- 作者: ブロック.W,橘玲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/03
- メディア: 単行本
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「自由」とは何か。国家の、企業の奴隷として生き永らえることがあなたの人生か。売春婦、シャブ中、恐喝者、悪徳警察官、闇金融……彼らこそわれわれのヒーロー(!?)だ。ニッポンの閉塞を打ち破る奇想天外リバタリアン・ワールド! ──帯より
副題として、擁護できないものを擁護する。とある。その名の通り世間一般では擁護できないような事柄(上にあるように売春婦や、シャブ中)に対して、徹底的に自由という観点から擁護を加えていく。世間一般では悪とされているところを、本当にそれは悪なのか? それが悪だったら、あれもこれも悪じゃねーかファッキン! と一刀両断していく内容は爽快の一言に尽きる。人生で一回は読んでおきたい一冊である。ひじょーに面白かった。爽快感もさることながら、単純に経済学として見ても素晴らしい。とにかくいろんな面から見て、面白い。わくわくする。今まで知らなかったことを後悔したぐらいだ。本書をオススメしてくれたdaenさんには感謝がつきませぬ。
中身は数ページほどでまとめられているものもあれば、ページ数を多少多く使って語られているものもある。緩急がついていて、非常に読みやすい。もし全部読む気が起きないとしても、気になったところだけ読んでみようかな・・・という読み方でも全然オーケーである。また本書は「超訳」ということで、本来の内容とは違い、日本の現状に移し替えて語られている。なので2ちゃんねらーについて語っていたり、ホリエモンについて語ったりしているのである。後半に行くにつれて経済の話題が増えていったり、切り口がみな同じなので読む前からどんな論調で論じられていくか予測がつくようになってしまうが、繰り返されることによって思考がそれになれていく。
本書の基本的な姿勢として、リバタリアニズム(自由原理主義者)の考え方をもって物事にあたっていくということになる。自分は聞いたことがなく、無知を笑われるかと思ったが、意外と世界的に知られていない主義らしい。リバタリアニズムの基本は「だれの権利も侵害していない者に対する権利の侵害は正当化できない」ということだ。ここでいう権利の侵害とは、暴力の行使である。リバタリアンの思想は「人をいきなり殴りつけること」を批判しているのである。
リバタリアンの思想からいうと、国家によって執行される行為はそのほとんどが「人をいきなり殴りつける行為」に該当する。それは、国家をなくし、国家の介入がなくなり、自由になった「市場原理主義」によって人々に自由と幸福をもたらす。これがリバタリアンの主張である。
たとえば売春婦。彼女たちは批判されることが多々あるが、リバタリアン的には何の問題もない。彼女たちはただ金をもらって、その対価として性を供給しているだけだからである。そもそも世の中の人間関係というのは全てこういった取引に基づいている。結婚した場合男は経済的側面を担い、女がセックスと家事労働を担当するのであれば、男が女を金で買っているのと同様である。極端な例だが、これを売春として禁止しようという人はいない。
なーんて言う風に本書は展開していく。面白いよ。まとめ記事→擁護できないものを擁護する──不道徳教育まとめ