マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/07
- メディア: 文庫
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こうして見てみると、良い敵の存在はぼくが考える面白い物語の条件に必要不可欠なものであるように思う。物語の中で敵と認識されるものが出てきた場合、それは乗り越えられる壁なわけで、マリオカートのコースのようなものだ。いや違うな。まあ敵が出てきたら、こっちとしてはそれは乗り越えないといけないわけで、乗り越えないといけないのなら世界観を形作るのは「敵」なのだと思う。「敵」が出てくることで、「コース」が出来てしまう。いきなりマリオカートの例を持ち出したのは、そういうことなのだ。うまく例えられなかったけど。で、コースが一直線だったらそれはつまんないよね? っていう話で。敵が居て、そこに向かっていくだけで倒せるのだったらそんな事をする意味はない。この物語に一貫してあるのは、「戦い」だが、戦いが一人ではできない以上、相手が魅力的なのは絶対条件だ。本と読者の関係も似たようなものだろうと思う。本を読むという作業は、その本が持っているボテンシャルと読者の読みの力の共同作業である。えーと、だからなんだ? うん、ボイルドがすっごい素晴らしい敵であった、っていうことをめちゃくちゃ適当にぐちゃぐちゃに書きたかったのだろう。あとシェルも地味に良かった。まあいいや。最後にウフコックが、引き金のない銃になったのも良かった。何で良かったのか、それもまあいいだろう。おやすみ。