- 作者: 入江君人,茨乃
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2010/01/20
- メディア: 文庫
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どんな世界観か? 子供が生まれなくなってしまった世界です。そして、子供が生まれなくなったのと同時に人が死ぬとゾンビーになるようになってしまいました。読むこっちとしては、そういう退廃的、絶望的な世界観が好きです。……といってもこの世界に住んでいる人たちはそうもいっていられないわけであって。たぶん大慌てしたり世界的な恐慌に陥ったりと大変なことになっていると思うのですが、今回書かれるのは狭い村と、その周辺の話なのであまり一般大衆がどうしているのかはわかりません。
ゾンビーになってしまった人達はちゃんとしたやり方で埋葬しないと復活してしまうのですが、それができるのは、「墓守」と呼ばれる神からつかわされたなんか変な人たちだけです。表紙のかわいい女の子もこの「墓守」です。この子が、この絶望的な世界をなんとかしようと奮闘するのがこのシリーズの基本ストーリーになっていくのだと思います。この一作で綺麗にまとまってしまっているので、この後どうなっていくのかはまったくの未知数なのですが気になるところもまだ残っているので、楽しめそうです。
- 作者: 新井円侍,mebae
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/11/28
- メディア: 文庫
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子供が生まれなくなってしまった世界を書いた作品
ところで、子供が生まれなくなってしまった世界と言うのはSFでは何度か書かれていて、「トゥモロー・ワールド」として映画化された「人類の子供たち」はまさにそんな話ですし、同じテーマではオールディスの「グレイベアド 子供のいない惑星」があるとか。ついったーで教えてもらいました。トゥモロー・ワールドは映画を見た記憶があるのですが、ひどく憂鬱で陰惨でダークな世界観だったと思います。何しろ子供が生まれないという事は、人類は緩慢だけれども確実な死に向かっているというわけであって、憂鬱になるのも当然でしょう。じゃあこの「神さまのいない日曜日」に憂鬱な人間ばかりが出てくるかと言えば、決してそんなことはなく。むしろ愉快な良い人の方が多いです。これはあまり書ききれていないと言った方がいいのかな。ちゃんとした人の集まる街の描写などは一切ないゆえに、世界がどんな状態なのか、わかりません。
子供が生まれなくなった世界というのは、まあわかりやすい絶望的状況ですよね。その分、希望が書きやすいのかもしれません。この場合わかりやすい希望は「子供が生まれること」ですよね。そういえばこの物語の主人公はその希望そのものである「子供」であり、途中まで相棒だった男は「不死者」であるという対比は凄く面白い。この作品、わりと萌えだとかラノベ的な展開にラッピングされていますけれども、その実色々象徴だとか対比的に書かれていて結構考えるポイントは色々あるのかな? とも思います。まあそんな感じで、希望の少女が、生と死の権利を取り戻すお話です。うわっスケールでかいな。