- 作者: 澁谷知美
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/09
- メディア: 単行本
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目次──Amazonより
第1章 その「男の友情」は役に立つか?
第2章 「僕がキミを守る!」と思ってる?
第3章 非モテはいかにして生きていくべきか
第4章 暴力はなぜ、いけないか
第5章 包茎手術はすべきか否か
第6章 性風俗に行ってはダメか
ぶっちゃけ包茎手術のくだりと性風俗のくだりはほんとに必要なのか? というぐらいに蛇足だと感じましたけれども、しかし世の中には悩んでいる人もたくさんいるようなのでそれはまあいいとして、それ以外の部分はタイトルや表紙から想像されるようないい加減な内容ではなく、しっかりとしていてびっくりしました。言っていることがとくに新しいというわけではないんですけどね。たとえば第1章のテーマ、男の友情ですけれど、問題点として挙げられているのは「男は競争する動物だから安心できる関係にはなりにくいのではないか」で、これに対しては真っ向から反対しています。男同士でも全然仲良くなれるし、そもそも一人でも別にいい、という基本方針です。そりゃまあ、そうなんですよね。一人でいるのが良い、誰かと一緒にいるのがまっぴらだ、そんな人がいても当然いいわけです。おかしいのはずっと一人でいるのは精神がおかしいからだ! などといって排他的な言動を取る人たちです。
人間関係が複雑になることで、楽しいことももちろんありますけれどその分約束や責任が生じるため、厄介な神経のストレスなども同時に抱え込むことになります。一人でいても神経のストレスはあるじゃないか、と言う人もいるかもしれませんが、それは大多数は「世間的に一人ぼっちでいるのはダメなヤツとされているから自分はダメなヤツなのだ…」という自分と世間とのズレから来る軋轢でストレスになっているだけです。「根暗な奴」は一般的には悪いイメージで語られますけれど、それは別に「悪」じゃないですよね、そのことを「常識」を盾に人を批難するような眼でみたり、言葉にして言ったりする人たちは考えた方がいいんだぜ、つー話でもあります。第3章はそういう自意識の改造をいかにしておこなうかの話です。第2章は「男は家族を守らなくてはならない」という前提に立った場合、「仕事で金を稼ぐだけ」のタイプと、「仕事で金を稼ぎさらに精神的サポートも行う」タイプで分けて語っていますが、どちらも破綻するといいます。前者では家族から恨まれ、さらには仮に失業してしまった時に男が自分の役割を完全に喪失して自殺する可能性が高くなってしまうとしてNG。もうひとつのタイプでも、精神的サポートを行いたいにも関わらず日本の会社制度がそれを許さないというジレンマによってストレスになるのでNG(正直前者と比べてこっちのNGの理由は凄く弱いんですけどね)だという。最後は常識的に、男の育児休業をガンガン認めてあんまり働かなくてもいい社会にして、男も精神的サポートに回せるようにしようぜ、とえらく常識的な結論に落ち着きます。で、第4章は暴力、5章は包茎、6章は風俗となんだかえらくまとまりがないなぁ…としか言いようがないですなあ。もちろん悩める平成男子のために、気になっていることをおしえたげよう! という親切心は感じるのですけれど。話の流れ的になんでそこに行ったの? てのが全然わからない。マァ、そんな感じの本です。