基本読書

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黒祠の島 小野不由美

祠が変換できなくて焦った・・・。アマゾンからコピペしてきたから大丈夫だが。

本作は十二国記屍鬼などで知られる小野不由美の書く長編本格推理小説である。

あらすじ
式部剛は失踪した知り合い、葛木志保を探しているうちに夜叉島という島の名前に行きつく。閉鎖的な村のシステム 断崖絶壁の孤島 そんな島に乗り込んだ式部を待ち受ける事件とは・・・!?

感想 ネタバレ無

全体の雰囲気としては凄くホラー風味。 外を受け入れない閉鎖的な村など、屍鬼を彷彿とさせる。 ちなみに黒祠とは、昔神社が様式を国の定めた方式に統一するというときに、それを受け入れなかった神社である。要するに邪教。

配置されているものは全てミステリーの代名詞と呼ばれるものばかり。いかにもミステリーらしいミステリーになっていた。トリックしかり。 

状況設定からしてそれがいえるだろうな、断崖絶壁の孤島とか、嵐の夜に起きる殺人事件とか、その土地固有の怪しい伝承、伝統 排他的でよそ者を受け付けない村。

ちょっとでもミステリーを読んでいる人なら、あ、これはあのミステリーに似ているな、と思うような符合度の高さだと思う。非常にミステリーなミステリーだった。 

なんだか宗教学とか伝承学(あるのか?)とか民族学とかの描写は凄いなーと素直に感心。 一瞬でぞくっとさせるものは屍鬼のようなホラーに通じるところがあった。

ネタバレ有


顔が無かったり、傷つけられて誰のものかわからないようになっていたりしたら、すり替わりを疑えというミステリーを読むうえでの鉄則がある。

それに正直にならって、最初から入れ替わりをしているものとして読んでいたが、入れ替わりは入れ替わりでも名前を入れ替えていたというところまで頭が回らなかったな。
もっとも名前の入れ替わりというのも割とありがちな話ではあるんだが。 

いつもギミックについては読んでいる最中に色々考えるけど犯人についてはそこまで考えない。一応今回は150ページぐらい読んで、犯人は入れ替わった葛木じゃないかと推測してはいたんだが、まあ余裕で外れたな。

真剣に犯人を見つけようと思ったら記憶力が乏しい自分としてはやはりメモを使って情報をいったん書き出して整理しないとどうにもならない。 

記憶力がいい人というか、頭の回転が速い人間・・・・。とは違うな、論理的に考える能力が高い人、かな?

は、読んでいる最中にほとんど犯人がわかってしまうらしい。。それはミステリーを楽しめているのかどうか謎だが、面白そうではある。

しかし途中で警察に通報しないのが当然のような流れになっていたのは違和感だったな。通報しても無駄だと思ったからなんだろうが。

それにしても快楽殺人者が居たり意味もなく惨殺死体にする人間がいたり急に犯人に対して優しくなる主人公がいたりと登場人物もなかなかぶっ飛んでるな・・・。 

携帯電話が圏外で全く使えないという設定になってたけど、やはりこういう孤島とかそういう系のミステリーだと携帯電話が入ってくると話が成立しなくなっちゃうものなのかな。 

孤島系ミステリーで携帯電話が使えるっていう状況のミステリーをあまり読んだことがない気がする。
黒祠の島 小野不由美