
- 作者: 清涼院流水
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2000/04
- メディア: 文庫
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前半部はキャラ紹介やらなんやらの、本当の導入部でそこには幸せに暮らす六人の家族が書かれている。こんなに仲の良い家族を読むことも見ることもないので何だか読んでてほんわかした気分になった。さて、問題は後半部である。人間の価値を測る心理テスト、TOPRUN TESTを受けることになる。がしかしこれがまた御大のダメなところというか、人気のでない理由というか読者参加型企画はもういいよと言いたいところである。33問の心理テストを主人公が受けるというだけならまだしも、全部の質問を書いて、しかもそれに一々主人公が自分の感想やら考えをつけ加えていく。それが33回繰り返されるので恐らく大多数の読者はこの時点でこの本を読み始めたことを後悔したと思う。また質問が全部書いてあるので読者も自分の価値をはかることができる。いやでもこれはこれで心理戦の一環なのだから、批難するのはおかしいな。
この一つ一つの質問に主人公が悩んで答えを出していくという形式が御大は好きなのかなぁ? 秘密室ボンもなぞなぞを主人公が延々と十何問も解いていく話だったし、秘密屋も一つ一つの都市伝説に説明をつけていくし、コズミックも前半部で延々と十九人を一人ずつ殺していく。別にその形式は悪くないのだけれども、本当に必要があったのか? という疑問が読み終わった時に常に付きまとう。今回でいえば33問全部に主人公が悩んで回答を出すのに意味はあったのだろうかと。いや多分無いんだろうが。真の流水ファンならば意味のないところにこそ意味を求めなければならない! 死中に活を求める。なにはともあれ二話に期待である。