基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

前田司朗の作品を二つ読んだ。

 いつもだったら一冊ずつ書くのだけど、何を書いていいのかわからないので同時に書く。同時に書けば、何かが浮かんでくるだろう。何を書いたらいいのかわからない理由ははっきりしていて、読んだけどなにが書いてあったのか全然わからないからだ。カフカの変身を読んだ時だったらイヤァーな気分になったとか、まあ何でもいいんだけど普通小説を読んだらなんかある。楽しいとか、つまらんとか、だるいとか悲しいとかうぜえとか。いつもはそこから、何が楽しかったのかとか、何がつまらなかったのかなどを推測してそれを書いている、と思う。

 だが、前田司朗の作品は読んでもなんとも思わなかった。いい事を言っているとも別に思わなかったし、くだらないことをいっているような気もするしくだらなくもない気がする。文章の感じとかは筆を滑らせているように演出している森博嗣と、町田康を足し合わせた感じなのだけどそれがどうしたというわけでもない。とにかく何にも湧いてこないので、とりあえず今は何にも湧いてこない理由を考えているのである。そして二冊ともに同じ事を書くわけにはいかないので、こうして同時に書いているのだと今わかった。ちなみに二冊のうち一冊は

恋愛の解体と北区の滅亡

恋愛の解体と北区の滅亡

 だ。これがどんな話かというと、地球が宇宙人に占領され、一年後には植民地化されてしまうという状態から始まる。そして、北区にて宇宙人が刺殺される事件が起こり、宇宙人が怒って記者会見を開くというのだ。その間主人公は自分はサドなのかマゾなのか、そもそも愛とは何なのかと考えながら娼婦とSMプレイで遊んでいる。宇宙人が出てくるからSFかというとそんなことはなく、まあなんか意味があるのかないのかよくわかんない宇宙人である。結構淡々とみんな宇宙人の存在を受け入れている。一年後には植民地にされてしまうのにも、割と従順だ。宇宙人の技術力がどれぐらいだとか、なんで地球を植民地にしないといけないのかなどまったく書かれません。宇宙人は居て、そんで怒ってます。ずいぶん俗物的ですね。で、宇宙人は結局北区にキレて北区をぼっこぼこにして主人公はオーすげえといって終わります。まあ、そんな話です。

グレート生活アドベンチャー

グレート生活アドベンチャー

 こっちが二冊目です。将来の悩みも不安もないけどついでに仕事も何もなくて就職のあてもないというどうしようもない人間が、彼女の家にころがりこんで毎日寝て過ごす話です。まったく罪悪感を感じることもなく、ただ毎日寝てゲームやってます。凄く客観的に色んな物を見ていて、たとえばゲームをやっている時もツッコミまくりです。何故か敵の魔物はいくらかの金を持って襲いかかってくるとか、普通だったら『ゲームだから』と斬って捨てられるようなツッコミをいちいち律儀に入れていきます。そんで、最後に彼女へ結婚しようと申し込んでフラれて終わります。かなしー。

 恐らくどこにも行きついていないから、感想が思い浮かばないのかもしれないです。幸福になったのか不幸になったのか、スタート地点は幸福だったのか不幸だったのか、まったくわかりません。物語を幸福曲線で考えてみると、大抵はグラフ化できるじゃないですか。たとえばカフカの『変身』だったら、不幸な状態から始まって、虫になってイジめられてリンゴぶつけられてもっと不幸になって死んでいく。シンデレラだったら、最初はとても不幸な状態から始まって、お城に連れて行ってもらって幸福になって、12時になって家に帰って不幸になり、でも王子様が見つけてくれて幸福になる。

 そういうのがないんですねー。幸福にも不幸にもなってないというか。いや、どっちかにはなっているのかもしれないのですけど、わからない。面白いのか、つまらないのかもわからない。今さらな話だけど、難解さというわけではなく、単に感受性の問題なのかも。合う人には合うし、合わない人には合わない、みたいな。そんなのこの著者に限った話でもないか。