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レッドクリフ PartII −未来への最終決戦− 感想

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Part1同様、戦闘以外の部分は非常に退屈であった。特にこのPart2だと、前半二時間近くが、赤壁へのおぜん立てなので戦闘だけを心待ちにして見に行った自分としては、非常につらい、長い、前半戦となった。その反面、戦闘個所は素晴らしいものとなっている。退屈な、戦闘前の描写もこれがあるからこそ許せるというものだ。他にも細かい点で良かったといえば、鎧やらの各部位に専門家がついていることで、かなり細かいところまで『三国志』にこだわっていることがうかがわれる(映画的な演出のため犠牲にされているところは多々あるが)。

多対多が真面目にとられていて、そっちがうまく機能していると関羽とか張飛やらの超人的能力のアピールがちゃちくならねーかなあ…と途中心配になったが、割と杞憂であった。攻城戦は、普通は攻める側が何倍もの兵力を持っていないといけないがそこを趙雲甘興やらの固有ユニットが実力を発揮していて強さがわかりやすい。ただ、どうしても気になったのは盛り上げの下手さ。下手さというよりも自分が妙なところにばっかり気にしてしまって楽しめなかったのが正直なところだ。いや、本当に楽しかったんだけど、映画だから仕方ないんだけど、どうしても気になってしまう。本当に、どうしようもない。以下愚痴ばかり。

1.展開の盛り上げ方が…

 当然、レッドクリフなのだから盛り上がる最大の部分は、風が変わるその瞬間である。そこに至るまでに、戦意の高揚、本当に風が変わるのかどうかわからない中での緊張感、ぶるぶるふるえながら待っている。そんな中で、ついに風が吹く! きた、これで勝つる! いまだ、いまだ、あの天下無敵、八十万の大軍を持っている曹操に、一泡吹かせてやる・・・! 普通に考えたらこうなる。レッドクリフPart2でも、風が変わるその瞬間までに、さまざまなやり方で戦意を盛り上げていく。

 例えば曹操軍の戦意の盛り上げ方。出撃をする直前、曹操軍では疫病がはやっていた。そんな中、曹操は疫病で倒れた部下の元に向かい、叱咤激励をする。部下は感動して、病気の身体をおしてまで、戦場で向かうみなの元へ駆けつけた・・・! ってお前ら疫病持ちなんだからこっちくんじゃねーよ! お前らはおとなしく隔離されておけよ! ふざけんな! 

 次に、周瑜軍の盛り上げ方。孫権の妹が、兵のみんなに団子を作って、振る舞う。みんなに3つ配られる中、甘興やら他の忠臣たち、そして妹が、周瑜の皿に団子を一つずつ分けていく。これも実際は感動的な場面だ。しかしわしには、この場面で周瑜が微妙な表情をしているのをみて(恐らく本当は感動でゆがんでいたんだろう)

 周瑜「(おれ…こんなに団子くえねーんだけど…)」
 と物語っているようにしか見えない! なにしろ周瑜の皿には団子がてんこもり! あんなに喰ったら戦場でお腹痛くなること必至! よってこれも感動できず。

 他にも、Part1では孫権が、曹操と戦う覚悟を決める場面。降伏を叫ぶ部下たちにたいして、文机を攻撃して、お前らもこうなりたくなかったら曹操とたたかぇい! と叫びところだ。しかし実際に孫権が切り取ったのは文机のはじっこだけ。ちょびっと。迫力が! 迫力にかけるよ! もっとこう

孫権「キェェェェェェーィィ!!!」
孫権は奇特な叫び声をあげて飛びあがった。
そして、文机に対して剣を一閃させる。
あとには真っ二つになった文机だけが残されていた。
孫権「お前らもこうなりたくなかったら曹操とタタカェェェェーイ!」

ぐらいやってほしかったよ! いやっていうかこれじゃただの変な人だよ! こんな人にはだれもついていかないよ! やっぱり理想としては北方謙三孫権なのだが…。

「会議の決定を伝える。われらは、これより曹操と開戦する。それが、唯一の私の道だ。降伏は、死ぬことである。命があってもなお、男は死するという時がある。誇りを、捨てた時だ」
 孫権は、剣を振りあげ、渾身の力で振り降ろした。文机が、きれいに二つになった。
 「私の決定を伝えた以上、これから先、降伏を唱える者は、この文机と同じになると思え。私は、わが手で、この乱世を平定する」
 声があがり、やがてどよめきになった。
 「ふるえる者は、去れ。立ち尽くすものは、死ね。これより、戦だ。男が、誇りを賭ける時ぞ」

あと、妹ちゃんが戦場のラブロマンスをやっていたのはどうなんだろう。矢が飛び交う戦場のド真中でお互い足を止めて見つめあってたらどっちかが矢だらけになって死ぬのぐらい予想できそうなもんだけどな。妹ちゃんはラブロマンス中、相手に矢が刺さったのをびっくりしていた。しかし観ているこっちとしては何を当たり前のことで大げさな、と嘲笑しておったわ。実際史実だと赤壁の戦いだけで何十万もの人間が死んでるのだから、恋人との生き別れ率は相当たけーよなあ。ぐだぐだ語ったけど、この件に関しては特に何も思っていない。これをなくしたレッドクリフは想像できないから。

2.孔明はただの気象予報士

レッドクリフ孔明がやったことといえば、

1.霧が出ることを予想して、矢を回収に行った。
2.風が変ることを予想して、火攻めを進言した。あとみんな頑張って闘ってたのに(周瑜孫権劉備も他もろもろも)一人だけ後ろの方でうんうんうなずいてた。

以上から読み取れる事は、孔明は実は天才軍使などではなく、ただの気象予報士なのではないか? ということだ。それなら戦いに行かない事も納得である。あと馬の出産を手伝ったりもしていたので、ただの天気に詳しい農家の可能性も捨てきれない。あといずれ敵になるのが分かり切っている呉に対して、連弩を作ってあげたりしてたけどこれ裏切り行為じゃね? その技術は劉備軍のためだけに使うべきじゃね? そんなことやってるから連戦連敗なんじゃね?

3.そんなに愚痴っていてまだ面白いなんて言うのか?

 これだけの超大作を三国志でやって、この程度の改変で済んでいる。それだけで素晴らしいと思います。いろいろ愚痴りましたが、特に何の問題もありませぬ。甘興が爆弾を持って突っ込んでいくシーンがあろうが、戦場のロマンスがあろうが、曹操が額に矢がかすってスゲェ顔していたとか、それぐらいの改変で三国志が、映像化された。それだけを持って、素晴らしかったと思います。三国志についてあまり知らない人が見たら普通に面白く、知っている人が見たら突っ込みながらみれるドラゴンボールエボリューションの進化形態みたいな映画だと思いました。