基本読書

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哲学教科書──君はどこまでサルか?

<反>哲学教科書

<反>哲学教科書

 教科書とタイトルについているのは名ばかりではなく、本書は実際にフランスの高校で教科書として使われています。日本では哲学の入門書といっても、煙に撒かれたような内容のものが多いのですが(哲学にというよりも哲学者について語るものが多いから?)本書は『考えさせる』という点で決定的に異なっているかと思います。哲学というと難しいことを複雑な人間があーでもないこーでもないと無限回廊のように出口のない迷路をさまよっているかのような印象を人に与えますが、決してそうではない、ということを本書では教えてくれます。何しろ高校生が勉強していることですから、哲学は本来難しくない…というよりも、考えることさえできれば誰でも哲学が出来る、とても敷居の低いものであるとさえいうことができるでしょう。

 本書『<反>哲学教科書は』の章題として「君たちにはサルな部分が多く残っている?」「君たちはかつて、人の肉を食べた事がある?」「君たちはなぜ校庭でオナニーをしないのだろうか?」などなど、高校生相手でなくとも過激に思えるものが並んでおりますが、しかしそこにこそ意味があるのだといえます。つまり言葉づらの過激さだけに目をそむけて考えるのをやめてしまう、「校庭でオナニーをしないのなんか、そんなの当然じゃないか!」などという反応、それこそ哲学にとって最悪の選択肢です。まず、何故ダメなのか? と考えてみる。そこにはどんな意見があるのだろうか? 偏見を取り去って、全ての意見をフラットに見つめることができるようにする、それが本書で繰り返し語られていることであって、最後まで読めば頭に刷り込まれていることでしょう。以下個人的な感想
 いやーしかし正直いって面白かったのは最初の三分の一だけですね。理由としては1.強烈な印象を与える章題だが、中身の薄さを隠してるだけ。2.結局言っている事は『真理は人の数だけある』ということなので、つまり広い視野を持て、といっているだけなんですね。同じ事しか言わないので、途中から章題を読んだだけでその中でどんな話が展開されるのかほとんど読めてしまうので非常に退屈でした。あと各章ごとに著名人達のテクストがあるのですが、そこがなんというか、よくある『ダメな哲学』そのものなんですよね。偉い人たちの偉い言葉は正直、この際いらないんじゃないかなーと。難しいだけでろくなこといってないですよ。