基本読書

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スウェーデン館の謎/有栖川有栖

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

スウェーデン館の謎 (講談社文庫)

 どっからどう読んでも正統派推理小説家だなあ。どこまでも王道を突っ走っているのでこの小説を読んでいると、解説の宮部みゆきのように探偵とは! とか推理小説とは何か! とかついつい考えたくなってしまう力がある。というか解説で思っていたことがほとんど全部書いてあったので書く事も特になくなってしまった。ここに出てくる探偵役の火村さんの探偵たる要素。全体に溢れる優しさとか。事件といい推理といい、最後になかなか犯人の名前を言わない探偵だったりビシリと言い当てられるとはいそうです私がやりましたと全部白状してしまう犯人だったりベタだなぁーというよりもここまでやられると安心すら感じてしまう。

 そう、思いだしたのは宮部みゆき同様金田一耕助だった。それ程金田一耕助シリーズの本を読んでいるわけではないので似ているところも違っているところも詳しくあげることはできないし、そもそもそれは宮部みゆきがすでにやっている。キャラクターの立ち方が凄くいいのだが、固定メンバーにヒロイン的ポジションの人間がいないのはどういうことなのだろうか。といっても国名シリーズを最初から読んでいないので実はいるのかもしれないのだが、毎回毎回ヒロインポジションは使い捨てにされていくのかもしれぬ。カブトボーグみたいに。ホームズとワトソンだけじゃあ画面がパっとしないぜえ。

 トリックについてでも。今回のトリックはまったく見破れなかったし、そもそも見破れそうになかった。単純な方が奥が深くてわかりづらい。まさに作中で出てきた水汲みの問題そのままだ。真面目にロープはったり木をゆすったりしている火村先生には笑ったがな。ンなアホなと思ってしまうトリックなのも金田一っぽい。