基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

万華鏡 ブラッドベリ自選傑作短編集/レイ・ブラッドベリ

自分用記録 9月1日からオーストラリアに居る。そのためこの期間に読んだ本はほぼ英語であるため、ここには記録しない。 たまに読む日本の本を記録する事にする。 また少し多忙のため、読んですぐに書けないので、確実に意味のわからない支離滅裂な文になっているだろう。

あらすじ レイ・ブラッドベリが自選した短編が、いっぱい入ってるよ!

感想 ネタバレ無

レイ・ブラッドベリの著作を読むのはこれで二作目。一作目の火星年代記ですでにもろはまりしたわけだけど、二作目を読んで一生ついていこうと思った。 もう死んでるけど。そのうち原文でも読んでみようと思う。 見つけられるかどうかわからないが。 ここまで書いてちょっと調べたら、まだ生きてるとか・・・現在87歳ロサンゼルス在住。すげー・・。

文章とは劣化するものであると言った人はたくさんいると思うけれど、まだ村上春樹からしか聞いた事はない。 この本も1986年に出版されたが、しかしまったく古い感じを受けない。

それから、火星年代記の感想を書いたときに少し書いたけれど、レイ・ブラッドベリがSF作家と呼ばれるのが嫌なのはなぜかというのは、そのまんまの意味で受け取るべきだ。 

科学の知識なんて全く無くて、全ては想像の中から生まれてくる、まさにファンタジー作家だった。

そもそも、いかにうまく読者を騙すことが作家の真骨頂だと勝手に思っているわけだが、その点で言えば、全く科学的知識が(全くというわけでもないと思うが)読者にこの人は科学的知識に溢れていると錯覚させる力が強い気がする。具体的に言うと、物語に引き込んで細かい事に気付かせなくさせる力か。


特に今回は短編という事で、その一つ一つの練りこまれたアイデア、そして何よりひとつひとつちゃんとしたオチを考えてくるところが素晴しいと感じる。

今回一番好きだった短編は、やはり表題にもなっている万華鏡かな。次点で草原。そして優しく雨ぞ降りしきる すばらしき白服 草原 このあたりがベストに気に入った・・・。

ネタバレ有

草原
あらすじ
想像した内容の部屋にアレンジメントしてくれる機械の部屋で遊び続けた子供たちの部屋から、スイッチを切った後も唸り声が聞こえてくる・・・・

草原にはかなりの恐怖を感じた。ホラーものの映画に出来そうな内容だよ・・。

あまりにも想像し続けたあまりその想像が現実になるという話は結構読んだけれど、(筒井康隆のパプリカも少し違うか、夢が現実になるだもんな)人間の想像力というのは、思いのほか凄まじいなとたまに思うのを思い出した。まあおもにシモ関係のネタを2chや知り合いと話してる時に思うわけだが・・・。

想像が現実になるといった場合、子供の方が大人より危険なんだろうか。善悪の判断がつかない子供は危険だという話はよくあるけれど、実際そこんところどうなんだろうな。子供の時そんなに危ない事を考えてた気はしないが。

とかなんとかいっても、最古の記憶が小学生の時からしか無いわけですが・・・。全くあてにならん・・・・。

想像力とは微妙に関係ないけれど、ビルの最上階から一番下を見降ろしたりすると、落ちていく自分が鮮明にイメージ出来るんだが、それから何故か別に自殺したいわけでもないのに、突然飛び降りたらどうなるかな、とかいう想像に至る。

想像しちゃいけない事ほど想像してしまうというジレンマ。 どっちにしても想像力っていうのは、思いのほか危ないもの。

そしてこのままのペースで一つ一つ書いていったら文字数がヤバイことになりそうなのでかっとばす。


すると岩が叫んだ

あらすじ
合衆国の国民の大半は死に、また白人の国の国民が死んだ事により白人支配が終わったと歓喜にふるえる世界で、逃げる白人のカップルの物語。

車で逃げている途中に、車を手放さなければいけなくなったところでの会話

「でも四千ドルもする車を置いたままにして行くなんて!」と彼女は叫んだ

「車は旅をするのに必要なものだ。動けなくなったら持っていても意味はない。これからは自分の足で歩かなくちゃいけない。できることはそれだけだ。ガソリンのない車なんて一文の価値もない。それにくらべて二本の丈夫な足は、使いさえすれば、車百台分の価値がある。ちょうど積みすぎた荷物を投げ捨てたところだ。これからは、最後の皮一枚になるまで、余計なものはどんどん捨てていかなければならない」


大事なのは決断力だと思うわけです。ぐずぐずといつまでも決断しないよりは、間違っててもいいから一分一秒でも早く決断したほうがいいと思う事が多い。

人間一番大切なのは、退くべきところは退くという事だと思う今日この頃。退き際をミスるというのが、一番きつい事だな。これぐらいすっぱりと割り切れたら
いいものの、実際は色々難しい。

万華鏡 
 
あらすじ
宇宙船の故障によって、それぞれ別々の方向に飛ばされていった乗組員達。死が間近に迫っている時、人は何を思うのか。

今この人生の終わりになって考えてみると、心残りはひとつしかなかった。生き続けたい、それだけだった。

しかしこの思いを持っていたのは、人生を楽しく生きてこれなかったポリスだからこその回想だろうな。

しかし最後が泣ける・・・

おれは燃えるだろう、と彼は思った。燃え尽きて灰になり大陸にばらまかれるのだ。その時おれは役に立つだろう。小さな灰でも灰には変わりない。大地の一部になるのだ。

すべてが終わった今、彼はひとつでもいいことをしたかった。自分一人にしかわからないいいことを。それだけが願いだった。

このあとは立派なオチがつくが、正直この部分が一番好きだ・・・。今まで楽しき生きてこれなかったが、せめて無意味な死は嫌だというのが意味もわからずに伝わってくる。 誰だって自分の死に意味が無いのは嫌だろうなぁ・・・。たったひとり宇宙で死ぬのはあまりにも無意味すぎる。

すばらしき白服についても書こうと思ったけれど、これについては全部読まないとわからないだろうから、割愛。 そして優しく雨ぞ降りしきるは火星年代記で触れているので割愛。

短編集をなんとなく毛嫌いしていたけれど、これを機にまた短編集も積極的に読むことになりそう。

これにて終了。とても中途半端。