基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ゲーム・プレイヤー イアン・M・バンクス

あらすじ
ゲーム大好きなやつが、すべてをゲームで決めるというゲーム帝国に乗り込んでひたすらゲームする話(適当!)

感想 ネタバレ無

なんかやたら前半が読むのをやめるほどではないが、面白くなかったが・・・。 後半というよりある一点から面白くなったな。ここまで本気でゲームだけに徹した話も初めてだ。

なんだか、まさに遊戯王を真剣に考えてやってる人たちみたいな・・・。
って、遊戯王だって真剣にやってたな。

周りの世界設定がすごくSFしててよかった。
表紙の絵が手塚治虫!治虫じゃないか!と思ったら違った。でもどっかで見たことあるんだよなぁと思って調べたら銀河鉄道の人だった。ウゲェー大御所じゃないですか。

ちうかこの人、結構すごい人だった。まったく知らなかったのが悔やまれる。他の作品も読んでみるかは、色々と相談して決めることになるだろう。脳内会議である。

ただ、世界設定がなんだかよくわかりにくくて、解説を読まないと何もわからないかもしれない。
ネタバレ有


しかしこのカルチャーは、まさに未来という感じがするな。すべての物資があふれかえっていて、性を自由に変更出来て、豊富な資源は誰もが平等に配分されて、法律もなく、犯罪もない。

確かにすべての物質が平等に分配されるという、俗にいう共産主義の完成系ができたなら、こういう世界にはなるだろう。

みんながみんな自分とその少しだけのまわりのコミュニティとかかわっていけばいいだけの世界になるだろう。

森博嗣の百年シリーズのような。その場合、文明は緩やかに後退していくと思うのだが、どうもAIがその点は勝手にやってくれてるみたい。凄い世界である。

「個人という観念はすたれた。だから、人生がみんなにとって快適なものになった。われわれは重要ではない。だから、安全だ。だれひとりとして、もはや真の影響を与えることはできない」

すべてが平等になって、自分というよりは、みんな になったんだろうな。他人を攻撃する意味がなくなったともいえる。相手に与える影響がなくなったから争いもなくなったのだ。


このラストシーンは、すぐに気付けなかったことが悔やまれる。

だが、それでもやはりこれは実話だ。
そんなことで、わたしが諸君に嘘をつくだろうか?
つねに諸君の友なる、
スプラント・フレール=イサムホー・ウー=ハンドラーヘン・ザトー・トラビティ(またの名'’モフリン=スケル'')


あの時グルゲーを陥れたやつだったのかーと驚きは確かにしたものの、そこまで驚かなかったなぁ。そうだったんだぁーぐらいの反応だ。

しかしモフリン=スケルの裏切りの早さには思わず笑ってしまったな。

イカサマをしないかと持ちかけておいて、ひょっとしたら将来ぼくが困った時には君を頼るかもしれないとかいっときながら、次の日にはイカサマをしたことを証拠に脅しをかけるんだからな。あまりにも外道!

とにかく、身元がそんなに重要だろうか? それは疑わしい。われわれの本質はなにをするかにあり、なにを考えるかにはない。重要なのは相互作用だけだ(自由意思に関しては問題なし。行動が自己を規定するという信念と両立しないわけではないから)。それに、どのみち自由意思とはなんだろう?偶然だ。無作為因子だ。もし自分が究極的に予測可能でないなら、もちろんそれしかないじゃないか。これがわからない連中を見るとうんざりする!
重要なのは結果で、それがなしとげられた過程じゃない
もう一度いおう。諸君の本質は諸君がなにをしたかにある。動的(誤)行動科学主義。それが私の信条だ。


自由意思が偶然だというのには納得がいく話だ。 結局生まれた時から何から何まで、決まったことばかりで、自分で決めたと思っていることでもそれは自由意思ではない。

諸君の本質は諸君がなにをしたかにあるというのは、つまりどういうことだ?たとえば自分が子供を育てて育てたら、それが自分の本質だということだろうか。それか、自分が生きてきて他人に影響を与えたことが本質か。それとも生きてきて起こした行動すべてが、自分の本質なんだろうか
行動科学っていうのは人間の行動を科学的に研究し、その法則性を解明しようとする学問らしい引用:Wikipedia
つまり人間っていうのはすべて、法則に基づいて生きているわけであって、そこに自由意思はない。つまり遺伝子にあやつられてるからかね?そこで自由意思とよべるものは偶然しかないと。でもそれ自由意思って呼ぶのかな。よくわからないけれど。その法則の中で何をやったかが、自分の本質というわけね。なるほど。


しかし個人的には、もっとたくさんゲームの内容の説明をしてほしかったな。できれば実際にできるぐらいに。まぁ凄く奥が深くて何年も勉強しないとわからないようなゲームという設定だったんだから、簡単に作れるようなゲームじゃダメか。

確かにと思った箇所

それはよくある誤解だ。楽しみが息抜きになるというのは。


確かに、楽しみが息抜きになるというのはいえないだろう。

なかなか面白かったです。作者に感謝。