基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

生物と無生物のあいだ/福岡伸一


感想 ネタバレ有

自分にはこの作品を批判する資格がない。あまりにも内容が微妙すぎて最後の2,30ページほっとんど読んでいない。まぁいいだろ。

そういえば同名の新書が岩波かどっかから出ていた。あっちはどうなんだろうなぁ。 


文章のうまさと内容の面白さは比例しないという事を知った。

ここで書かれてある事のほとんどは、すでに利己的な遺伝子の中で、この本の何倍もわかりやすく書かれている、と感じる。だからこそ自分はこの本を読んでも、あまり面白くなかった。

しかしちまたじゃ大絶賛なんだなぁこの本。特にその文章力について、各所でべた褒めである。難しい事をわかりやすく書いてある、という評価も目立つ。

帯の美辞麗句がとてつもなくウソ臭い。知っている人間でもよしもとばなな高橋源一郎内田樹森達也、そうそうたる顔ぶれである。

読んで思ったのだが、まったくわからなかった。いや、全体として言いたい事はわかるのだが説明過多というか。一行で済むような事を無駄な文章力を使って脚色して何ページにもわたって書いているというか、ひとつだけじゃなくて、最初から最後まで、全部そんな感じなのである。

生物と無生物のあいだ、というタイトルは読む気にさせるに充分な魅力的なタイトルだったけれど、本の中で言っている事とあまりつながってこない。というか、全体的にまとまりがない、と感じる。最終的な結論に行きつくために、この論は必要なのか?という疑問で読んでいる間頭がいっぱいになった。

各章のはじめに、何故か筆者の暮らしていた街の描写が入る。まったく、意味が、わからない。読んでいる最中に久しぶりにぶち切れそうになった。まったく意味がないのである。およそ三ページにもわたってニューヨークの町を描写したかとおもったら、そのあとニューヨークの話なんて無かったかのように本論に入って言った時には殺意すら覚えた。意味ないのかよ!

ほんとにまったく意味がわからないのだがなんでそんな関係ないことを書く必要があるのだろうか。確かに絶賛されているように文章力はあるのかもしれないが、必要ないところでその文章力を発揮されても全く困るのである。

さらにわかりやすいわかりやすいと評判だがラスト40ページぐらいは本当に読むのが苦痛だった。数学を勉強する時に、一番最初の勉強をサボると、そのあと全然理解できなくなってしまうという現象があるがまさにそんな感じだった。あまりに読むのがだるくなって数ページ流して読んだら意味のわからない語句が頻出していてそのまま読み進めても全く理解できなかった。

サボるな!ちゃんと読め!といわれても仕方ない所業であるが読みたくないんだからしょうがない。っていうか面白くないわぼけぇ!

というか、すでに利己的な遺伝子の中でほぼすべて理解出来ていることだったのだ。より理解しやすい方法で学んだあとに、何故わかりにくい方法で復習しなければならないのか、とそういう意識があった為に、これほど面白くないというネガティブな意見を持ってしまったのだろうと思う。

恐らく利己的な遺伝子を読む前に出会っていたら、大絶賛していた可能性もある。タイミングっていうのは全く重大なのである。

それにしてもくどい、説明がくどいし、意味があるのかないのかよくわからないエピソードの挿入がくどい。

利己的な遺伝子の中で、一章でまとめ上げられてしまいそうな内容なのに一冊まるまる使っているという感じ。

本の中で何人もの偉大な科学者の話が出てくる。ほんとうに意味があるのか?このエピソードの挿入は?と問いかけたくなるものだらけである。前に読んだ本に、ただの有名な科学者マニアの人間が書いたようなものがあったが、それと似たような空気を感じた。

ただやはり面白い話もあるのである。本当に唯一の欠点は利己的な遺伝子を先に読んでいたという事だけである。


 結局、私たちが自然に対して何かを記述できるとすれば、それはある状態と別の状態との間に違いがある、ということでしかない。

何故こんなに生物は大きいのか、という問いに対しての説明はなかなか面白いものであった。


 生命現象に参加する粒子が少なければ、平均的なふるまいから外れる粒子の寄与、つまり誤差率が高くなる。粒子の数が増えれば増えるほど平方根の法則によって誤差率は急激に低下させうる。生命現象に必要な秩序の精度をあげるためにこそ、「原子はそんなに小さい」、つまり「生物はこんなに大きい」必要があるのだ。


そういえば、またどうして面白くないかと感じたかというネガティブな意見に戻ってしまうのだが、どうもゴールがよくわからない。
プロローグにて、生物を無生物から区別するものは何か、というものをゴールに設定していたようだが、中で語られているという事といえば物凄い小さい話なのである。まさかDNAの成り立ちから説明させられるとは思わなかった。そして関係は確かにしているのだろうが、あまりに視点が小さすぎる。うどんを作るために麺から作ろう!とかじゃなくてうどんを作るために原子の仕組みを調べよう!といっているようなものだ。

何が一番不満かというとタイトルと内容があっていない。

進化論に対して、私は違うと思う、と書いてありその後当然何故違うと思うのかが書かれているのかと思いきやスルーしてそのまま次の話題へ行ったりほんとうに何がしたいんだろうか。

さらにいえばエピローグ、必要なのは最期の二ページぐらいなもので、その前の作者の小さい頃の体験談というものは必要とは感じなかった。そしてそして、最後のオチである。まさかこれがオチ?と目を疑うような思いであった。本を投げ捨てようかと思った。

 私たちは、自然の流れの前に跪く以外に、そして生命のありようをただ記述すること以外に、なすすべはないのである。それは実のところ、あの少年の日々からすでにずっと自明のことだったのだ。

なんだそりゃああああ。だったらプロローグとエピローグだけ書いてろバーカ!この本の270P近くはなんだったんだよ!いったい何のためにここまで読んできたと思ってんだ。

文章力が凄いとかいうのは自分にはわからないのだが、やたら脚色されているような文章で非常にサムい。こういうのを凄い文章力というのかーと唖然とする思いだ。

少し笑ったところ


 よく私たちはしばしば知人と久闊を叙するとき、「お変わりありませんね」などと挨拶を交わすが、半年、あるいは一年ほど会わずにいれば、分子のレベルでは我々はすっかり入れ替わっていて、お変わりありまくりなのである。かつてあなたの一部であった原子や分子はもうすでになたの内部には存在しない。

お変わりありまくりなのである、笑った。