- 作者: 栗本薫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/12
- メディア: 文庫
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レムスの覚醒
最初レムスがむかつくなーと思った理由に対して、恐らく覚醒の仕方が悪かったのだろう、と思っていたのですね。たとえば同じ腰ぬけ王子が覚醒する話として最近だと、『ヴィンランド・サガ』というヴァイキング漫画があります。こちらの王子はレムスよりもさらにヘタレであり、しょっちゅう泣いてばかりいたのですが、ずっと自分の世話をしていてくれた人間の死によって現実を見据え、人が無残にも殺し合う現場を目の前にし、乞食風の男(違うけど)によって『愛とは何か』という話を聞かされます。このあたり、トルストイの『アンナ・カレーニナ』で物語の主人公であるレーヴィンがなんて事ない農民から神に対する真理を教わりますが、なんか似ていますね。ってそんなことはどうでもよくて。んーつまり問題は両王子覚醒までの展開に無理があるかないか。非常にすんなりと受け入れられるか否か、という点です。レムスは確かに大変な目にあったかもしれないけれど、キッカケとなったのはタダの予知夢です。そのあたりに違和感を覚えたのかなー? と勝手に思っていたんですが、今回グインがレムスに対して、「お前は二いえばいいところを十いってしまう、それはやめたほうがいい」みたいなことをいっていて、シンプルに解決しました。それ以来レムスはグインに対して敬意を表すようになって、こちらも素直にレムスの変化を受け入れられました。