いやーこれは面白い。久しぶりにテレビにかじりついて、放送を心待ちにするアニメが現れました。一カ月に一回一時間の放送枠をとって、全十二カ月で完成する放送形態なのですが、これが凄くマッチしている。一時間だと、やっぱり色々詰め込めるんですよね。演出とかも色々変わってくるんじゃないかな、腰を据えてじっくり見れる、といいますか。刀語とは、大雑把にいってしまえば刀を持たない剣士、虚刀流を使う七花と奇策師であるとがめが12本の凄い力を持った「変体刀」を集めるために全国を旅するっていう話です。で、その「変体刀」は大抵一人一本、つまり12人の人間が持っているので、それをボコったり交渉したりして一カ月ごとに一本手に入れていくんですね。
そうすると盛り上がるのは当然、刀を奪取する場面なのですが、これを30分のアニメで、二話構成でやると一話目が説明に終始してしまい非常に退屈で、二話目だけ盛り上がるみたいなことになる。今までは基本そうなっていたはずなんですが、一時間で一気にやってしまうと、演出としても腰を据えたものが出来るんじゃないかなー? と思います。ぼくは同じ西尾維新が原作のアニメ「化物語」も見ていたのだけど、こちらは言葉のかけあいが売りということもありますが、普通に喋っているだけの場面でも妙に工夫を凝らして画面が動くので非常に疲れた記憶があります。アニメ「刀語」はわりとシンプルなので、その点好感触です。
とても映像的な原作
そして、こうしてアニメになって初めて「ああ、そういえば」と思ったのですが、原作の刀語も結構、映像的な面白さのある作品なのですよね。たとえばその重要なアイテムである「刀」一つとっても、十二本の「変体刀」の形状は、どれも特異なものであるはずなのですよ。そして特異な形状の刀は、当然特異な使われ方をする。原作第三話二出てきた千刀・ツルギは文字通り「千の刀」なんですが、これがアニメーションで表現されるのが今から楽しみですし。あと、全国行脚するというのも大きなポイント。第一話は人里離れた孤島でしたが、第二話は町の方に出てきて、浸食してきた砂漠を黙々と歩きます。これ以降もあっちへいったりこっちへいったり。風景がめまぐるしく変わるはず。うわぁー、楽しみすぎる!
正直言って、原作はそんなに面白くなかったんですよね。12か月連続刊行なんていう無茶な所業をしたせいだとは思うのですが、まず第一に、「一冊で一本の刀を取得しなければならない」制約が一番大きかったかなと。少ない文章しか書けずに、しかも物語上の制約があるせいでキャラの描写にかける間が取れていなかったと思います。そのせいで、キャラが最後まで個性的としてこちらに受け止められずらいことになっていた。しかし映像になると、途端に個性的になっている。元々情報量が少ないものを、映像でじっくり書いているのでむしろアニメの方が情報量が多いように見えます。あと、イラストレーターの「竹さんの絵が動く」。この一点だけで、多大なる個性を獲得しているのは言うまでもなく。個人的には、圧倒的にアニメ版の方が面白い稀有な例だと思います。素晴らしい作品。是非見てほしいなー。三話以降は、物語の方を見て感想を書きます。
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