基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

復活の地 3 /小川一水

ついに完結。おお、思ったよりキレイに終わった。最初気に入らない点は、やっぱり最後まで気に入らなかったけれども作品を楽しめないレベルまでは達していない。悪役にされてしまったサイテンと、グレイハンがこうしてみると少々悲しい。

グレイハンはおよそ考えつかないような馬鹿を重ねた挙句、最後の最後でいい人になって、死んでいった。グレイハンいい人化は思わず笑っちまうぜ。悪玉としても善玉としても定着できずに何とも宙ぶらりんのまま消えていったグレイハン。サイテンはサイテンで真剣に国の事を考えての行動だったとのたまう。が、最後は出来事を地の文で書かれただけで発言を一つも取り上げてもらえない哀れな男である。見せ場があるが中途半端になったグレイハンと、見せ場もないがいつのまにか大した敵じゃなくなっていたサイテン。どちらも可哀想。

1巻と2巻で書いた感想、かなりおかしな部分があるが放っておこう。セイオが民のためなら何でもする熱血漢とか書いたがその場のノリだけで全くその通りではない。人間を紹介する時に、書きやすいからつい書いてしまった。

ネリが車椅子だからこそできる事もあるのよ、と言って得意げだったがいったいなにができるんだろう。そりゃー平地だったら他の人より早く動けるし、視点が通常の人より低いということが何らかの利益をもたらすかもしれない。だが車椅子で救助活動されても邪魔なだけだろ・・・。正直な話・・・。ボランティアに行った人間の物資まで調達しなくてはいけなくなって余計に大変になったーなんてのは日本じゃ身近な話だし。車椅子ともなると移動するだけで大変だ。だからこそ自前でトイレでも何でも用意できて、サイクルを作ることができる自衛隊が救助にあたるのが何よりもいいのであって。

さて、どこから書いたものか。セイオとスミルの恋の行方はこれぐらいの書かれ方でよかった。サユカとソレンスも。誰か一人に集中して書くような物語ではない。復興に励む市民が、軍隊が、惑星に属する人間すべての協力が必要なのであって、誰か一人の英雄によって導かれる話ではないのだ。まあでも明らかに最後くっつくのがわかりきっている男女が毎回主人公なのはどうなのだろう。安心の小川一水! という楽しみ方もできる。だが予想を裏切られるようなことは、まったくないんだよなぁ。この最後もほとんど二巻を読み終わった時点で予測出来るものだし、驚天動地のラスト! にならない代わりに堅実な物語が読める。話の規模がでかくなれば、でかくなるほどこの堅実な物語性が生きてくるのじゃないかと思うのだが。今のところ一番規模のでかい話は導きの星かな? そっちも読んでみるか。

災害時どう対応していくかの描写はよく書きこまれていて良かったのだが、資料を消化しないでほとんどそのまま書いてしまったかのような印象を受ける。これはひょっとしたら資料が面白いんじゃねーの? と邪推しながら読んでいた。こうして考えてみるとひどい言いがかりだが思ってしまったものはどうしようもない。

イラストなんてあっても無くてもいいのだが、今まで背景真っ白が連続した後でいったいどんなイラストが描かれているのかと思いきや、挿絵がほとんどないというこの体たらく。いったいどうしてしまったというのか。

読み終わった時、大作ゲームをやり終えたような爽快感に包まれた。ゲームをやり終わった時のあの独特な爽快感を、その何分の1の時間で読める小説で味わえるのはなんだか得した気分である。