基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

二重螺旋の悪魔/梅原克文

世紀の大傑作かはたまたただのバカ小説か・・・。どっちとも区別しがたい・・。上巻は突っ込みどころ満載の設定に、バカすぎるキャラクターに愛想をつかしそうになりながらも、早い展開、面白い文章にひかれて読み進めることができた。下巻の半分までは唐突に表れた設定の数々の面白さで読み進めることができた。残りの半分はここまで読んだんだから・・・という惰性で読み進めることができた。

あまりにも突っ込みどころが多すぎて、ダメだ。とりあえず出来る限り突っ込んでみよう。だが突っ込む意味ははたしてあるのかどうか・・・。

まずキャラクターがどいつもこいつも馬鹿すぎる。主人公のアホさには最初から辟易しまくりだった。過去がバカなだけかと思いきや、現在も全く変わってはいない。それなのにまるで、一応成長しているとでもいいたげな書かれ方でなんとも違和感がつのる。まず別れて時間がたっている女を、忘れられないで追っかけまわしている。その狂ったような執着の仕方に、まじでこいつ頭がおかしいんじゃないかと思いながら読み進める。そして和美のクローンを作ってやる! とかなんとかわめきちらすところで確信する。こいつ真剣に頭がおかしい。

こいつは今までに数々の書物の平行世界上で不幸な目にあってきた、クローンを作ろうとした人間たちの末路を知らないのだろうか? 知らないに違いない。しかもこいつ迷わない。

最後クローンを実際に作るところは、アホすぎて笑えもしなかった。これほどの怒りを覚えたのは久しぶりだ。意味がわからない。あとこいつ何で左腕が使えないくせに、何故最初C部門の戦闘員にされているのだ? 意味がわからないのだが。そもそもばんばん人死にが出る部隊を隠せるはずないっていうか、自衛隊をこんなときに使わないでどうするんだっていうか、一応説明らしきものは書かれていたがまるで納得できない。しかも突如出てきた超人化する実験が成功率50パーセントだと? どこのダイジョーブハカセですか?理奈さん? 頭おかしいの?パワプロクンなの? アホすぎて話にもならん。 しかも世界規模の話なのに登場人物が日本人しかいねぇ。どういうことだ。しかもすくない。偉い奴らのやることといったらいけ! と頑張れ! とか残念だったな・・・とかそれぐらいの言葉をかけることしかやってない。なんだこいつら・・・。バカしかいないじゃないか・・・。

主人公の元バイオ学者っていう設定まったく意味がないような気がするのだが・・・。いったいどこかでこいつの知識が役に立った事があったか? 

ダゴンのアホさは異常。何回も同じ戦法でやられている。 片方が囮になって片方が襲いかかってくるっていうその戦法にお前は何回やられているのだ? 

主人公がバカさを発揮して、ダゴンを何回も取り逃したせいで被害が拡大しまくる。理解不能理解不能。学習能力ってものが無いのか、主人公には。何回やっつけたと思ったら復活しやがったパターンを繰り返すんだ。ああイライラする。数回復活したあたりから、はいはいライバルポジションライバルポジション、どうせ今回も死なないんだろ・・・と呆れてものもいえない。真っぷたつにしても生きているわウィルスを打ち込んでも生きてるわで最悪。

さらにバカなのは神も。神の今までやってきたことを説明する場面があるのだが、ひたすら退屈。あーそうなの、はいはい、早く次にいってね。説明の最中、神の思い違いだった、とか神の失敗だった、とかいう説明がたくさん入っている。いったい神のくせにどれだけたくさんの失敗を犯せば気が済むんだ・・・。

あと展開がワンパ。ワンパすぎる。文章もワンパ。最初は面白くても同じ表現ばっかりで飽きる。よくも同じ作品の中でこれだけワンパターンを意識させられるなと逆に驚くぐらいこいつら同じ事を繰り返している。主人公はピンチになったら名案を閃く。しかもなんだそれ? アホか? というような行き当たりばったりの愚にもつかない名案ばかり。だが成功する。主人公だから。そして驚くべきはその程度の発想をこいつ以外のだれも出来ないという点だ。闘いの最中に俺が悪い、いや俺が悪いと日本人の悪い癖が出まくる。ほんとにもういいから! しかもその悲惨な罪の譲りあいを止める人間がいない。

最大級の違和感は、一連の出来事が全て日本で行われているという点だ。そもそも舞台設定からしておかしい。神保町で、品川で、恐竜の頭を持ったGOOが歩きまわり日本の特殊部隊がそれを迎え撃つ。何故? 何故日本? 日本でゴジラが歩きまわる、怪獣が歩きまわるってんだったらわかるよ。それかもしくはアメリカで白人や黒人がファックファック言いながら必死に戦うのもわかるよ。何で日本なのだ? まったく雰囲気があってないというか、理解できない。何で日本にする必要があった? テニスの王子様のキャラクターが全部中学生といわれるぐらいに理解不能である。最初下巻の表紙を見た時は、SF作品で違う惑星にでもいって異星人と戦うのかな?と想像したものだったよ。まさか品川で宇宙服みたいなものを着て戦う日本人だったとはね。まったく驚きだよ。

どうしても許せないのはクローンの話。最後に和美(最初の彼女)か理奈(次の彼女)、どちらを生き返らせようと悩むのだが、なんなのだろう、このうざさは・・・。二人生き返らせたら、どっちと付き合っていいからわからないからというアホな理由で片方の毛髪を燃やしてしまう。ちょっとまてと。お前は神にでもなったつもりなのかと。しかも自分のせいで死んでいった数々の戦友のことは完全無視ですか? 片方を生き返らせ、抱き締めて終わる。まるでハッピーエンドかのように。ふざけるな、空前絶後のバッドエンドだっての。クローンを作ったことによる問題とか全部棚上げか・・・。そもそも大切な人を失って悲しいからクローンを作るぜ! とかいう単純な思考がウザすぎてどうしようもない。

まるで作者のナルシズムを投影したかのような物語ではないか。ピンチには必ずいい案を閃いて、何でもかんでも自分がやらないと気が済まなくて、色々悲しく残酷なこともあったけど最後は愛するあの子も復活してやったねー!ってな。最後まで自分のやったことに酔いしれて死ね、このクソ野郎。氷菓以来の久々に心の底から呪い殺したくなるような主人公だった。死んじゃえ。

圧倒的罵倒の数々! 書いた自分でさえもひいてしまうような罵詈雑言! いったいどこからこれ程の怒りが湧いて出たのか!? びっくりびっくり。いや、面白いところもいっぱいあった。そもそもこんな長い話を、面白くなかったら読みきれるはずがない。
ハリウッド風娯楽作品にしたかったとあとがきにて書いてあるが、成功しているという他ない。この大味さがたまらん。でも舞台が日本はやめてほしかったな!

さらに最初のこぢんまりとした実験室での戦いなどからは、まさか神との戦いまで発展するとは考えもしなかった。あと、あまりにも突っ込みどころ満載の設定に紛れてDNAなどなど、細かい設定は本当によく考えられているようで、たくさん書かれていた。しかし残念なことに、興味がなかったのでほとんど読んでない。