基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

ONE OUTS(全19巻)

ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックス)

ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックス)

 WBCで野球が盛り上がっている時に思った・・・。そうだ! 野球漫画を読もうと!(何故!?)そして最近アニメ化したばかりのONE OUTSを読み始める。ダイヤのエースとか、メジャーとかは普通にサンデーマガジンで読んでいるのでもうお腹いっぱいなのである。ついでにいえば眼をキラキラさせて甲子園を目指したり野球ってすばらしー! 的な内容のもそろそろ飽きてきたのでちょうどよかったといえる。今自分を熱くさせる連載中の野球漫画といえば花形だが、あれも野球がメインというよりも演出を見たくて読んでいるようなものだ。いきなりバットから竜巻が巻きおこったりするのは花形だけ! 

まあそれはそうと、ONE OUTSである。あらすじは賭け野球をしていた渡久地を、弱小球団のリカオンズの主砲が呼び寄せて…とそこまでなら普通に弱小球団を強くしていきみんなが頑張ってみんな偉いみたいな普通の王道野球漫画になりそうだ。しかし渡久地がひねくれ者のせいでえらいこっちゃになる。オーナーは金のためなら何でもする典型的な外道だしリカオンズメンバーは勝つ気の薄い雑魚ばかり! 渡久地さんの愛の鞭がさえわたって雑魚はそこそこのザコに進化し、オーナーはまだいけるまだいけると渡久地に罠を張りまくる。このオーナーと渡久地の戦いが最初は試合に緊迫感をもたらせて凄い良い。さかんに野球用語の解説があったり、心理的要素もたくさんあるのでその解説もあったりと文字が多いがその分わかりやすい。緊張感は野球漫画というよりもカイジなどのギャンブル漫画のそれで、突然渡久地がククク・・・! 罠にはまりおったわ・・・! とか言いだしても違和感無いレベル。作者がいうには主人公も悪党という話だが、敵に対して真剣に向かっていくだけで悪党という印象は受けない。あまりに強すぎて絶対的な信頼感を置けるキャラクターである。アカギみたいな。

序盤に出てきた全員反則野球は正直全体を通して一番面白い場所だった。話の流れとしてはオーナーが罠を張り、勝ち誇る→敵がなんかする→渡久地大ピンチかと思えば余裕でそれを逆手にとって大逆転勝利! なので正直最後の方はダレまくっていた。なんかもうオーナーがなにしたって負けるのはわかってるし、渡久地が負けねーのはわかってるし、しかも策なんてそんなにぽんぽん出てくるわけじゃないからどんどんしょぼくなっていく。渡久地に対する罠として、渡久地にデッドボールを当てる! とか二回もやってるんだよな…。一回目ダメだったのに何で二回目はそんなに自信満々なの? 特に最悪だったのが、二軍からヘボ選手を三人引き抜くところ。渡久地は三人の才能を見抜いていて、三人がダメだったら大金を払ってやるぜ〜!とオーナーに吹かすとふははあのヘボが出来るわけないわ! といつものように了承してしまう。ヘボ状態から才能が開花するのはいいんだが、覚醒方法が昔の恩師が応援にきてくれてよっしゃーやる気が出たぜおりゃー! 130kmの球しか投げられなかったのが164kmの球が投げられるようになりましたってなんじゃそりゃ。恩師に褒められたぐらいでトラウマが簡単に治るんだったら苦労しないわ・・・。野球でいかに卑怯に勝つか、が見たいだけなのでこんな恩師がきてパワーアップ! とか児島の過去編みたいに病気で死にかけのあいつみたいに…みたいなドラマが本当に浮いてると思う。全体を通しての不満点があるとすればそこだけである。

この三人編は、面白さの肝として見ていた渡久地の策が、三人の才能を見抜く事と理解不能なトラウマ解消法を用意することだけだったのであまり楽しめず。しかしここが終わってからようやくオーナーが消えて、更なる敵が現れる。さすがに敵が変わっただけでやることが変わらないのじゃマンネリ化が止まらないので敵の描写はあまりない。ここから純粋に渡久地率いるリカオンズがいかにして強豪をおしのけて優勝するのかに専念することができる。新たな敵も時々思い出したように策を打ってくるがあまり大したことない。しかし最後の方、渡久地がついに攻略されてしまうところが実によかった。最後はあまりにも予想通りといってしまえばそれまでだが、これ以外ないな、というようなしっくりとした終わり方だった。あっぱれ。