基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

カーニバル・イヴ 人類最大の事件/清涼院流水

カーニバル・イヴ―人類最大の事件 (講談社ノベルス)

カーニバル・イヴ―人類最大の事件 (講談社ノベルス)

 もう御大のためにカテゴリ大説を用意してしまった。カーニバル・イヴ 人類最大の事件。JDCvsビリオン・キラー(十億人を殺す者)の壮絶なる戦いが今、幕を開けたのである。一巻まるまる300ページを超える導入編が今ここに一冊との本として表れている。人類最大の事件を書こうというのだから当然のことである。長い、とか無意味だ、などと思ってはいけないのである。これから何が起こるのかわからないけれど、壮大なプロローグであることは間違いない。何か色々ここに書こうと思っていたことがあったのだが、最後まで読んで全部ぶっ飛んでしまった。大説を読み終わった時に感じる、ああ自分の頭バカになってしもうたあ・・・という絶望的な状況に今いる。ちょっと落ち着いてから書き始めるとしよう。

 さて、仕切り直しで。そういえば巻末についていたJDC入試問題つくもっちでは、あまり探偵に向いていなかったが探偵のタイプは天城漂馬であった。可もなく不可もなく、不良探偵である。それにしても壮大なプロローグだなあ。犯罪オリンピックの話のはずなのに、犯罪オリンピックってなんなんだろー、全然わかんないやーっていう状態で一冊まるまる書き切りやがった。内容はほとんどJDC探偵の恋愛やら悩みやらでやっぱり天下のJDCといっても悩んだりするんだなあという普通の感想を抱く。それにしても著者近影の文、大変なことになりました、物語世界では、どうやら、間もなく人類が滅びることになってしまいそうです・・・。ってそれやってるのあなたですから・・・!

 前回に引き続き特殊な推理方法を駆使する探偵が大量に登場する。総代もいっていたが、世代交代の波はすぐそこまで迫っているようだ。新しき登場したキャラクターと推理方法をちょっとまとめてみる。

雨恋淋誰?/頓智感知

常識的な思考を捨て、頓智を働かす

役間雀/スタント推理

自らの命を危険に晒し、極限状況で推理

クリスマス・水野/彷徨探知

目的地へと彷徨い歩きながら推理

星野多恵/水の理

思考の流れるままに自然体で推理する

由比賀独尊/ナルシスト推理

自己の才能に自惚れ、推理力を高める

鈴風鵜ノ丸/UNO推理

UNOに没頭し右脳を刺激、発想を得る

御戸村正/援助推理

なんとなく推理し、他人に助け舟を出す

 他にも嫉妬推理とかナンパ推理とかわけのわからん奴が色々いたが、もう面倒くさいし話にどうかかわってくるかも現時点じゃ判断不可能で重要かどうかわからんので無視である。とりあえずこれから重要になるであろう人物をピックアップしてみた。中でも注目なのは、雨恋淋誰?と由比賀独尊だろうか。雨恋は推理力自体はたいしたことがないのだが、巫女ロリという驚異的な容姿を有しておりそれだけでキリギリス太郎他雑魚な男性探偵を圧倒している。巫女ロリという容姿描写も最初に一回ちょろっと出てきただけで、あとには全く触れられていないのだが巫女ってのはどういう了見なのだろうか。そういえばちらっと西尾維新のJDCトリビュートにも巫女ロリのことが触れられていたな。彼女は大のゲーム好きで、パソコンでデジタル金魚を飼っているらしいのだがその金魚の名前がなんと驚くべきことに「義満」(よしみつ)という名前だった。これを読んだとき、本書全体で一・二を争う衝撃を受けた。(もう一つは言うまでもなく最後の場面である)いや、常識的に考えたら別に金魚の名前としては義満というはなくはないと思うのだけれども、デジタル金魚に名前をつけるというのもよくわからないけどなくもないような気がしないでもないのだけれども、何で衝撃をうけたのか自分でもなんでなのか全然わからないのだが、まずロリ巫女がゲーム大好きでパソコンで金魚を飼っているという設定にどんな意味があるのかわからなくて愕然として、さらにその金魚に名前がついているという滅茶苦茶どうでもいいことが書かれていることにさらに愕然として、さらにさらにその金魚の名前が意味のわからないことに義満というありそうでないような絶妙なところをついてきて正直言って何もかもどうでもいいのに何でそんな何を望んでいるのか、突っ込み待ちなのかボケなのかとにかく意図が何一つ読めなくてトリプル愕然としてもう何が何だかわからなくなって笑ってしまったのだ。理解できるだろうか、この感覚。自分には理解できない。

 それから十九を神だとしたらあいつは悪魔だ、と漂馬に言わしめた男、ナルシスト推理の使い手、独尊である。こいつはまだ出てきていないのだが、恐らく強烈な個性を放っているだろう事はナルシスト推理という推理方法とその説明だけで充分すぎるほどに理解できてしまう。もはや推理方法に突っ込むのはやめてしまった。何しろもう突っ込みきれないというか、この世界で間違っているのは普通の行為にかっこよく名前をつけている点だけであって、これから突っ込むとしたならばその大元に突っ込まなければいけないことに気がついたのである。末端、つまりUNO推理ってなんやねん! などと突っ込んでいたらいつまでたっても突っ込みは終わらない。特に援助推理な・・・。これは・・・なんなんだろうな・・・。なんとなく推理し、他人に助け舟を出すって・・・。わざわざそんなものに推理名を与えなくてもいいと思うんだけど・・・。でも凄い探偵が特殊能力を使っているのは間違いない事実のようである。たとえばメタ探偵九十九十九は、総代にあいつですらも、普通の推理なのだと言わせている。十九は普通の探偵が思い悩むことを特殊能力で省略しているに過ぎないのだそうだ。普通の推理とはいうが、過程を省略してしまったら、その過程こそが普通の推理の普通の部分なのであって、もはや普通ではない・・・。というか特殊能力とかいう単語が普通に出てくるところが面白い。寝ずに推理する犬神夜叉の推理方法、不眠閃考も能力名のようだ。確かに能力という概念はこの世界に存在しているようである。能力を持っているやつらが、かっこよく推理方法を名乗るのはいいのだが能力を持っていない奴らまで自分の推理方法を名乗るのはなんか納得いかんなー。しかも不眠閃考は究極進化すると不眠閃理になるらしいのだがこの世界で究極進化とか言われてもさっぱり意味がわからないのだよな。神通理気も進化したりするのだろうか。こいつらなんなんだろ、ポケモンの世界の人たちなのかな・・・。

 なんかまだ全然書き足りないというか、まだはじまってもいねえよ! ぐらいに書く気まんまんなのだけれども正直どうでもいいことを書きすぎだというか自分でも驚いている。だがどうでもいい記述はまだまだ続くのである。もう一度書くけれど、本書の内容はほとんど探偵たちが今どんなことをしていて、犯罪オリンピックという普通は結びつかない二つの単語の予告状ともいえないような予告状に一抹の不安を抱きながらすごしている状況が長々と書かれている。正直な話、ここいらないんじゃないかなあという場所のオンパレード。まあA探偵のことばかり書かれていたので、視点が一応彼らに戻ってきたのは良かった。何しろ十九とかデータがそろうまで真相を悟れないのだから、彼が出てきても正直何もすることはできないのである。

 大説だなぁ・・・と実感させられる部分があった。

 今日午前中予定されていた京都府警との合同捜査の内容は、昨日、城之介と話し合っていた。クリスマスから見ても、大した事件ではない。ごくありふれた、推理小説で描かれる程度の凶悪事件だ。

 推理小説で描かれる程度の凶悪事件はこの世界ではありふれているらしい・・・。しかも大したことない・・・。いやそりゃ一年に1200人殺すと宣言するような相手と闘っているJDCからしてみればそうかもしれないけど・・・・。これは大説である。それからあらたに出てきたこのクリスマス・水野だがまさかの本名だったことが明らかにされる。つまりピラミッド水野も本名だったということだ。いったいどういう神経をしているんだろうかこの両親は。しかもクリスマス水野の妹の名前はJDCが創立した時と同じ日に生まれたからという理由でJDC水野である。キガ・・・クルットル・・・・。しかしこの世界の住人は、出来るだけ子供の名前は面白くしてやろうと競い合っているようである。それなら納得。そろそろ書きつかれてきた・・・。ああ、あと驚いたところの一つとして、作中に出てきた猫の名前が清涼院流水の本名と同じだったこととか。いったい何を思って猫に自分の名前つけてるんだろう。何かこの人そのうち自分の名前を改名したりしそうで怖いな・・・。清涼院流水という名前も普通に出てくるし、この世界に清涼院流水はいったいどれだけちりばめられているのだろうか。

 さて、最後の場面についてでも書くか。

 その時「犯罪オリンピック」は開幕した。
 一九九六年八月十日午後一時──。
 JDC本部ビル・・・・爆発。

 どひぇえええ。西尾維新のJDCトリビュートでJDC本部ビルをニトロで爆破してやろうというヤツらが出てきたが、本人の作品の中ですでに爆破されてるじゃねーか。こりゃあダブルダウンの評価もさらに下がるわ・・・。爆破されたことがないからこそ、爆破するということのインパクトもあったが爆破されてるもんなあ・・・。それにしても、爆破ってのがすごいよな。何の前触れもなく爆破して見せるんだから。普通もうちょっとドラマとか持たせられそうなものだけど突然爆破させてみせるこの先制攻撃。圧倒的ヒキ。天城君はどうなってしまうのか。せっかくつくもっちで天城漂馬という判定をもらったのにもらったとたんに死んでしまったらなんか悲しい・・・