- 作者: 鍛冶俊樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/02
- メディア: 新書
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とある。まるで子供に話しかけるような感じである。常識というタイトルとも合わせて、正直読む気がかなり失せていた。しかしせっかくなので手を伸ばしてみる。
余談だが、自分は中学生の時に軍オタを目指していた時期がある。何故かオタクの中でも、武器や兵器について論じている彼らがとても格好よく思えたからだ。少なくともアニメで〜〜きゅん萌え〜〜★★ などと言っている方々よりは、各国の軍事状況に通じ、武器に精通し、楽しそうに歓談している様はとても格好よく見えた。そんなわけでどんどんオタク化していた自分は、どうせなるならアニオタより軍オタだな…と軍オタへの道を歩き始めたのだ。まずは人殺しを覚えようと、手初めに四十八の殺人術(タイトル忘れた)のような見るからに危ない本を図書館から借りてきて、中学校に持っていき、俺は人を殺せる! とアピールをしていた。今考えると悶絶死したくなるような暴挙だが、当時は軍オタ=格好いいものという認識を持っていたのでいたしかたなかった。いや、殺人術と軍オタはほとんど関係がないような気がするのだが当時は関連していた。また家で読んでいる所を両親に発見され、真剣に心配されたのもいい思い出である。
とにかく四十八の殺人術を読破し、次は銃の解説書でも読んでAKがかっこいいとかそういう議論に加わろうと思った。しかしここで最大の難問がふりかかってくる。銃の解説書なんて読んでもなんにも面白くない。そもそも全部一緒に見える。どの銃も違いがよくわからない。名前がロシア人より複雑。F-15とか16とか、意味不明。AK-47? 48はどこいったんだよ? などなど。根本的に興味が持てないことに気が付いてしまった。ついでに言えば当時、友人はあの車がかっこいいとかあれを将来買うとかいって盛り上がっていたが、車も全部同じに見えたので議論に加われなかった。今もほとんど認識がかわっていない。何はともあれ、興味がもてないので軍オタになるのは諦めた(よかった・・・!)。しかし時々捨てきれない夢(軍オタ)を思い出しては軍事関係の本を読んでいたので、それなりに知識には自信があるつもりだった。
さて、ここまで全部前置きである。長い前置きだなあ。そう、知識には自信があった。だから常識? ハァン? 俺様にいったい何を教えようってんだよ? どうせほとんど知ってることばっかりだろうが? 適当に流し読みしよっと。と読み始めたのである。だが現実には何一つ知らなかった! 戦争について何にも知らなかった! というか、中身はかなりハードな内容だった!
第一章、国防の常識にて、地政学とは何か? というものが語られる。簡単に説明するならば土地の価値である。難しくいうならば地理的な要因が国際的に与える影響を測る学問である。9・11事件が起こった当時、日本が対応にまごついている間に英仏ロは事件数時間後にテレビに登場し、米国に対する協力を約束した。9月15日にブッシュ大統領はビンラディンを名指しして報復をせんげんするが、その翌日には英国は特殊部隊をアフガニスタンに潜入させている。これは米軍特殊部隊が潜入するより1週間以上も早い。英国だけでなく、仏、ロの両国も即座に行動を起こした。
それは何故かというと、アフガニスタンの地政学的価値を求めていたのである。アフガニスタンはアジアの東西南北を結び交差点の役割を果たしていて、ここさえ押さえればインド、中国、中近東、ロシアに自由に抜けられる。英国、ロシア、フランスともどもこの要所であるアフガニスタンを手に入れるために先を争って派兵したのである。
などなど、こういった話が延々と続く。自分は何も知らなかったんだなーと思い知らされた。もう少し常識として勉強しておいた方がいいかもしれない。