- 作者: 小林泰三
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2001/06
- メディア: 文庫
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誰が得するんだよこの書評にはこう書いてある。
(0)探偵は実は普通の探偵である。
(1)探偵は実は幽霊である。
(2)探偵は実は旧支配者である。
(3)探偵は実は存在しない。
(4)探偵は実は助手の別人格である。
(5)探偵は実は助手のスタンドである。
この中のどれからしい。自分は大抵こうやって選択肢が幾つも出てきた時は大抵一番あり得なさそうなのを自説に据える。要するにひねくれているだけなのだが。ここでいえば一番あり得なさそうなのは、(0)の探偵は実は普通の探偵である、だろうか。一見これを支持するのは無謀のように思える。なんだかありとあらゆる現象が(0)説を否定しているような気がする。探偵は密室に入れなくなってしまうし、誰も探偵に話しを聞いていないようなのはまあそういうこともあるよね、ってだけでなんとかなるかもしれないがやはりおかしい。(0)を支持したいのは山々だがちょっと自分には荷が重すぎる。他の可能性も検討していきたいところであるが面倒臭いのでやめる。冒頭で探偵は、消去法に頼るのは危険だと言い切っている。なぜなら選択肢がある中から消去法で推理していくとなると、選択肢にない可能性を排除してしまう危険性があるからだ、と。その言葉にのっとるのならば、この0〜5までの選択肢に縛られているようではまだまだということであろう。つまり本当の答えはこの選択肢の外にあるに違いない。そこで自分が取った答えは、探偵はこの作品世界の神である小林泰三だ。なぜなら最後に独白で四ツ谷は先生についていればきっと何もかもうまくいく、そういうことになっているのだといっている。そんなことができるのは運命をしっているものでなくてはならない、つまり小林泰三である。ひねくれものここに極まれり。まあこれは冗談としても、普通に考えたら5のスタンドなんだよなあ。これを素直に取る気がしないのは、あからさますぎるってところだろうか。矢が刺さるとかなぁ。矢が決定的すぎる。仮にスタンドじゃない選択肢を取った場合矢の説明がまったくつかなくなってしまうし。しかしまあ、この五つの条件があとがきやらで本編の中に含まれているならともかく、含まれていないのでお茶目心としてスタンドという可能性が高いけど、それだとなんか寂しいなあというのも・・。