基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

レッドサンブラッククロス〈4〉『作戦グスタフ発動』/佐藤大輔

やっぱ面白いね。表紙は時代錯誤な感じだけれど。作戦グスタフ発動とはいうものの、したのかしてないのか、よくわからん。作戦グスタフを始動させるための行動なら着々と進行しているから、始動といってもいいのかもしれぬ。そのせいかどうかしらんが、作品中で何が起こっていたのか、とんと思いだせぬ。毎度のごとく兵器の説明が大量に入り、イタリア軍が初めて戦線に参加し、ドイツがグスタフを始動させるために動きまわっていた事しか記憶にないぞ・・・。こんなんでいいのか・・・。ほんの数時間前に読み終わったというのに、こんなんでいいのか記憶力・・・。

パラパラっと読み返してみたけれど、中身は恐ろしいほど無いのではないかこれ。結局起こった事といえば、日本にイスラエル大使が同盟の用意がある、と言ってきた事と、イタリア海軍がいよいよ動き出して、ドイツと共同でインド洋に乗りだし、それを迎え撃つ日英海軍、さぁどうなるどうなる! といったところで終わっている。これはあれか、早く五巻を読めという事か。そうなのだろうな、そうだろうそうだろう、すぐに読んでやろうじゃないか、ちょっとまっとれよ。

兵器の描写は相変わらず凄い。密度が凄い。ことあるごとに兵器の説明描写が入る。さらに凄いのは、その長々とことあるごとに入る説明描写が、ちっともうっとうしくないところである。いや、これは自分がそういった事に興味があるからそう思うだけで、一般大衆にはまったく理解できない感覚なのかもしれないが。富獄の描写も長々と、製造元である中島の説明から入っていた。ふむ、正史では、中島で作られようとしたが、当時は高出力エンジンが作れなかったのか、なんなのか知らないがとにかく開発中止になったとされている。結局この失敗がたたって中島は解散させられたらしいが、造り上げ、さらにそれが採用されたレッドサンブラッククロス(以下RSBC)世界では三菱中島の二大派閥が争っていく感じになるのだろうか。細かい変更点だが、実際の歴史では起こり得なかったことが、こうして日本側有利に展開しているとやはりうれしいものである。

話は変わって、外伝が挿入されていた。戦艦大和に潜入し、爆破しようとするドイツ特殊部隊の4人と、日本軍の話である。こちらの印象が強すぎて、本編の内容を忘れてしまったのだろう。短いながらもまとまっていて、面白い。一行で説明してしまえば、戦艦大和に潜入したけど奮闘した日本軍によって見事防衛されました、めでたしめでたし、なのだが、何がこんなに面白いのだろうな。本編と違って、キャラクターのセリフがいちいちクライマックスのセリフ並に凝っている。どの発言を切り取ってみても、やたらに名言っぽい。

 「必戦と無意味な殺人の間には、男と女ほどの違いがある」クラウスは乾いた声でいった。

そーなのかーと口をポカーンとあけて納得してしまいそうなセリフである。他に印象的だったのはこのセリフだ。

 「大尉、大変失礼かと思いますが」古橋は冷たい声で言った。「世間のすべてが自分の理屈で動くと信じてる奴は余程の莫迦だけですぜ」

このセリフの後で、覚醒して果敢に指揮を取り始める高城大尉はまさにジャンプの主人公、といった感じで、王道展開の面白さを再認識。

まさかこんなおまけ短編で、大和が破壊されるわけがないとたかをくくって読んでいたのだが、それでもひょっとしたら爆破されてしまうんじゃないかと心配させるぐらい緊迫感に満ち溢れていた。 常に歴史改編は日本の有利になるように行われなければならないというポリシーを持っている佐藤大輔が大和を爆破なんてするわけがないのだが。だいたい大和といえば日本人のだれもが知っているといっても過言ではないおいしい艦であって、それをお前本編で全く活躍させるまでもなく、正史と同じように爆破するわけがないのだがまぁそんなつまらん話はやめよう。