基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

三国志 六の巻 陣車の星/北方謙三

感想 ネタバレ有

つ、ついに孔明殿が降臨なさった・・・。自分の興奮ぶりはそれはもう凄まじいものであった。50ページ以降ようやく孔明が出てくるのだが、早く出て来い早く出て来いと念じ続けて、一心不乱に読んでいたため50ページまでの内容をほとんど覚えていないというていたらく。

やっぱ孔明反則すぎるな。いや、それにしても桃園の近いがなかったから、三顧の礼もひょっとして無くなるんじゃないか、という疑念をもっていたが、さすがに三顧の礼は書いてきた。よかったよかった。いや、別に無くてもよかったのだけれど。繰り返されることの安心、というものもある。

一つひとつのエピソードが結構あっさりと流されていく印象がある。だから時の流れが速く感じるのかな。その中でも、孔明を迎え入れる話については結構念いりに書かれていたような気がしないでもない。いや、そうでもないかな? 一回目と比べて二回目と三回目はかなりあっさりだったな、そういえば。特に三回目はほとんど会話もしないで


 「闘います、私は」
 孔明は言っていた。
 「劉備玄徳様のもとで、天下万民のために、闘います」
 「まことに?」
 「二言はありません」


となっているし。読んでいる最中はやっと孔明が加入した! という嬉しさでいっぱいで何も考えなかったが、今こうして読み返してみると少々唐突すぎる感があるような・・・。期待がでかすぎた、というのは自覚している。なんにしても孔明がついに加入したのだ。これほどうれしい事はあるまい。

これから、孔明の天下三分の計が始まる。

  • 孫家について

周瑜がいい男すぎる。義に生きる、という生き方そのものはほかの登場人物にも、関羽とかに限らずこの北方三国志にはもはやありふれたものといっていいぐらいあふれているのだが、何故か周瑜が一番かっこよく読める。何故だろう。
孫堅孫策孫権と親子三代にわたって忠節をつくしているからかな。よくわからぬ。そんな周瑜が突然酷い事をしたものだからびっくりした。


 ようやく歩くようになったころ、川に放り込んだのだ。そうしていると、数日で周循は泳ぐようになった。


いやいやいやいや、鬼畜すぎるだろ、拷問だろそれは。何故中国の親子関係は子どもにこんなに非情な事をあっさりとやってのけるのだろうか。ライオンは子どもを谷に突き落とすというがそれにしても歩けるようになったばかりの子どもを川に放り込むって・・・。絶対に助けられるという鉄の自信があってそうしているのだろうがやられた方はたまったもんじゃない。しかしかなり小さい頃の話だから、きっと覚えていないだろう。覚えていなくても泳ぎが身についているのだからそれはそれでありなのかもしれない。

ついに曹操軍二十万が動き出した。袁尚もたおし、袁家を根絶やしにする。

華侘のキャラが思いのほか曹操にとって重大なもののように書かれていたのに、あっさりと殺したのは驚いたな。というか殺された後、そういえばこんなやつが殺されるエピソードがあったな、と思いだした。というか今思いだした。北方三国志、キャラの書かれ方が全く違うのでキャラがうまく当てはまらない事が多々ある。

この曹操もよく悩む。息子を殺してしまったことを悩み、部下が死んでも役に立たずに死んだとしか思えない自分に悩み、頭痛に悩み、劉備に悩み、天下を早くとらないと民が疲弊してもう限界だ、と悩み、ただこの悩みが全部、天下を平定すれば無くなる悩みである。だからこそこんなに攻めを急いで居るのかもしれない。残念ながらこのあと何年も闘いは続く事になる。