基本読書

基本的に読書のこととか書く日記ブログです。

とある飛空士への追憶

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い)

 王道ラノベでとてもよろしい。ゲッサンで連載していた漫画が面白かったので読んでみたのですが、小説もとてもよろしいです。さてさて、王道なんて軽く書いてみましたけれど、しかし王道ってのはそもそもなんでしょうかねえ。王の道と書いて王道、しかし物語を語る場合に使われる「王道」は、「使い古されたパターンをどれだけ使うか」の多寡によって決まるのではないかとちょっと思いました。たとえばこの「とある飛空士への追憶」の物語構造的には「身分違いの恋」「ボーイミーツガール」「行きて帰りし物語」「襲いくる苦難とライバルの存在、そして技量が卓越した主人公」とかここまで来るといいがかりに近いですが、特に「身分違いの恋」がクセモノで、これを使うとどんなに突拍子もないことをやっても王道という烙印から逃れられないんじゃないかなーっていう気がします。またこの作品についていえば、一冊という実に短い中で詰め込むために構造がむき出しに近くなっているので、余計意識させられてしまうこともあるかと。

 良いな、と思ったのは、「空とは地上のしがらみから開放される場所である」という戦闘機物ならば絶対に押してくるポイントを、実際に地上では身分の違いがあって喋ることもできないお姫様と空の二人旅という形で実感させてくれたところです。ただ飛んでいるだけだと、「しがらみから解放される」とか言われても「ふーん」としか思えないですし、いや自分だけでしょうけど。あと「地上のしがらみから逃れられても痴情からは逃れられなかったようだなw」みたいなつまんねーギャグをヒロインと主人公が飛行機の中でいちゃいちゃしているのを読んでいる途中で思いついて一人でにやにやしていました。