いつもだったら一冊ずつ書くのだけど、何を書いていいのかわからないので同時に書く。同時に書けば、何かが浮かんでくるだろう。何を書いたらいいのかわからない理由ははっきりしていて、読んだけどなにが書いてあったのか全然わからないからだ。カフカの変身を読んだ時だったらイヤァーな気分になったとか、まあ何でもいいんだけど普通小説を読んだらなんかある。楽しいとか、つまらんとか、だるいとか悲しいとかうぜえとか。いつもはそこから、何が楽しかったのかとか、何がつまらなかったのかなどを推測してそれを書いている、と思う。
だが、前田司朗の作品は読んでもなんとも思わなかった。いい事を言っているとも別に思わなかったし、くだらないことをいっているような気もするしくだらなくもない気がする。文章の感じとかは筆を滑らせているように演出している森博嗣と、町田康を足し合わせた感じなのだけどそれがどうしたというわけでもない。とにかく何にも湧いてこないので、とりあえず今は何にも湧いてこない理由を考えているのである。そして二冊ともに同じ事を書くわけにはいかないので、こうして同時に書いているのだと今わかった。ちなみに二冊のうち一冊は
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恐らくどこにも行きついていないから、感想が思い浮かばないのかもしれないです。幸福になったのか不幸になったのか、スタート地点は幸福だったのか不幸だったのか、まったくわかりません。物語を幸福曲線で考えてみると、大抵はグラフ化できるじゃないですか。たとえばカフカの『変身』だったら、不幸な状態から始まって、虫になってイジめられてリンゴぶつけられてもっと不幸になって死んでいく。シンデレラだったら、最初はとても不幸な状態から始まって、お城に連れて行ってもらって幸福になって、12時になって家に帰って不幸になり、でも王子様が見つけてくれて幸福になる。
そういうのがないんですねー。幸福にも不幸にもなってないというか。いや、どっちかにはなっているのかもしれないのですけど、わからない。面白いのか、つまらないのかもわからない。今さらな話だけど、難解さというわけではなく、単に感受性の問題なのかも。合う人には合うし、合わない人には合わない、みたいな。そんなのこの著者に限った話でもないか。