基本読書

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真庭語/西尾維新

真庭語 初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)

真庭語 初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)

刀語での彼らの設定をもはや何一つ覚えていない。
本編である刀語よる何百年も前、真庭忍軍が十二頭領制に、移行する時の物語である。刀語では真庭忍軍、あまりにも雑魚すぎてリーダー格である鳳凰以外全く記憶に残っていなかった。しかしこうしてみるとなかなかの顔ぶれ、キャラ立ちっぷりである。もちろんこれは一人一人丁寧に描写された結果であるともいえる。刀語では出た端からうわーぎゃーとやられていってしまったので口調やらなんやらで無理やりキャラ付された感丸出しであったのだが、今回に限っては彼らが主役であるため安心である。十二人いる頭領のうち、今回で4人。あと8人分の紹介もいずれやるのであろう。恐らくアニメ化にあわせて逐次戦力の追加投入をしていくはずである。戦力を小出しにするのは戦場においてやってはいけないことだとされているが、この場合はどうであろうか。アニメ化されると売れるからなぁ。

第一のエピソードの主役、真庭蝙蝠だが全く主体性が無いキャラクターである。目的が無いキャラクターは書くのが難しそうだなぁと思いながら読んでいたらいつの間にか終わっていた。主体性のないキャラクターというのは、なんだか自分を見ているようで、つらいものがある。イタタタタ・・・という。ミステリのような調子で進められていき、この世界の人間が平然とこりゃあ密室殺人だねぇと言っている場面がなんともシュールで笑う。キーポイント忍術として出てきた、竹筒を使わずに、土の中で潜み続ける恐るべし忍術だが、他人の血液を操ったり他人に乗り移ったり顔面を変えたりするわけのわからん忍者がいる中で竹筒を使わないで土の中にもぐるというのが、あまり凄く感じない。最終的に土の中を自由に動き回れる忍術を使うやつが出てくるが、術なのだろうかそれは。なんとも不思議な話である。

第二のエピソードの主役、真庭喰鮫。水を操る能力を持つ。その能力によって、敵の血液を自在に操って破裂させたりできる恐ろしい忍者。それは忍術じゃねぇ! 超能力や! 忍者ハットリ君を見て育った世代としてはなんとも言えないものがある。ぱぁん、ぱぁんと頭を破裂させる描写のほかに何一つ頭が破裂した描写がないだけに恐ろしいものがある。ぱぁんと音がした後に脳髄が飛び散った、なんて書かれていても嫌だが。

第三のエピソード、真庭蝶々。真庭拳法の使い手。珍しくまともなやつである。エピソードもなんともまっとうなものである。まぁそれだけに特に面白味もないのだが、みんなが忍術を使う中一人だけ拳法の使い手という展開が個人的に大好きなもので、4つのエピソードの中では一番好きである。上で書いたような展開なら大体なんだって好きである。登場人物が全員ニュータイプの中、ただの人間がいかに勝ち抜くか、とか周りがみんな超人の中凡人が無い知恵しぼっていかに戦うか、みたいな。なんか燃える。

第四のエピソード、真庭白鷺。特殊な発音の仕方をへんてこな漢字変換で読ませるという読んだことが無いやり方。特に読むのに困るということもなくふーんというぐらい。最終的に白鷺の忍術は名称のみしか教えられないが、名称がすべてを物語っているともいえる。忍法「逆鱗探し」まぁそのまんま相手の逆鱗を探すんだろうなーと想像はできるが、それにしたってサイコロの出目を予想したりすることはできないだろう。相手を故意に怒らせることができたら、そりゃあ戦闘は楽になるだろうがそれだけでは任務達成率10割、無敵となるには少々足りないのは明らかである。当然もっと他に何かあるはずなのだが、わからない。

こうしてみると初代真庭忍軍はやはりなんかすげぇ! と思わせるに足るヤツらなのである。だが最初に言ったように刀語になると恐ろしく呆気なくやられていくのだ。悲しい、悲しすぎる。