基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

DDD2/奈須きのこ

Fate/stay night 空の境界などで知られる奈須きのこ 小説DDDの2巻である。

あらすじ

幼き日に若き野球少年2人は約束した。 「オレはおまえ以外には打たれない投手になるからさ。おまえもオレ以外には打ち負けない打者になってよ。それで、いつか───」月日は流れ流れた時間は二人の運命を再び交差させる・・・・。


ってこれだけ読んだらどっからどうみても超青春野球漫画だな。あながち間違っちゃいない気もするが。

感想 ネタバレ無

青春風味なんて微塵も感じられないDDD2巻。 カミソリ2段シンカーで通り魔殺人を犯すイカレ野郎をとっちめる。

しかし奈須きのこ作品には必ずと言っていいほど、深夜の町を徘徊する通り魔殺人者が出てくるな・・・・ 空の境界にも月姫にも・・・Fateには居たっけな。まあ似たようなもんだろう。しかも共通してその徘徊する殺人者の名前が最初は明かされないという徹底ぶり。

ちなみに内容だけど 7割方青春野球少年物の話で、2割が脳内アドレナリンでまくりのスピード狂の話で、最後1割が最終兵器妹の話になってるんだな。

もっとも野球とは名ばかりの実弾と変わらない威力を持ってる弾を打ち合うだけにすでに野球ではなかった。確かに150kmの野球ボールが脳みそに当たったらはじけ飛ぶわな。

しかし野球語ってたなーという感じ。野球好きなのかな。野球をやったこともほとんど無ければ親とキャッチボールをした記憶も皆無なので野球独特の感覚描写とか全く共感する事が出来ないものの、思わずごくりとツバを飲み込ませるシーン展開が凄い。

当たったら死ぬ魔球が飛び交う展開はまさにアストロ球団である。アストロ球団でも魔球によって死者が出たりしてたが・・・・うーむさすがにアストロ球団よりは控えめかな・・・。


ネタバレ有


殺人二段変化シンカーはヤバイ。 通り過ぎていったボールが二段変化して自分の後頭部にグシャリと当たるとか魔球すぎる。また通り魔殺人犯の仕掛けるゲームのルールがシンプルなのがいいね。対峙するはピッチャーと打者のみ、打てれば相手が死んで、打てなければこちらが死ぬ。シンプルなルールだ。まるで、ぼくらのだ。乗れば死ぬ。ってね。 そういえばこの歌を歌ったものを死ぬ・・とかいう作品もあったな 伝染歌とかいうヤツ。

下の文は 少年期の二人の前に現れた大人。キミたちの願いを何でもかなえてあげようという問いに対して 全打席ホームラン!と言った一人と絶対に打たれない投手!といった二人の願いを叶えてあげた後に言った言葉。

''打たれれば殺される。打たなければ殺される。よかったね。君たちにとって一番大好きなものは、君たちの命そのものになったんだ。 つまり───負ければ、生きる価値がない。''


こういう狂気じみた設定が好きだ。 自分たちの一番好きなものが自分達の生存状況の一つになるという理不尽さ・・・。

それにしても幼き日に共に最高のピッチャーと打者になって最高の舞台で戦おうって約束した二人が、片やヤクザに片足突っ込んで、片や悪魔憑きで体ブロークン精神ブロークンハートって物凄いダークですね。 しかも片や必殺の二段シンカーで過去に自分を再起不能にした奴等を頭蓋骨陥没させて殺し、片やヤクザの片棒担いでる方はお得意のバットで人間の頭蓋骨をホームランしたりとどっこいどっこいじゃありませんか。

あまりにも平然と人が死にすぎというか、主要登場人物のほとんどが人殺しというか狂ってるというか。

あとやってる事は野球のはずなのに、文章が何かやたらと格好よくなってて、Fateとかの戦闘描写と比べてもなんら遜色ない感じになってるのが笑えた。
これとか。

     ただし今度はスライダー。左打者にとって外角から内角に食い込む。あの構えでは対応困難な魔の一撃。

魔の一撃て・・・


脳内アドレナリンでまくりのスピード狂の話に移る。  表紙のやたら格好いいおっさんがこのスピード狂だったらしいな。

能力というより、訓練で会得したのか知らないが、常に車で事故ったときに感じるスローモーション世界に生きているとか。 それをスピードと言っていたけれど、別にスローモーションの世界が見えるからといって動きが速くなるわけじゃないと思うんだ。それにしてもスピード狂っていうとどうしてもスクライドのストレイト・クーガーを思い出してしまう。 というか、そんなスローモーション能力 そういえばこの能力結構あるような気がするんだが、パっと思いつくのは FEARってゲームの主人公ぐらいしか出てこない。案外少ないのかもしれないな、スローモーションの世界を見る人間が出てくる作品って。あるいは忘れているだけか。

それにしてもコイツ、そんな反則スレスレの能力+身体能力が人間の5倍+不死身(不滅?不死身とか不滅とかの説明があったけどよく読まなかったから忘れてしまった)とか・・・ジャイアントロボの不死身の村雨さんですら、ついてる能力は不死身だけだったのに・・・むしろこいつは DIOに近いな。DIOなら人間の能力を超越してるし、不死身だし(微妙か)、時間とめちゃうからな。戦わせたら面白そうだ。 と思ったけど、よく考えたらDIOに攻撃を食らわせられないからダメだ。


最後に最終兵器妹の感想。

妹が無敵キャラになっていく。まさに最終兵器。 死ぬ事によって死の原因の抗体を作って生き返るとかもうナニソレーってレベルですよ。無敵すぎる。 刀語のお姉ちゃんと真逆のキャラだな。 老化で死んでも細胞をリフレッシュさせて若返って復活しそうだから困る。

まあ20Pあるかないかぐらいだったから薄味だな。DDD3巻へのプロローグ的な位置づけかな。

うん、面白かったな。DDD2 奈須きのこ