基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

レタス・フライ/森博嗣

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

レタス・フライ Lettuce Fry (講談社文庫)

 森博嗣で自分が今現在持っている本は、『スカイ・クロラ』シリーズと、『四季』と短編集、それからいくつかのエッセイだけである。うちには本を置くスペースがそんなに多くないので、常に百冊程度を目安に微調整しているが上記のものは恐らくまだしばらくは家に残っているだろう。気まぐれによって消えていくことは充分ありえるけれど。一度指輪物語を全部売ってしまった時は、地味に後悔した。つまり何が言いたいかというと、森博嗣の短編はかなり好きだということがいいたいんだった。なかなか遠回りだったかもしれない。遠回りしたついでに書いておくと、最近嗜好が短編よりになってきた。ついでに思考も。長編についていくのが面倒臭くなったともいえる。長々と続いて面白いよりも短くて面白い方が凄い、という考え方になったのかもしれない。過去の自分が選んだTOP10を見ると、どれもが大長編でびっくりする。これからは短編集を読むようにしよう。その方が、色々楽しめそうだ。

 内容解説でも。十篇の短編が入っていると聞いていたので、最初の短編が100ページもあって驚いた。順当にいくなら、1000ページあってしかるべきはずだが300ページほどしかない。よってほとんどの短編はショートショートである。どれもこれも雰囲気が落ち着いていて、コーヒーでも飲みながら読むのに最高だった。一個とってもつまんないなあと思ったショートショートがあったけれど、不満なのはそれぐらい。だいたいショートショートなので、不満があってもすぐに消えてしまう。その点ショートショートはとっても便利だなあ。面白かったら大満足だしつまらなくても時間もほとんど無駄にならない。それからいつものように一篇だけ西之園萌絵が出てくる短編が挿入されている。正直キャラクターが喋ってるだけで楽しめるので特に感想はない。お気に入りはまず『ラジオの似合う夜』よしもとばななのキッチンを彷彿とさせる何かがどうしようもなく欠けているのに、それが何なのかがわからない不安感。『砂の街』砂が流れるように、ただ状況に翻弄される。気持ちが良い短編。『ライ麦畑で増幅して』凄い人たち。