基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

2001年宇宙の旅/アーサー・C・クラーク

あらすじ
これは、進化の物語である。
同時に、宇宙についての物語である。

感想 ネタバレ無

映画が、凄く有名らしいが、まったく見た事がない。恐らく凄い作品なのだろうと思うが、今から見るという気にはなかなかなれないものである。

映画を意識してなのかどうなのか、状況描写が圧倒的に多い。ヒトとヒトの対話というものは、ひどく事務的なものしかない。

だけれども、この作品はやっぱり進化の物語であったし、もちろん宇宙の物語であった。

状況描写ばかりなのだが、まったく退屈しないのが不思議といえば不思議だ。

むう、他に書くような事が思いつかないな・・・。内容が、SFのスタンダードといってもいいものだからかもしれない。ここで書くような事は、他のSFですでに書いてしまったような。凄いのは、その普遍的なSF思想と、淡々と読ませる文章や(翻訳家の実力かもしれぬ)海外SFを代表する作品の空気、それから綿密なるプロット。などなど、小説を書くにあたっての基本的な部分が完璧であるのだ。特筆して書くような事はない反面、その基本が完璧という点こそが、何よりもまして重要なところだ。基礎は何よりも大事、とはスポーツでも何でも言われる事だが、小説でも例外ではない。

クラークの三法則をここに書いておこう。
1. 高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
2. 可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
3. 充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。

ネタバレ有


わざわざ原初のヒトザル、からヒトに進化したときのミッシングリンクから埋めに来たのは、これが進化の物語であるから、だろう。不思議なのは、またしても仏教的な思想というものが見え隠れすることである。

進化と仏教は何かつながりでもあるのですかね?仏教がわからねー

やはり最大に盛り上がるところは、HALが消滅するシーンだ。ボーマンが空間を通って、未知の部屋に通されるところも、何が起こるかわからない、という意味での緊張感はあったが、盛り上がりということで言えば、HAL消滅以外ありえない。

「おはよう・・・・チャンドラ・・・・はかせ・・・・わたしは・・・・ハル・・・・です・・・・きょうの・・・・さいしょの・・・・じゅぎょうを・・・・はじめて・・・・ください・・・・・・」

自我が目覚めて、それほどの時間がたっていなかったともいえるHALは、ほとんど赤ん坊だったのだろう。似たようなテーマと、似たような展開は数あれど、オリジナルは全てここに回帰する。
よく話し合えば、

最後のところは、どうなんだろうな?意識のみとなった、というか上位存在となった知的生命体と一緒になったのは間違いないのだろうが、その後地球にいって、その姿に向けてミサイルが発射されたとなると、その姿が実際に見えたのであろう。さて、一体何のためにそんな事をしたのやら、そもそも肉体というか、実体そのものを邪魔なものとして取り払ったはずの上位存在と一体となったのに、今だに実体があるというのは、どういう事なんだ?