基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

カラマーゾフの兄弟1/ドストエフスキー

光文社文庫版である。本当は一気に五冊分書いた方がいいと思ったのだが読み終わる前に内容を忘れてしまいそうだったので中間報告的な意味をこめて。
読み終わった瞬間にこれを書き始めたのだが、早く二巻を読みたくてたまらない気分である。まさかこんな続きが気になるところで、終わりを告げるとは思わなかった。まるでドラえもんが1話終わったかのように気持ちのよい終わり方がこの一巻の締めくくりを飾ると自分は信じて疑わなかったのだ。アリョーシャ少年の心に平穏は訪れないのか、とは書くものの、最後は安らかに眠っている。神の力ってやつはそれはそれは凄いものだねぇ。アリョーシャみたいなやつらばっかりだったら精神科医なんてこの世にいらないっつーの。

さてさて前おきはこれぐらいにしておいて、まぁ一巻を読み終えた時点での好き人物ランキングでも書いておこうか。最初と最後でどう変化しているかを見て楽しむためである。

1.フョードル・パーヴロヴィッチ・カラマーゾフ
2.リーズ
3.グリゴーリー
4.グルーシェニカ
5.アレクセイ・フョードロヴィッチ・カラマーゾフ

まぁ五位ぐらいまででいいだろう。六位はイワンである。いやいや、リーズかわいすぎるでしょう。何か騙されているような気もするけれど。具体的に書くとグルーシェニカとカテリーナのなんかちょっとひくわー・・・っていうやりとりを見せられた後になんかこう、純愛ってこういうのだよね、っていう理想像をリーズがつきつけてきたせいで謎メーターが振りきれてしまったようなそんな感じなのですよ。グリゴーリーが三位なのは、なかなかこのカラマーゾフ世界において幸せそうなところが気に入ったわけ。ドミートリーが攻めてきた時も体張って守ろうとしたし、そういった面でも割とかっこいい男。しかもマルファとの絆も読んでいるとなんか燃えるんだもん。フョードルもアリョーシャにはかばってくれてありがとうとお礼をいってたがグリゴーリーをもっとたたえてあげるべきですよ。
またグリゴーリーを決定的に好きになった場面がある。以下引用。

 「なんでもないんです。神さまが世界をお造りになったのは最初の一日目ですよね。で、太陽とか、お月さまとか、お星さまは四日目でしょう。だったら世界って、最初の一日目はどうやって光ってたんだろうって?」
 グリゴーリーは棒立ちになった。少年はあざけるように先生を見ていた。その目にはなにか傲然とした輝きがあった。グリゴーリーはたまりかねて、「こうやってだよ」と一声叫ぶと、生徒の頬っぺたにすさまじいびんたを一発見舞った。

今読み返しても笑いがとまらん。お前、殴ってどうすんだよ、殴って・・。この理不尽っぷりとういか、小物っぷりがたまらん。ていうか普通に考えたら一日目は光ってなかったんじゃないの? 別に光ってなくたって大丈夫でしょ、神さまなんだから。ポケットモンスターだって、フラッシュ持ってなくても、手探りで真っ暗なダンジョンクリアできるんだから神様だったら光なんてなくたって余裕だよ。

それからグルーシェニカのいかに美人かっていう描写は、かなり長く書かれていてそれだけでおもしろいのだけど、カテリーナにむかってハハハ! バーカ! といって罵倒する場面がなんかこうぞくぞくして、いやほんとどうしようもない。たまらん。

フョードルさんが一番好きな理由は単純明快、面白すぎるからである。道化に徹しきっていけるとこまでいっちまえとばかりに茶化しに引き返すとこは腹かかえて笑ったわ。それでいて、微妙な引き際をわきまえているのがすばらしい。というかこのフョードルを読んでいるとまるで他人ごとのような気がしない。ゾシマ長老に諭されているところでは思わずフョードルの身になったような気分で敬虔な気持ちにひたっていたものだがこやつがひとたび調子に乗りだすと読んでいる自分もヘッヘーやってやったぜという気分になるのは不思議なことである。誰だって多少は、自分が道化を演じていると感じた事が、あるのではないかなぁと思うところもある。それから一つわからない点は、こやつの名前がドストエフスキーの名前と同じというところである。自分を投影しているってそんなわかりやすい理由でいいのだろうか? といっても投影していようが、いまいがどのみち、話の流れには関係ないのだがね。

どいつもこいつも好き勝手生きているせいか、アリョーシャの不遇っぷりがほんと半端ない。不幸な星の元に生まれてきてしまった。というか単純にカラマーゾフの家に生まれてきてしまった不幸というべきか。作中でなんどもカラマーゾフだから! などといってまるで呪われた血か何かのように言われているが、なんか勇者ロトの血をひくものよ! みたいな血統が感じられて良い。 お、俺の中のカラマーゾフの血がうずくんだ・・・みたいなそれなんて中二病? なじむ!カラマーゾフ家の血は実によくなじむぞぉ! みたいな? 俺たちは結局カラマーゾフの血から逃れることはできないんだ・・・ってそれジャンプのどっかのキャラクターも似たようなこといってた! いってたよ! 

ロシア人の名前ってやつは面白いねぇ。三つに分かれていて、ひとつめが個人名、二つ目が父性、三つ目が家族性とでもいうのかな? この家族性ってのが父と母とどっちになるかは日本人の子供の姓がどちらになるのかわからないように、わからんものかな? 父性ってのは絶対に父性でしかありえないのか? っていう疑問もあるんだが。まぁそのあたりの事は調べればすぐわかるってもんで、まぁ当然面倒くさくて調べないんだけど。

つまりアリョーシャの子供ができたら●●●・アレクセロヴィッチ・カラマーゾフってことになるのかな?もしくはアレクセヴィッチ? 名前にヴィッチがついてるのってどんな気分なんだろうねぇ。っていっても英語圏じゃないから何とも思わないのかね。でもってフョードルさんのお父さんの名前はパーブロなんかね? いやはや面白い。そんでもってフョードルっていったいなんて発音すればよろしおすか? ヒョードルでいいのか? フョなんてどう頑張っても発音しようがないものね。

さてさて、一巻が終わったのだが話の筋というものがまるで見えてこない。いったいこいつらはどうなってしまうのか? 先がまったくわからない。まさかこの先カラマーゾフ一家が血で血を洗う壮絶な死闘を繰り広げるわけではあるまい? アリョーシャが神の力を顕現して世界に君臨したりはするまい? いったいこいつらこのあとどうなってしまうんだ?

ドミートリーはドミートリーで、もうお前には二度と会う事もないだろうとかジャンプ的な、なんかよくわからんキザなセリフをはいてどこかに消えて行ってしまったがこれはあれなの? いつかカラマーゾフ一家が本当にピンチになったときにふははははー! 俺を忘れてもらっちゃ困るぜぇぇぇー! といって飛び出してくるフラグなの? 五巻の終盤まで出てこないの? みんなが忘れた頃にでてくるの? それとも二巻で平然と出てくるの? 

そういやコニャックっていう飲み物がやたらと出てくるけどウォッカの親戚か何かですか? 自分の中のロシア人のイメージをっていうと、マイナス何十度っていう極寒の世界でもウォッカを片手に、こいつがあれば寒さなんてなんでもないぜー! とかいいながら上半身裸で大量の荷物をロバかなにかが運ぶように、ひいている姿なのだけど。あとコサックダンス、意味もなくコサックダンスをしているイメージ。いつこのカラマーゾフ一家はコサックダンスをするわけ? それともしないの? ロシア人はコサックダンスしないの? 

書いているうちにテンションが高くなってきて意味わかんないことばっかり書いているな。まぁそれぐらい面白かったのだよ。まさかこんなに面白い小説だとは、まったく思っていなかった。地下室の手記を読んだ時も思ったが、まじめで硬いものを読もうという気分で挑むと肩透かしを食らうな。

熱にまかせてぐっちゃぐちゃに書きまくったから全く前後のつながりのない文章だけどこれはこれでおもしろいからこのままで。普段は一時間で三千文字書くところを、カラマーゾフは三十分で三千文字書いたといえば面白さが伝わるだろうか? では二巻に続く。