- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12
- メディア: 文庫
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ここで出てくる生命保険会社の話は、作者本人が保険会社に勤めていた事もあってなかなかのリアリティ。根っこの部分の生命保険の話がしっかりしていたので、ただのサイコホラーで終わらせずに、より面白くなっていたと思う。潰し屋とか本当にいるのだろうか。この小説の中では三善さんが一番好きだったのだがあっさりと殺されてしまっていて目が点になった。おいおい、お前仮にもプロじゃないのかい、あれだけスゴそうだったのに。さすがに相手がそこまでしてくるとは思わなかったんかな。ついでに話題をキャラクタの話に持って行くと、貴志佑介の書く主人公が今のところクリムゾンの迷宮とこの本書、二人とも好きになれない。なぜなら相当馬鹿だからだ。今回でいえば、わけのわからない精神疾患を抱えていると思われる相手に明らかに自分だとわかる手紙を送りつけたり、わざわざ金石が主人公に身が危険だから逃げろとまで言っていて、さらに主人公自身相手が危険な存在で、彼女の存在まで知られていると認識しているにも関わらず警告を彼女に促すことさえしない。最終的に彼女を襲わせるために作者の意図したやったことだろうが、普通真っ先に警告するだろ・・・・。危機管理能力の欠如だな。
それにしてもクセになる怖さだった。何が怖いのかうまく説明できないのだが、心理学的なアプローチだったり実際危険な存在が目の前にいるのに周りは対処してくれない怖さだったり、しかもそんな野放しになっている見えている危険が自分の家の中をごそごそやってたり包丁もっておっかけてきたらそりゃこええですよ。もう何が何であろうとこええですよ、そりゃ卑怯ってもんですよ。というわけですげえこわい作品でしたよ。ちなみにこのおばはんのビジュアルが漫☆画太郎のおばあさんで固定されてしまって怖さ三倍だった。