ネタバレ無
読めば分かると思うのだが、非常に特殊な小説である。タイトルを見てなるほどなぁーと思った。というか半分読んだ時点でそういう方向性で行くのだとほとんどの人は気づいたのではないか。
こういうのもありだよねーっていう感じではあるが、それでもやっぱり長編を読んでいるというよりも短編集を読んでいるような気分になってしまった。いろいろな内容が終結して最後にはちゃんと終わってくれるから、長編が好きなのに・・・。もちろん短編も好きだが、読み方っていうもんがあるだろう、もしくは読む前の心構え?これからどちらを読もうとしているのか?そういうのを見事に裏切られたような気がするよね、まったく。
それに最初の方は確かにえぇぇぇぇというふうにいい感じにびっくり出来たけれど乱用はいかがなものか、いや、なんだか文句ばっかり書いているような気がするが面白かったのだけれども。ただ雰囲気としては同じシリーズである、前二つとは雰囲気は完全に異なっていたなっていう。
雰囲気は異なっていたがやっていることは一貫としている。それはつまりお約束の破壊、だろうか。タブーの破壊というか。ミステリーのお約束を次から次へと破って行く。そういう一貫した姿勢が感じ取れる。そういう一貫したところがあるから西尾維新作品が好きなのだが。
作中作が昔は確かにはやったけれどもこういう使われ方は多分誰もしてないんじゃないかなぁ。知らないけれども。ていうか作中作って夢落ちと同レベルの話のような気がするのだが。まぁそんな事は置いておいて。非常に語るに難しい内容になってしまっている。むむむ
さてどこが面白かったというとそれはもうまるっきり話の核心にこれでもかというほど切り込んでいってしまうことになってしまうわけであって、ここでいったんCM入ります。
ネタバレ有
きみとぼくが壊した世界ってそういう意味だったのね。きみとぼくで小説の中にある世界を崩壊させたと、作中作の乱用によって。ただ、最終的にそれを書いていたのは笛吹さんだっていうことはきみとぼくじゃなくて笛吹さんだけが壊した世界って事になってしまうんじゃないか?っていうのがただひとつ心残りだったのだが、そういうわけでもないのかな。
それにしても最初に作中作だということが明かされた時はびっくりしたなぁ。
最初の章が語り手は病院坂だしトリックはポカーンとしてしまうようなものだしで、ひでえ出来だとおもっていたところだ。やっと本領発揮かとおもった第二章も微妙なトリックだと思ったら案の定それも作中作だし。それできみとぼくが壊した世界っていうタイトルなんだから絶対にこのあとも作中作が続くな、と誰だって気づくから驚きが減ってしまうのはしょうがないことなんだろうが。病院坂が死んだところも、全くはらはらどきどきという感じではないしな。
それにしても結局事件は何も起こらなかった、っていうのはこれがなかなかミステリーのくせに平和的解決でいいね。それでいて作品の中じゃいくつも事件を解決しているのに、血なまぐさいところが全くない。どの推理も事件から逆算してこれしかありません!みたいなむちゃくちゃな推理ばっかりだったけれどな。