基本読書

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星のダンスを見においで1 笹本祐一

星のダンスを見においで1 笹本祐一

ライトノベル作家でありながらハードSFを書くという矛盾を抱えた作家、笹本祐一の本である。

あらすじ
なんてことない普通の女子高生が通っていたジャンク屋の主人、ジャックは実は宇宙の大海賊で、笑う大海賊の秘宝のありかを知っている唯一の人物で!?

感想 ネタバレ無

1巻ということでまだ謎が掲示されただけである。本格ミステリーだったら推理するのに必要なパーツが全部出そろったあたりで、ハードSFだったら世界設定がようやく終わったところで、ジョジョだったら第三部が終わったところで、とそんなところである。

感想といえば、笹本祐一節全開といったところか。話自体はありがちというか、そんな感じなんだが、ガンダムの監督で有名な富野由悠季氏は、「ありがちな話を書いても人とは違うものになってしまうところこそがオリジナリティである」 と言っている。 そういう意味ではこの作品は笹本祐一のオリジナリティあふれる作品だったな。

それにしてもいつの時代でも大海賊といったらやはり名前はジャックになるんだな。なんでなんだろう。そして宇宙で略奪行為をする人間達を何故かどのSFでも海賊と称しているのがどうしても気になる。なんで宇宙なのに海賊なんだろうなあ。前も書いたが、宙族じゃ語呂が悪いのはわかるが、別に族をつけなきゃいけないというわけでもあるまいに。 

細かいところは置いといて、笹本祐一の作品最初に読んだ時は凄く読みにくい感じがしてたんだが、もう結構な数の笹本祐一作品を読んだだけにもう慣れてしまった。読みにくいっていうのはどういうところが読みにくいのかというと、戦闘時というか宇宙戦艦の移動時とかの操縦描写が綿密に作りこまれているから以上に説明が細かくなっているんだな。

これに慣れないうちはとてつもなく読みにくい。 しかしそれに慣れてしまえばなんとも愉快な愉快な宇宙活劇になるんだが。

しかも今回は海賊だからなー。やはり宇宙の海賊といえばなんだかんだいっても燃えるからね。次に期待。


ネタバレ有


やはり戦闘描写が細かい。
ちょっと引用してみる。

回転鋭角を高速逆転し、プリマス級の艦底に強力な逆噴射炎を噴きつけ、装甲パネルや外装品を撒き散らしながらヴァイパーが艦体の引き抜きを開始した。


もはやノリで読めるようになったがやはりちょっときついかなあ。 ライトノベルもいいけど、もっとハードな物を書いたらきっと凄い面白いんだろうなあと思わざるを得ない。

野尻さんのようにハヤカワの方に行っちゃえばいいのに。太陽の簒奪者とかかなり面白かったし。 ソノラマ文庫も無くなってしまうし・・・悲しい。

特に印象に残ったシーンとかも無いが、あえてあげるならやはり最後のジャックとアレックス達の戦いか。もっともまだ1巻だから始まったばかりなわけで