基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

「これだけは、村上さんに言っておこう」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける330の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?

 とてつもなく、くだらない質問もあれば中にはこれはと思うような質問もある。まあ330も質問があればそうなるのだろう。どの質問にも村上春樹があくまで誠実に答えているのが印象的であった。質問が多くなれば多くなるほど、それがどんなにくだらなくても村上春樹の輪郭が形づくられていくようで読んでいて面白かった。イメージが大きく、とまではいわないけれど角度でいうならば30度ぐらいは変わった。質問する方もたいしたことを質問しているわけではないので、そっちは読み飛ばして村上春樹がいうところを読むだけでも充分に内容が理解できる。学校生活がことごとく時間の無駄だった、自分の現在にまったく役に立っていない、と言い切るところとか感動を覚えた。普通何年も学校に通ってたら、たまには学校に通っててよかった〜と思うことだってあったはずなのに。普通ほとんど無駄だったとしても、ちょっとしたいい事が頭にあるからそんなにキッパリと無駄だった、なんて切り捨てられないと思うんだけどな。何はともあれ、ここからは自分がメモっておきたいと思った質問をメモっていく。かなり改変したりするのでそのまま引用というわけではない。
【質問:自分自身の文章を身につけること】
【回答:とても難しい。しっかりと生きてたくさん本を読んで文章を書く訓練をせっせと続けて、それでもまだ足りない場合が多い。しかし自分自身の文章などなくても小説は書ける。村上春樹の考えるいい文章とは「ほかの誰とも違うけれど、誰にでもよくわかる」文章である】

【質問:小説は感覚で読むべきか?】
【回答:小説というのはやはり理屈じゃなくて、感覚で読むべきものだと思う。「これは一体何を意味するのか?」なんてむずかしいことは批評家にまかせて、素直に「いいじゃん」で行っちゃえれば、それが一番幸福なことだし、それが小説の本来的な価値だと思うのです】
派生のようなもので、ライ麦畑の読み方についても言及していた。意味だの象徴だのは考えずに、そんなものは学校でしか役に立たない、本なんてのは楽しく読めて心に残ればそれでいいんだと。ホールデン・コールフィールド君の言いたいのも実はそういうことらしいのだ。

【質問:自分自身の価値観が見いだせない、人生が暗い】
【回答:「生きる目的は固定された何かの中にあるのではなく、対象にあわせて偏移していく自己のスタイルの落差の中にある」生きることの本当の意味は「何をなしとげられるか」というよりも、その「何か」に向かう自分の「身の動き」のパターンの中にあるのではないかということです。あなたは自分自身の価値観を見いだせないといいますが、もしそうだとしたらどれだけ場所を変えても結局どこにも見つけ出せないんじゃないかという気がします。その場所にとどまって、これは捨てたもんじゃないなというものを見つけ出せればいいのではないでしょうか】

【質問:何故春樹作品の登場人物は避妊しないの?】
【回答:映画のセックス・シーンなんかで、そのたびに「ちょっと待ってね。今コンドームつけるから」なんてやっていると、観客はやはり引いちゃうんじゃないでしょうか。】
 なるほど、その考え方はなかった。

【質問:カラマーゾフを日本で実写ドラマ化したらこんなキャストがいいのではないか。
 ドミートリイ/柳葉敏郎、イワン/福山雅治、アリョーシャ/高嶋政伸、フョードル/タモリ、スメルジャコフ/松本人志、カテリーナ/松嶋菜々子、グルーシェニカ/飯島直子
【回答:なかなか雰囲気がでてるかも】
フョードルタモリは考えたこともなかったしスメルジャコフ松本人志ってのもわけがわからんのだが、こんなのがあったら凄い見てみたいものだな。ドミートリイはもっといい役がいるだろうという気がする。イワン福山雅治・・・・? カオスなことになりそうである。今また二巻まで読んだカラマーゾフの兄弟を再開したので、読み終わったら真剣にキャスティングしてみようと思う。でも日本で作るなら絶対フョードルは高田順次だな。

基本的に村上春樹のコメントの流れというか、ルールは「現状で出来る限り好きなことやればええやん」である。全く同意。