基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

フィッシュストーリー 伊坂幸太郎

この一冊を読んだことによって、既刊の伊坂幸太郎作品はすべて読んだことになった。悲しい話である。と書いているうちに、そういやこの前出たゴールデンスランパーは読んでなかったな、と思いだした。おれの幸せはまだ持続中である。

あらすじ 

たんぺんがいっぱいはいってるよ!


感想 ネタバレ無

特に意図して伊坂幸太郎の作品を読んできたわけではなかったけれど、これを最後に読んだのだけは正しかったと思える。今までいろんな作品に出てきた登場人物が出てきて、非常に楽しかった。いや、しかし出てきたのはほとんどラッシュライフの登場人物だったかな。

まぁ、それ以外は特に特筆することもないだろう。いつも通りの伊坂幸太郎だったと書くべきか。動物園のエンジンには、ラッシュライフに出てきた河原崎のおやじが出てきた、変人だと書かれていたけれど、ここでどんな変人だったか明らかにされたわけだ。物事は意外と単純だと思うようなことが書かれていた(ネタばれ)

サクリファイス
これもなんだか、話をこねくり回しているうちに、複雑な話のような気がしてきたのだが、実際冷静に眺めてみると別に複雑な話でもない。そこに至るまでの過程が寄り道しすぎて複雑なような気がしただけだ。

ここまで書いて思ったけどこれはネタバレですね。まぁあらすじだって、ネタバレだしね。たんぺんが、いっぱいあるよ!と書くのだってネタバレだよ。ひょっとしたら読んだら中身は長編小説なのかもしれないと期待することだってできるんだからね

ネタバレ有

動物園のエンジン
人間なんだって深読みすればするほど深読みできるっていう話ですね。
男はしゃべらなければしゃべらないほどいいという話もよく聞くけれど、そういった話でもあるかもしれない。悪いことをしてしまっても、黙っていると相手が勝手にいいように解釈してくれるというのは、よくあることだ。それと似たようなことかもしれない。

勝手に意味を深読みして、まさかそんなシンプルな理由ではないだろうと勝手に装飾してばかりだ。

動物園が好きなんだなぁ。 それとここに出てきた動物園ってのは、やっぱりアヒルと鴨のコインロッカーに出てきたあの動物園なんだろうな。レッサーパンダがどうとか書いてあったし。

サクリファイス
しょぼくれた村に生涯をかけた男の話か。
特に書くようなこともないなぁ。トリックはとても面白かった。まぁ、黒澤が探偵を副業としていたってのが驚いたが。そんな事ラッシュライフに書いてあった金。

しかしこもり様とか、そういう風習は現代までもし仮に残っていたとしても、もっともっと儀礼的なものであると思うんだがな。

「正しいかどうかは別にして、あんたは偉いよ」と陽一郎にいった。
「私が偉い?」まさかそう言われるとは思わなかったのか、彼ははじめて動揺を露わにした。
「自分を犠牲にしてまで、国のことを考える政治家はいない」
「私が考えているのは、国民ではなく、この村の、もっといえばこの集落の人間のことだけだ。偉くなどない」
「そうか」


サクリファイスというタイトルは、犠牲となるこもりさまの事ではなくて、村のために自分を犠牲にする陽一郎のことだったのだな、と思う。

また、なんにせよ自分を犠牲にして誰かの事を考えるそれ自体がえらいといっているのだ、別に国だろうが村だろうが誰か自分以外の個人であろうが、数の問題ではないのだなと考える。 そしてそれを別に偉いことだと自分で思っていないというところで、初めて偉いやつが完成するのだな。

フィッシュストーリー
過去売れなかったバンドの、謎の一分間の無音が入った曲が救った世界の危機について書かれた。

こうして考えると、世界のすべては大小さまざまな奇跡に支えられて生きているのだなという結論になるわけです。もはやそれは奇跡でもなんでもなくて、必然なのかもしれないけれど。奇跡とみせかけた必然。

無音の曲が、一人の男が女性を助