基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

レッドサンブラッククロス〈5〉第二戦線崩壊/佐藤大輔

ついについにイタリア軍vs日英同盟の火蓋が斬って落とされた。それにしてもこの巻、機体説明が多すぎる。あと地図も。280ページしかないのに、60ページぐらいは機体説明と地図だったため、実質内容的には220ページ分しか読んでいない事になる。まずは小手調べ、とばかりにゴアに突入していったのはいいものの、そこでの描写は大したことが無い。まさに小手調べ。だが問題はそのあとのブルーアイス作戦だ。ソコトラ島上陸作戦のため続々と集まってくる日英同盟軍と、これまた別の作戦を行おうとしている欧州連合。長年待っていたものがついに来た、というところか。いやいやこいつはほんとにやべぇですぜ。なにしろ、まだブルー・アイス作戦は始まったばかり、一番いいところで本書は終わりを告げる。前哨戦であるイタリアvs日英海軍の戦いはまったくどうしようもないほどぶるっちまうような緊張感のある戦いで、でもやっぱりイタリアはイタリアらしくヘタレていて、戦果だけ見れば完全にヘタリアなのに戦闘描写だけを見ているとイタリアうおおおおお! と興奮してくるようなそんなイタリアが好きすぎて早くもこのブルー・アイス作戦からイタリア軍の出番が消えつつあるのが悔しくてならない。かっこよく! だがお約束はキチっと決めてくる佐藤大輔最高! という感じ。約60ページ分の機体説明だが、すでに説明され終えている艦まで、再度説明しているのでうっとうしいことこの上ない。黒塗りのシルエットが同時に書かれているのだが、正直な話違いがよくわからない。いや、もちろん間違い探しみたいに二つ並べてみれば違いは一目瞭然なのだが、形が違うから、何がどうなの?という部分がさっぱりなのである。確かに図が挿入されたことにより、理解度がはるかにあがったことはたしかなのだが、それが海上を動き回りバンバンと大砲をうって人を殺しているところを想像するには想像力か、もしくは頭の中に艦の形をインプットしようとする気合いが足りなさすぎる。イタリア海軍が訓練が足りないばかりに敵に弾を当てられない。それどころか敵に致命的な攻撃をあてられる。だが轟沈するのが目に見えているのにも関わらず、前進し、主砲を打ち続けているという超絶かっけえ場面で

 イタリアにも海軍軍人は存在しているのだった。

ちう一文の破壊力はやばいね。海軍軍人が存在していようがイタリアがあまりにも弱い事は、本書でも全く変わっていないのだが。できて誘導が出来るぐらいだと判断された遺印艦隊が戦ったら勝っちゃったってそれどんなギャグ? というレベル。戦闘に勝ったのにも関わらず、逃げちまったやべぇやべぇまじやべぇどうしようと慌てふためく日英同盟が面白すぎる。なんだかんだいって何とかなってしまう方向に動くのがイタリアの面白いところだ。吉と出るか凶と出るか、まだ先を読んでいないからわからないのだが。

イタリア航空隊の不甲斐なさはどうよ・・。

 遺印艦隊の乗員で、この対空戦闘が終わるまでに敵機の明確な姿を視界にとらえたものは皆無だった。機種すら判明しなかった。イタリア海軍唯一の母艦航空隊はこうして壊滅した。

まるでシューティングゲームか何かのようにぼこぼこと墜落させられていくイタリア軍。そうなってしょうがない理由がもちろんあったのだろうが、それにしたって悲しい。こんな結果になってイタリア軍がこれを改善しようとしないのがまた悲しい。日本だったら躍起になって事態解明に走り、罪をどこかになすりつけてさてあっというまにそれなりのものを仕上げてくるだろう。