基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

水滸伝 二/北方謙三


感想 ネタバレ無

相変わらずぶっ飛んでる北方水滸伝。途中で読むのをやめるという事が出来ない。
とにかくぶっ飛んでいる。面白さ限界突破という感じ。というか、別に巻ごとに、特に大きな区切りが無いわけだから、読むのをやめるわけにはいかない。読み終わるまで進み続けるだけである。巻が変わっても変わらぬ世界がそこにあるというのは新鮮な喜びだ。

やはりこの巻でも数々の名場面がああ。やばいやばい。鳥肌物。この巻で陽志が出てきて、物語も少し、動きだす。梁山泊の主力メンバーも次第に集まってくる。

さらに王進システム。というかこのシステム、なんか真面目にアホな事やっているような面白さがあって笑ってしまうのだがどうもおかしいような気がする。読み方間違ったかなぁ。でも王進の凄さが、巻が進むごとにだんだんわかってくる。最初から凄い凄いとは書かれていたけれど、あぁなるほど、というように吸収されていく。

話の流れとしては、梁山泊を手に入れるための数々の行動というところか。もちろんそれだけではないのだが、何分一巻ごとに語るような本ではないような気がする。全部読み終わってから総括、という風にすればよかったのかもしれぬが、忘れてしまうというのはどうしても避けたい。

ネタバレ有

白勝が林冲と安道全に感謝するシーンは号泣物。ていうか、こんな小物の盗人一人にさえ確かな志が根付いているというその一事をもってしてすでに号泣出来る。


 「あの二人がいなけりゃ、俺は死んでた。いや、一遍死んじまったんだ。手癖のわるいところなんか、きれいに治っちまったもんな」
 「わかったよ、白勝さん」
 「いや、孔亮、おまえにゃわかってねえ。俺は滄州でしばらく動け無くて、その間に、安道全も林冲も行っちまった、追ってみたが、山寨の中だってよ。安道全は、兄弟以上なんだ。林冲は、血を通い合わせた友だちなんだ。山寨にいるなら、俺も山寨に入りたい。そのために、みんなに信用される仕事をしなけりゃならなねえんだ。志なんか、くそ食らえなんだよ。それが恥ずかしいとも、俺は思っちゃいねえ」


白勝は自分には、志がないといっているが冗談じゃねえ、これが志じゃなくていったい何が志だ。格好良すぎる。2巻一番の名場面といってもいい。晁蓋宋江の二人共、タイプは違えど担ぎあげられるだけの強さが存分に書かれている。
1巻で、林冲一人信じられないで何が志だ、と言って拷問にかけられている林冲
が秘密をばらすと全く思っていないその胆力に圧倒された。


 「会いたいと思った。思ったら、林冲は必ず来るという気がした。だから、夜明けに家を出て、ここで待っていた。おまえは、私に待たせる資格がある、数少ない男のひとりだ。会いたいと思って待っていれば、必ず会えるのだと、おまえが駆けてくるのを見て、本気で思ったぞ」


ここで突っ込むべきなのは、来ると思ったから待ってるって、お前エスパーか何かかよっという野暮な突っ込みではない。自分勝手に解釈して、宋江を格好いい男に仕立て上げるのが本当のやり方じゃ。つまり宋江はたまたま今回だけ立っていたわけじゃなくて、会いたいと思った時は毎回立ってたんだよ!つまり今まで何回も不発させておきながら、それをみじんも感じさせない宋江超格好いい。

この二人の絆には何物も阻めねええ。1巻の時点で林冲は何故こんなひどい拷問にあわせられながらも、何もしゃべらないのだろうと疑問に思ったが疑問は愚問であった、信じられる強い絆ってのをまざまざと見せつけられた気がする。

どう考えても最強なのはこの二つの場面だが、さらに上げるとすれば王倫を殺したシーンか。あれはやばかった。まぁなんだかんだいって、このストーリーに出てくる登場人物は敵であれ味方であれ小物であれ全員格好いいという事を再認識した2巻となった。