF傑作選』

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時のきざはし 現代中華SF傑作選作者:江波,何夕,糖匪,昼温,陸秋槎,陳楸帆,王晋康,黄海,梁清散,凌晨,双翅目,韓松,吴霜,潘海天,飛氘,靚霊,滕野発売日: 2020/06/26メディア: 大型本最近中国SFが盛り上がっている。『三体』が売れてる(全部合わせて30万部突破。単…

VRの父がインターネットの黎明期を通して「あらためて我々はどこへ向かうべきなのか」と問いかけてみせた一冊──『万物創生をはじめよう』

万物創生をはじめよう――私的VR事始作者:ジャロン・ラニアー発売日: 2020/06/18メディア: 単行本この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれるジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VR…