基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜/田中ロミオ


あらすじ

喰らえー!ひっさつ魔剣七式ー! ちゅどーん

感想 ネタバレ無

思いのほか面白くてびっくりした。タイトルを見ても絵を見てもプロローグを読んでも全く期待できなかったのに!最初っから最後まで混沌とした内容を貫きながら最後は最後でやってくれる。

内容があれなのに、現代版文学というか、ライトノベル版文学的テーマの追及みたいなひどい有様。

しかし面白かったぞー!穴があったら叫びたいものだ。またしても脇役の姉貴が一番好きなキャラだ。何だか自分の好きになるキャラクターの傾向が分かってきた気がする。

最後はうまくまとまったかと思いきや最後の最後まで混沌としていた。もう全く混沌としていた。

中盤までは笑わせてもらった。何だか、オチがうまくついて笑うというよりも、全体的に蔓延した笑いの空気にやられた。にやにやしながら読んでいたような気がする。

これを本人が言うように学園ラブコメとして売りだしたらいろんな人が怒りそうな気がする。

厨二病と言われる設定を逆手にとってネタにしてしまうとは・・。しかもそれで一本長編を書きあげるんだから凄いという他ないな。
タイトルからしてすでに痛々しすぎる。これはひどい。思わず買うのをためらってしまうレベル。ただそこを乗り切れば何か別のものが待っている・・!はず。


ネタバレ有

異常にテンションの高い自称戦士達が、普通人たちによっておかしいことを指摘されているところは全く胸が痛い。普段元気のに突然しょげてるのが痛い・・・心に突き刺さるぜ・・。 黒歴史と呼ばれるようなものは意外や意外、もっていないがあるいは今現在黒歴史進行中なのかもしれないがえてしてそういうのは進行中の時は気がつかないものである。

実際そんな人間がいたら、事実を突き付けていう方が一番つらい気もするが。

現実にこのクラスにいるような人間がいるはずもないが、まぁ事実は小説とは奇なりというぐらいだし、案外いるのかもしれないな。自分が通っていた学校には一人もいなかったが。イジメも無い学校だったので全く平和な学校であった。もちろん感知していないところでイジメぐらいあったのかもしれぬが。

最後クラスのほぼ全員が厨二病に感染するのも、なんだかノリのいい昔の学園モノのノリみたいで楽しかった。頭の片方でねーよ!と思いながらもそれもあるあると思うようなそんな絶妙の間。

小説を読むと、批判される場合どこが批判されるかがなんとなくわかるのだが、この作品だとわからんな。全部批判する人か全く批判しない人の二極化になりそうだと勝手に思った。

この普通になりたくなくて、社会に適応できない人間はどこで生きていけばいいのか、人の輪の中に入っていけない人間はどこに逃げればいいのか、みたいな問いはずーっと繰り返されてきたテーマだよなぁ。人間失格とかもそうだし。田中ロミオ人間失格なんていったら噴飯ものだが



 「わかるよ。くっだらねーよなぁ。学校とかほんとくだらねーわ。いいこともあるけど・・・・・・悪い事はその数倍もあるよ。けど考えてみろよ。この魔法も植物もいない世界には、敵だけはいてくれる。闘い放題だろ。・・・・・まあ、見えない敵ばっかりだけどな」


この答もまた色々な作品で言われセリフをかえ中身をかえ状況を変え本当にいろんな場面で言われてきた答えだよなぁ。考えてみればこういう、答えの出ない問いみたいなのに対する答えなんて、がむしゃらに前に進め、しかないわけであって。

ただこんなやり方でそれを見せてくれる、っていうところがやっぱり面白いわけで。