個人的には大満足。何が面白いって、映像的に面白い。ストーリー的にはボンドが敵からカーチェイスして逃げましたっていうそれだけのことを物凄い派手に、何回も危機に陥りながら、運任せのアクロバットをやってくぐりぬけて、それが終わったと思ったら裏切った仲間を追いかけてまるでサーカスか何かのように追いかける! しかも長々と! 冒頭からこのようにルパン三世ばりのボンド逃亡場面から始まってテンションがフル回転に。そのあともボンドがやることといったら、騒ぎを起こす、殺す(ドガーン!)→逃げる→ストーリーがちょっと進行する→爆発する→ちょっと進行する→爆発する→ボンドガールとにゃんにゃんする→爆発する爆発する爆発する殺す殺す殺す殺す→ボンドあんた殺し過ぎ!→反省しない→殺す殺す殺す殺す→最後にちょっと改心して人殺しに飽きたかと思いきや残酷な殺し方で殺す→おしまい。どんだけ人を殺すのが好きなんだよ、っていうぐらい血も涙もなく殺しまくって、正直ノーカントリー異常のシリアルキラーだな・・・と戦慄しながら見ていたのだが最高に面白かった。こりゃー司令官のおばはんも怒りたくなるよなー。手がかりをつかめそうな敵をバンバン銃殺されたらほんとどうしようもないよ。
冒頭から凄く思っていたんだがボンドって本当にプロとは言い難いやり方で任務を達成させるよなー。最初のカーチェイスだってプロだったらもっとスマートにやるだろ普通なら・・・。まるでメタルギアソリッドで、潜入ミッションにも関わらず難易度EASYにしてアラートびゅんびゅん鳴らしながら敵をBANGBANG銃殺していくかのごとく。まあ誰もスニーキングミッションでダンボールかぶったり銅像にばけたりして隠れるボンドさんなんか見たくないよな。しかもほとんどハンドガン一丁だし。そして顔に傷を負っていたかと思ったら、ホテルに入って着替えをしたら傷がなくなってる…!? ボンドは顔が命だもんな。そりゃ修復するよな。あまりにもボンドさんが死神すぎて、ハンドガンでめちゃつえーから観ていた自分まで強くなったような気がして、すぐにタイムクライシス4をゲーセンにやりにいったけど10分持たなかった。やっぱボンドさんにはかなわないや・・・。それにしてもダニエルさんかっこいいなー。最後ぼろっぼろになったダニエルさんが一番かっこよかったよ。
場面別に言えば、マーティス(だっけ?)さんが車のトランクから出てきた時に盾にしたのはおいおい・・・まあしょうがないか・・・って感じだったがでっかいゴミ箱に入れたのはさすがにどーかと思うな。彼はそんなこと気にしない、みたいなこと言ってたけど、見ているわたくしが気にします。のんきに人生の余暇を過ごしていたのに最期はゴミ箱か…。まあ行く時に割と死を覚悟してたっぽいから仕方ない。カーチェイスから始まって、陸海空と全部制覇したボンドさんだがなんといっても見どころは「空」の部分だろう。おんぼろ飛行機で敵とやりあう様はスターウォーズのカーレースを想像させる。そんでもって、いざ墜落するっていう時に女の子の方にしかパラシュート渡さないからボンドどうすんの? 死ぬの? とか思ってたら、「あいあいパラシュート」とは恐れ入ったぜ・・・。その発想はなかった。爆発していればなんでも楽しめる自分には最高の映画だったが、ストーリーにインパクトが欲しかったなあという気もする。悪役が凄くしょぼかったし・・・。
ボンドさんは何故ハンドガンしか使わないのか
ボンドさんは何故かハンドガンしか使わない。それはもう徹底的に。ついでにいうならば、警戒もあんまりしない。敵が潜んでる所に突っ込む時も、普通のCIAがやるような、世間一般の人が思うようなあの警戒態勢で家の中に入っていくことはしない。普通にドアを開けて、普通に入っていく。何故一応プロであるはずのボンドさんがこんなに無神経で、しかも弘法筆を選ばずの弘法でさえ誰よりも筆を選んだというこの世界においてハンドガン一丁で並みいる雑魚キャラクターをばったばったとたおしていくのだろうか。
それすなわち縛りプレイである。あまりにも強すぎて、もはや普通のSMGを使ったり、警戒をしたりするのが面白くなくなってしまった、もしくはする必要がなくなってしまったのである。恐らくこの時点でハンドガンしか使わないのだから、あと何作品かあとのジェームズ・ボンドは巨大テロ組織に徒手空拳で挑みにかかるに違いないのである。何故手ごたえのあるプレイをしなければならないかというと、たぶんボンドさんはそういって頑張った方が女の子にもてることを知っているのであろう。先週ぐらいの月光条例で、ヒロインであると思われる女の子がお父さんから言われたとしてこんなことを言っていた。「汗をかかない男に惚れるんじゃねえ」つまりボンドさんはそれを体現しているのである。汗をかくために、わざと自分を危険な状態に陥れ、わざと敵に発見され、ハンドガン一丁で敵と戦うのである。そう、すべては自分をかっこよく見せるために、女の子とにゃんにゃんするために。