- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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素晴らしい構成力だけに、キャラクターやら書かれている内容やらが、個人的に合わなかったのは痛い。子どもの残虐な面を強調して書いたからといって子供が書けているってことにはならないだろう。そもそもどいつもこいつもトラウマ持ちで、これこれこういうことがあったから彼はこうしたんですみたいな説明をされるとやっぱりどうでもよくなってしまうんだよな。虐待されたことのあるひとが将来子どもを虐待するとは限らないように、トラウマがあるからそういう犯罪をおかしたっていうのはふーんとしか思えない。あと先生な。ミスリーディングのためだけにあんな痛いキャラ設定にされてしまった先生が少々悲しい。まったく本の内容に関係ないのだけれども、子供は社会のルールを身につけていないが故に残酷だったり純粋だったりするっていうのはフロイト先生やら誰もかれもいっていることで、理解できる。しかし理解できないのは何で子どもはうんちネタがあんなに好きなんだろうっていうことだ。フロイト先生的にいうならば、子供が友達に向かって死ね! とか気軽に言えてしまうのは大人は死を無意識的に遠ざけたがっていたり、偽善を成り立たせるために相手に死ねというのを自分から自粛するようになる。じゃあ大人はみんなうんちネタで盛り上がりたいけれども、偽善を成り立たせるためにうんちネタを自粛しているのだろうか。そもそも死とは別で、うんちは恥ずかしいものなのだから大人になったらそういうことは言わないという答えもある。だがうんちが恥ずかしいことだなんていう常識がどこから生まれてきたのかがまたわからない。難しい問題である。「何故子どもはウンチネタが好きなのか」大人もうんちネタが好きなのは多分間違いないはず。だって大人だってアラレちゃんがうんちツンツンしているのを読んだら面白いもん、たぶん。
たぶんここまで読んでいる人はいないだろうから本書のネタバレをしていくけど、最終的にほとんど全員生まれ変わりでしたーっていうオチはどうなんだ。ミカが生まれ変わりでしたーってのはおおっ!? と思ったけど、おばあさんも小父さんも生まれ変わりでしたーってなった時はそれに何の意味があるの? と思ったし(意味はあったけど)最後に爺さんが生まれ変わってきた時は本当に心底だからなんなんだと思った。家が燃えて気が狂ったように笑いだすお爺さんとか本当にもうなんなんだこれと絶望して、両親にむかって僕嫌いじゃなかったよとかいうところは心底うざかった。あまりにもウソっぽくて。死ねばよかったのに、と思いつつも、フロイト先生に言わせると(またか)小さい頃動物虐待をしていたような人は大人になってから動物愛護家になったり人道主義者になることが多いっていってたからミチオ君の将来に期待しよう。なんだかんだいって色々楽しませて貰った。ミチオ君とか西尾維新作品に出てきそうな変態だし。