基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

紅蓮の島─グイン・サーガ(9)

紅蓮の島―グイン・サーガ(9) (ハヤカワ文庫JA)

紅蓮の島―グイン・サーガ(9) (ハヤカワ文庫JA)

 いやー面白い。今悔やむ事は、グイン・サーガをリアルタイムで追えなかった事と、この作品が完結しないことをしっている悲哀でしょうか。物語が目指しているのは今のところ、パロ帰還一点、そこへ向けて物語は交錯していきます。滅茶苦茶面白いなああ。同時に不満点もどんどん解消されていきます。最初は納得いかなかったレムス覚醒の違和感も、グインの指摘によって明らかになったし(異常に偉そう)イライラさせられたイシュトヴァーンとリンダのカップルは早くも破綻の危機だし(というかイシュトヴァーンは(´・ω・`)としているのが面白い)。そして今まで別々に語られてきたスカール、ベックとグイン一行の物語の交錯! グインはこれから先どういった立ち位置でその才能を生かしていくことになるのか? いい方向に進化を遂げているレムスはいったいどこへ行くのか? テンション上がりますなあああ。

レムスの覚醒

 最初レムスがむかつくなーと思った理由に対して、恐らく覚醒の仕方が悪かったのだろう、と思っていたのですね。たとえば同じ腰ぬけ王子が覚醒する話として最近だと、『ヴィンランド・サガ』というヴァイキング漫画があります。こちらの王子はレムスよりもさらにヘタレであり、しょっちゅう泣いてばかりいたのですが、ずっと自分の世話をしていてくれた人間の死によって現実を見据え、人が無残にも殺し合う現場を目の前にし、乞食風の男(違うけど)によって『愛とは何か』という話を聞かされます。このあたり、トルストイの『アンナ・カレーニナ』で物語の主人公であるレーヴィンがなんて事ない農民から神に対する真理を教わりますが、なんか似ていますね。ってそんなことはどうでもよくて。んーつまり問題は両王子覚醒までの展開に無理があるかないか。非常にすんなりと受け入れられるか否か、という点です。レムスは確かに大変な目にあったかもしれないけれど、キッカケとなったのはタダの予知夢です。そのあたりに違和感を覚えたのかなー? と勝手に思っていたんですが、今回グインがレムスに対して、「お前は二いえばいいところを十いってしまう、それはやめたほうがいい」みたいなことをいっていて、シンプルに解決しました。それ以来レムスはグインに対して敬意を表すようになって、こちらも素直にレムスの変化を受け入れられました。