基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

航空宇宙軍史 星の墓標 谷甲州

あらすじ
動物の生体脳で宇宙戦闘艦を制御する、恐ろしい兵器を進化の果てに人間は生み出した。外惑星連合はオルカ戦闘部隊を作り、それに対抗するために地球側はシャチの脳を埋め込んだ。 人間達のエゴが生み出した非常な兵器開発の犠牲となった物たちの葛藤と苦悩を書く。



感想 ネタバレ有

うわーやべえですねえこれは面白いです。脳を直接戦闘艦の制御部分にしてしまうというネタは割とあるのかな?生体コンピューターとかいう語も昔からあるみたいだし。しかしそこであえてシャチを持ってくるのにはGJと言わざるを得ない。

人間の生体脳とシャチの生体脳の対比によって、何かを見せたかったのかもしれない。よくわからないが。

しかしなぜシャチなんだろうなぁ、別にイルカでもいいと思うが。単純に知性だけでいったらイルカの方が上なんだろうか。もっとも知性の質が人間とは全く違うと思われるので比較しようがないかもしれない。

作中でシャチ視点で書かれている部分があるが、あれもよく考えてみると別の方法が無かったでもないと思う。

しかしシャチ同士がこういう会話をしているかと思うと楽しくなるような書き方である。特にジョーイと長谷川さんの話には感動させられる・・・。

しかし最後のオチは凄まじい。 全く救われるものの無いオチといえるかもしれん。死ぬほどの苦しみを味わったあげく、脳だけをビン詰めにされて戦わされる十二人の脳はあとちょっとで助かるというところでシャチのジョーイに潰され、最後に残った一人の脳も自己崩壊をさけるために死んだジョーイを自分で勝手に作りだして死ぬまで自作自演をし続けるとかあげて落とすどころじゃないです。

ちょこっとだけ持ち上げて奈落の底までたたき落とした感じですよ。

しかしダンテはもっと重要なキャラかと思ってた。 死に様も、どうやってその死にたどり着いたかの過程もすべてはぶかれてるじゃないか、かわいそうに。しかしそこが谷甲州らしいといえるかもしれない。 谷甲州氏の著作に明確な主人公のようなものはいないんじゃないだろうか。

しかしその分一人一人がいい味を出している。

しかしやはり長編というよりも中編が集まったという感じだから感想を書きづらいな・・・。ここらでいったんやめです