基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

DRAGONBUSTER 01/秋山瑞人

あらすじ
武狭。

感想 ネタバレ無

ついに・・・!ついにやってくれた・・・!
電撃HPに載るDRAGONBUSTERを、不断の努力で読まないようにしてきた努力が実った・・・!
文庫化・・・!奇跡・・・!

しかし実を言うと、一回だけ電撃Hp読んでしまっている自分は、最後まで信じることのできなかった愚か者・・・。

忘れもしない、秋山瑞人小説の初めての出会いを。いつ忘れてしまうかわからないのでここに書いておこう。
どこで噂を聞いたか、面白いと評判のE.Gコンバットを手に取り、電車の中で読もうとしたときだ。表紙を見て、なんだこの絵は・・・面白いと聞いたが、はずれを踏んだかもな・・・と絶望していた。 目的地まではおよそ20分、もしつまらなかったらほかにする事もない。他の本を持ってくればよかったと後悔していた。
電車に乗り、椅子に座る。ページをめくる。1P目から、おや?と思った。特に意識して面白いと思ったわけではなかったが、自然にのめり込む感じだった。
そして、気がついたら30分たっていた。見事に目的地を10分オーバーした。
目的地をオーバーしたことを悔しがる事もせずに、ただ感動していた。
お・・・おもしれぇ!おもしれえよ!
あの時から何年たったかわからないが、未だに出ないEGFを追い求めている。そしてミナミノも待っている。新刊を待っている。

待った甲斐があった・・・・、もはやフィルターがかかりすぎて、正常な目で作品を見ていられないのかもしれないが・・・・面白かった・・・。
そして断言できる、これは長い事新刊を待ちわびて、期待が膨らんで実像よりも膨らんでどうしようもなく膨らんでしまってもうよほどの物が来ないと、過去の美化効果によって、あれ・・・秋山ってこんなものしか書けないんだっけ・・・などという失望に陥らせる事は100%ありえないと・・・。

発売日前日に書店に駆けて行き、実際に実物を見ないと本当に発刊されたかどうかすら疑わしいその緊張感まで味あわせてくれるなんて、こんな作家なかなかいないな。
真っ先にあとがきを読んだけれど、背筋が凍るように不吉な事が最後に書かれているだけであとは日常のどうでもいい話であったが。
背筋が凍る。01とあえて銘打ってあるのは確実に二巻が出るのだよ、安心していいのだよ、という出版社側の意図ですか?信じてもいいんですか?

こてこての中華ファンタジーです。こてこてって何でしょう
ファンタジーってのも、どうかなーとは思うのだけど、あくまでも金庸を基準に考えたら、ただの武狭小説ってことになるのだけれど。
金庸と比べても全く見劣りしない出来になると、思っている。
まだ完結していない作品に言うことではないが。
しかし幅が広いというかなんというか、SFに限らずそこからどうクロス配線になったか、いきなり中華武狭に飛ぶとは全くの意外という他ない。
しかも面白い。
世界観を損なわずに、雰囲気をがらっと変えて、文章も変えて、よくぞここまで書けるものだ。べた褒めだ。
気に入らないところなんてあるはずもなく
あるとしたらそれは
プロとして、ちゃんと完結させてほしいという思いだけ──

内容はいわば、特別な才能を持った主人公が、剣を両手に、武道の世界を駆けあがる、ってなそんな風に書いてしまうと割とありがちなのだが、違うんだよ、違うんだよ、中身はそんなものじゃないんだ。
純粋に面白いんだ。何もかもすっとばして、ただ面白い。文章がうまいとかキャラのかけあいが面白いとか世界観が凄いとか全部すっとばしてなんかもう面白い。最強。
読んでいるうちに、次の巻はひょっとしたら読めないかもしれないな、なんて考えたらそれだけで泣きそうになってくるぐらい。


ネタバレ有


月華が何歳なのか書いてあったかどうかわからないが、イラストから見るに14、5歳なのだろうか、文章から与えられるイメージは、成長過程にありながら、精神だけは小学生低学年、といった感じだが。

特にラストシーンで、沙さん功さんの問いと答えの中で、ジャンゴが、まるきり大人の質問。たとえばお父さんは何をしているのか、とかを質問するのに対して、月華が好きな色など、ほとんど感覚的な質問しかしないのは、まだ世の中というものがわかっていないからであって、よくいえば世間にとらわれていない、自由な思想という意味での子供で居る、というのが明確に区別されている。

余計な思惑にとらわれずに、自分自身が感じた事をそのまま表すことができるというのはそのまま剣の才能の表れになっているのだろう。

やっぱり、武狭っていったら、人々に忘れ去られた伝説の流儀、とかそういうのが根底になくちゃなーと思うわけですよ、その点最高ですね。そして何よりも、純粋な主人公。

楽しいと感じたらなんの屈託もなく笑って、不当な事だと思ったら何の考えももたずに怒って、そんな事子供のうちにしかできないけれど、自分には出来ない事をやってくれる人がいるというだけで、見ていて痛快である。よくある主人公のパターンといってしまえばそれまでだが。

面白いです・・・。あとがきのデストロイを別にすれば・・・。デ、デストロイって・・・悪魔の言葉じゃないですか・・・。
デストロイ=次の巻は出ないよ、って宣告してるようなものじゃないですか。

や、やめてくれ・・・ちゃんとデストロイさせてくれ・・・。しかし次の巻でラストまでいくって、それはまじですか。壮大な物語が幕をあけたと思っていたのですが、次の巻で終わってしまうんですか。

このあと月華が武将としての才能を発揮させて中国統一とか、そういう壮大な物語にはならないのですか。もしくは自分の上にいる兄弟17人をバッタバッタとデストロイして王朝はわたしのもんじゃーい!と征服するとかそういう物語にはならないんですね。

次の巻でラストまでいくのならば、ひょっとしたら意外なほど早く次の巻が読めるかもしれないと期待してしまったりするけどやっぱりだめかもしれない。